カテゴリー「話の聞きかた」の記事

聞く態度が身についていない子どもがいるとき、どう指導すればよいか

 授業中に、担任や友たちが話をしいても聞いていない。「話を聞きなさい」と注意しても効果がない。どうすればよいでしょうか。
 聞く態度を身につけるためには、聞く態度とともに、聞く技能を高める必要がある。
 聞かざるを得ない状況をつくり出すことによって、聞くことの必要感が出てくる。
 それとともに、聞く技能を子どもたちにしっかりと身につけさせることも必要である。
 聞く態度を育てるポイントは
1 後で話の内容を誰かに発表してもらうと予告する
 話したことを、後で話の内容を誰かに発表してもらうと予告し、聞かざるを得ない状況をつくり出す。
2 目で話を聞く
 教室に「目で聞く」と書いた紙を掲示し、目で聞くことの大切さを話す。
 話している子どもの方を向いて聞いている子どもをほめるようにする。
3 話している人に反応しながら聞く
 うなずきながら聞いたり、納得がいかない場合は、首をかしげることも大事である。
4 書きながら聞く
 連絡帳に、聴写をさせることで、毎日のトレーニングになる。
 そして、書き取らせた文章を、確認のため読ませるとよい。
「先生、もう一度言って」と、子どもが聞き返しても、二度は言わないことを事前に約束しておく。
(山田 一:山口県公立小学校教頭)

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他の子どもの発言に無関心な子を、聞き上手にするにはどうすればよいか

 クラスの子が発言しているのに、顔を見ようともせず、自分は関係ないといった態度でいる子どもが多くいます。
 一番失礼なのは、人が発言しているときに「どうでもいいや」という態度で聞くことです。
 どうすれば聞き上手な子どもになるのでしょうか。
 子どもに「話を聞く目的を与える」と、よいと思います。
 他の子どもの話を次のような視点で聞くようにします。
(1)
なぜ、この子は、こんな発言をするのか。
(2)
ほんとうに、何が言いたいのか
(3)
その子の言っていることは、正しいのか。 
 このような視点を持っていれば、どんな発言も退屈せずに集中して耳を傾けられます。
 他の子どもの発言に対して、その内容の当否や深さ浅さなどを、常に評価し続けるのが聞き手の作法です。
 また聞くことは、自分の思考力や判断力を高める大きなチャンスでもあります。
 ですから、私は子どもたちに対して、次のように話しています。
「なぜか」
「ほんとか」
「正しいか」
「この3つをいつも頭の中において、人の話を聞きなさい」
「わからないことは、たずねなさい」
「おかしいと思うことは確かめなさい」
「まちがいだと思うことは、指摘しなさい」
「ぼんやりと、どうでもいいや、という態度で聞くのは最悪です」
 これは、大人にも通用する聞き方の大原則。
 よい聞き手の育成は、発言する技術の訓練以上に難しいものですから、折りにふれ、繰り返し、一貫した姿勢で語り続けねばなりません。
 もうひとつ、教師にとって重要なのは、この3つの中の「なぜ」です。
 どんな誤答や奇数であっても「なぜ」この子はこんな発言をするのか、なぜこんな風に考えたのか、その問いかけが教師としての、先入観を取り払い、子どもの心に迫る糸口になってくれます。
(
野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰
)

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子どもが寄りつく教師に「聞き上手」という共通性がある、どうすれば聞き上手になれるか 

 子どもが寄りついていく教師には共通性がある。その一つが聞きじょうずということである。
 聞きじょうずな教師は、子どもたちの話をじつによく聞いている。教師として言いたいことをぐっと押さえ、胸にしまいこまないと、子どもの話を聞くことはできないのである。
 子どもは自分の話をよく聞いてくれる教師が好きになる。その聞き方は、
1 肯定的に聞き、否定的には聞かない
 子どもたちが気持ちよく話せるように「そうか」「へーえ」と聞く。教師が知ったかぶって「それはちがうだろう」などと、否定せず、子どもの話は肯定的に聞く。そうすると、教師に聞いてもらおうとして、話しかけてくるようになる。
2 まちがっていても許容する
 子どもの話はつじつまのあわないことが多い。だが、ささいな矛盾にとらわれず、揚げ足をとったり、まちがいを責めたりしないことだ。子どものいわんとすることをまっすぐに聞いてあげる。
3 話の腰をおらない
 教師はすぐに、子どもの話にたいする評価を入れて、流れを断ち切る。あるとき、子どもが自分の父親を「あのくそじじいが」と言うから「自分の親をくそじじいなんて言ってはだめだ」と言うと「話しづれえなあ」と口をつぐんでしまったことがあった。ともかく、話の流れを断ち切らずに、一気に聞くことである。
4 子どもの話にすばやく反応する
 くりかえしの技法や、「なるほどね」とあいづちをうつ。「大成功だったね」と感心する。「それでどうしたの。怒られたんじゃないの」と少し質問してみる。いずれも、話をはずませる聞き方で、「きみの話をよく聞いている」ことを示している。
5 子どもの話を「心を無にして聞く」
 子どもの話の聞き方には、技術以前にだいじなことがある。それは、「心を無にして聞く」ことである。ところが、これがなかなかむずかしい。
 教師は、子どもを見るとき「子どもはかくあるべきだ」という自分の基準に照らして見ている。その基準が高い教師は、子どもに対して厳しく評価し、基準が高くない別の教師は、同じ子どもを「いい子」だと評価する。子どもの話を聞くときも、たえず、自分にすりこまれた基準に照らして聞いている。
 たとえば、ある子どもの話を聞いて「くだらない」と思うと、その気持ちは、かならずその子どもの心に伝わる。
子どもは教師に話しながら「あっ、先生はわたしの話をくだらないと思っているな」と感ずる。
 そこで、教師は子どもの話を「心を無にして聞く」必要がおこるのである。なかなかむずかしい。どうしたらいいのだろうか。そのためには、
(1)
肯定的に子どもを見るようにする
 
「生意気だ」と否定的に見ないで、肯定的に子どもを見るようにして、子どもの話を聞く。
(2)
教師の基準を強く表面に出して、聞かないこと
 たとえば「勉強のできる子どもはりっぱだ」という態度を全面的に出して子どもに接しないこと。
(3)
心を真っ白にして聞く
 教師の基準や、先入観、思いこみを捨て、心を真っ白にして子どもの話を聞く。砂漠の砂に水がしみこむように、ひたすら子どもの話を「なるほど、なるほど」と丸ごと受けとるということである。そうすれば、子どもの側からいえば、話しやすい状況をつくることになる。
6 パフォーマンスをそえて聞く
 子どもの話はいろいろある。うれしい話を子どもが興奮して話せば、聞くほうも身を乗りだして聞く。そして最高に盛り上がったところでは、ガッツポーズでもいい、机を叩いてもいい、身体表現をそえて聞く。
 いっしょうけんめい話をしてくれた子どもに、言葉では表現できない気持ちをジェスチャーによって伝えるのである。それは「先生は感動した」「おもしろい話をきかせてくれて、ありがとう」という感謝の気持ちを子どもに伝えるという意味をもっている。
 子どもの話は、言葉と身体表現によって聞く。つまり、全身で聞いてほしいものだ。そういう教師に子どもたちは寄り集まってきて「聞いて、聞いて」とせがむようになる。子どもがどれだけ教師にちかよってくるか。その多少は、教師の力量のひとつのバロメーターである。
7 子どもの話は最後までゆっくり聞くこと
 人は最後まで話をきいてくれた人に、感謝の気持ちを抱くようになる。しかも、聞いてもらったことで自信がつく。最後まで話を聞くには、途中で、言葉をはさまないことだ。相手の話の腰を折ることになる。
 相手が話しやすいように、うなずいたり、感嘆したり、それでと促したり、自己開示しながら聞いていく。辛抱強く最後まで聞く。
 最後まで聞くと、子どもがなにを言いたかったのかが、ようやく見えてくる。「ああ、こういうことを言いたかったんだな」と。最後まで聞く辛抱がないと、なにを言いたかったのかが分からずじまいになる。これは指導にとっての損失である。
8 ただただ聞いてあげる
 聞き上手な人は、話し相手の話したいことを、ただただ聞いてあげることではないだろうか。しかし、教師はなかなかそうはなれない。
 子どもが、先生に話しかけてくる。聞いてもらいたいものをもっているから話しかけてくるのである。さらに、聞いてもらうだけでなく、なにか、ほめたり、感嘆したりしてもらいたいのである。
 そういう子どもの気持ちは、顔色や言葉つきでわかるから、よく聞いてあげて「よかったね」「すごいね」「うれしかったでしょう」と、感嘆し、ほめてあげる。これが子どもの心にかなう聞き方である。
9 子どもの話を聞くときの教師の声のトーン
 聞き方の上手な教師をみていると、子どもの話に応じて、声のトーンを使い分けていることである。その使い分けには二つのポイントがある。
(1)
子どもの話の中身による使い分け
 子どものうれしい話を聞くときは、明るい快活な高いトーンで応じる。たとえば、子どもが「先生、赤ちゃん、生まれたよ」とうれしそうに話しかけてきたら「よかったね、おめでとう」と、高いトーンの声で朗らかに返事をする。逆に、暗い、悲しい話を聞くときは、声を潜め、低い重々しい声で応える。子どもの心情に共感した聞き方となる。
(2)
相手のトーンにあわせる
 子どもはうれしい話だと、声のトーンが高くなる。その場合は、子どもの声のトーンよりやや高い調子で応ずる。悲しい話のときは、子どもの声のトーンよりやや低い声で応ずる。
10
 子どもの話を聞くときの対応のテンポ
 うれしい話の場合、子どものテンポよりやや速くする。悲しい話の場合、子どものテンポよりやや遅くする。
 こう受けると、子どもの感情にそった聞き方となり、子どもも話しやすくなり、話がかわせるようになる。こうした、返しの声やトーンやテンポに着目できるようになると、聞く力は飛躍的にレベルアップするだろう。
11
 子どもが同じ話をしても初耳のように聞く
 教師が知っている話でも、子どもにとっては初めての情報だから得意になって話す。「その話は知っているよ」と言いたいところだが、はじめて聞く話のように受ける。子どもが同じ話をしても「その話は聞いたよ」とは言わないことだ。初耳であるようにして聞く。これがコツである。場合によってはその話を「得意話」仕立ててやることも。
12  
話をくりかえして聞く
これは、カウンセリングの「くりかえしの技法」である。たとえば、子どもが「痛い」と言ったら、「痛い」をくりかえして言って「の」を付けて「痛いの」と応える。「先生、オレ、あたまにきた!」と子どもが言ってきたら、教師は「あたまにきたの」と、こんなふうに応えれば「きみの怒りの感情を先生はちゃんと聞いているぞ」と、強く伝える聞き方になり、「暖かい指導」になり、子どもの心を癒やす聞き方にもなる。
 とかく教師は子どもの話をまず理屈で聞くことが多い。たとえば、子どもが「寒いね」と話しかけてくると、「薄着しているんじゃないの」と応じる。これは「冷たい指導」である。
 そうではなく、まず子どもの話を“感情”で聞くのである。子どもが「寒いね」と話しかけてくると、「寒いの」と応じ、それから「薄着しているんじゃないの」と言えばいいのである。最初の「寒いの」の一言があるかないかで「暖かい指導」「冷たい指導」に大きくわかれてしまうのである。
13  
あいづちをうつ
子どもの話は、あいづちをうつと、話のながれがよくなる。具体的には
(1)
うなずく
理解していることを伝えるためである。
・小さく、ときに大きくうなずく。・・・・・小・大は感動の大きさをあらわす。
・早くうなずく。・・・・・もっと話してほしい。
・ゆっくりとうなずく。・・・・・よくわかりました。言っていることを理解しました。
・眼を細め、笑顔をつくる・・・・・子どもがさらに話やすくなる。
・あごをしゃくる。・・・・・よくないうなずきである。わかった、もういいよという中断の意味になる。
(2)
あいづち
・即座のあいづち・・・・・テンポのよいあいづちは、話をもりあげていく。
・間のあるあいづち・・・・・暗い話には間のあるあいづち
(3)
感嘆句
・「ほんと!」「うそ」・・・・・子どもと雑談するとき。個人面接や進路相談の場では使わないほうがいい。
14
 短い受けの言葉をたくわえておく
 あいづちは身体表現だが、短い言葉をそえると、さらに効果があがる。その短い言葉は、子どもの話に対する短い感想で、むろん、肯定的な評価である。
 その基本は、たとえば、子どもがおもしろい話をしてくれたら「おもしろい話だあ」と受ける。こう受けると、子どもは二つのことで感動する。「先生がわたしの話をちゃんと聞いてくれた」「わたしの話を喜んで聞いてくれた」と、うれしくなって、ますます話に熱中する。
 しかし、子どもの話の途中なので、短い言葉で受ける。「なるほどね」と感心したり、「それでどうしたの」「いやあ、驚いたなあ」という短い感嘆の言葉をはさんだりするといいだろう。
 こういう「受け」ができるのは、共感して聞くからである。そういう受けの言葉を教師はいくつも蓄えておくといい。よく使われる言葉には、
「ほう」「ふーん」「あら」「はいはい」「おやまあ」「へえー」「そうなの」「なるほどね」「なるほど」「よく考えたなあ」「すごいなあ」「心にしみる話だなあ」「がんばったじゃないの」「みんなびっくりしたろう」「いちやく、有名人になったな」「不思議だなあ」「いつ、そんなことしたの」「お母さんも喜んだろう」など。
(
家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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授業中の子どものおしゃべりを克服するにはどうすればよいか

 子どもたちがおしゃべりする授業を観察すると、そのほとんどは教師自身に無駄な言葉が多く、教師がおしゃべりであることがほとんどである。あるいは、教師の言葉が子どもに届いておらず、子どもとは無関係に一方的に教師の言葉だけで授業を進めているケースも多い。
 ただし、たとえ教師が言葉を選んで語りかけ、子どもたちとの間に対話的なコミュニケーションが成立していても、子どもがおしゃべりをしてしまう教室もある。それらの教室を観察してみると、学習課題がやさしすぎるケースが多い。
 子どもたちのおしゃべりが生まれる教室は、もともと授業が学びのない授業になっている場合がほとんどである。したがって、問題はいつも学びのない授業を行っている教師のほうにある。
 子どもたちが学び合うには、聴き合う関わりが基礎にある。とかく教師は、子どもの発言を追究しがちだが、むしろ子どもたち一人ひとりの発言に耳をすますことを中心に指導することのほうが、はるかに重要である。どの子どもも安心して発言できる教室は、異質な声に敏感に耳をすます聴き合う関わりをつくりだすことによって、実現することができる。逆ではない。
 聴くということは、学びが学びとして成立するためのもっとも重要な行為である。学び上手な子どもとは聴き上手な子どもである。
 ところが、ほとんどの教室では、この「聴く」関わりが、子どもたちのなかに築かれていない。他者にたいする無関心が支配しており、学び合う関わりは生まれようがない。「よく聴いて」と注意するだけでは無駄である。
 聴き合う教室を築く第一歩は、まず教師自身が一人ひとりの子どもの声を注意深くていねいに聴くことを根気よく続けることである。それ以外に道はない。
 聴くことは野球のキャッチボールと同じである。教師が子どもの発言を聴くということは、子どもとのキャッチボールをするようなものである。それたボールでも子どもの投げるボールを教師が受け取ると、投げた子どもは快い気持ちになる。子どもは、次はもっといいボールを投げようとするものである。このようなキャッチボールの快感が、教師と子どものやりとりの基本になるべきだと思う。
 ところが、多くの教師は、自分の授業の進行に気をとられて、一人ひとりの子どもの発言をまっすぐ受けとめようとはしないし、そのボールに込められた子どもの思いに共振しようとしない。ぽろりとボールを落としながら授業を進行していると言っても過言ではない。そういうやりとりが続くと、子どもはボールを投げること自体がいやになってしまう。その結果、教師のグローブの構えをあらかじめ察知できる子どもだけが、ボールを投げるようになってしまうのである。
 教室のキャッチボールの苦手な教師は、授業の進行に対する意識以上に、一つひとつのボールを大切に真正面で受け取ることに専心すべきなのである。
 他の子どもの発言に耳をすまさない教室には、かならず、一人ひとりの子どもの声をていねいに聴きとっていない教師がいる。そういう教師のほとんどは、自分自身もおしゃべりで、ぞんざいな言葉やあいまいな濁った言葉で話しかける。
 また、言葉を一つひとつていねいに選んで発する話し方ができていないし、一つひとつの言葉が一人ひとりの子どものところに届いているかどうかを意識することなしに話している。そういう教師のいる教室では、聴き合う関わりも学び合う関わりも生まれようがない。
 教師が一人ひとりの子どもの言葉に耳をすまして敏感に対応し、一人ひとりの子どもにていねいに届く言葉を発することができるようになって、はじめて、子どもたちのなかに聴き合う関わりが生まれ、しっとりと言葉を深く吟味しながら交換し合う関わりが教室に築かれることになる。
 もちろん、どんなに教師の聴き方と語り方が良くなろうとも、ただちに子どもたちのなかにしっかりとした聴き合う関わりが生まれるわけではない。子どもの変化を焦ってはいけない。子どもの変化はじっくりと時間をかければかけるだけ確かなものになる。少なくとも10か月はかかると覚悟をして、根気よく子どもたちを励ましながら築く必要がある。
(
佐藤 学:1951年生まれ、東京大学教授を経て学習院大学教授 学校を訪問(国内外2800)し、学校現場と共に「学びの共同体」の改革を進めている)

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誰でも聞き上手になるにはどのようにすればよいか

 あなたが聞き上手にふるまいたかったら、あなたのほうから話さないことです。相手の前で、ゆったり構えていること。すると、不思議なことに必ずといっていいほど、相手から話を切りだします。あなたは「素直」にそれを聞けばいいだけです。「素直」に、ということを忘れないことです。そうすると会話のパターンは、相手が話し、あなたはそれを聞き入れる。相手がまた話し、あなたがそれを聞き入れる、という相手主導の会話パターンになるはずです。
 人間関係は相互理解から成り立っています。人は信頼のできる人間関係を持ちたいとつねづね思っています。そのためには、相手の話を聞くことが必要になります。聞くということは、ただ漫然と耳に入れることではありません。聞くことは理解することなのです。相手理解は聞くことからしか生まれないのです。
 「話し上手は聞き上手」という言葉がありますが、これは聞くのが好きだということではなく、話し上手は、人の気持ちに通じているタイプの人が多く、相手の立場を思いやることができるということです。
 「話をよく聞いているよ」と、相手に伝える最良の手段は、「相づち」を打つことです。「相づち」は肯定的なものです。聞き手の肯定的な態度が、「相づち」を打つことになって話し手に伝わるのです。
 話がはずむためには、聞き手が話を肯定的に受け取ることが大切です。否定的に聞かれていることがわかると、話し手は話す気がしなくなってしまいます。
 プロのカウンセラーは聞くのが仕事ですので、相手から非難されるような言葉を発せられても「そうかもしれませんね」と「相づち」が打てるように鍛えられています。
 プロの聞き手であるカウンセラーは、相手の話を聞くときには自分の意見は出さず、相手の気持ちを肯定しながら聞いているのです。それができているかどうかをたしかめるのが、「相づち」なのです。
 相手の話が聞けなくなってくると、「相づち」のかわりに「しかし」とか「けれど」とか「でも」という、言葉が出てくるようになります。それではプロの聞き手としては失格です。
 誰でも聞き上手になれます。話をしているとき、自分の「相づち」を注意深くチェックするようにしているだけで聞き上手になります。
 相手の話を黙って聞くのではなく、必ずうなずきと「相づち」を入れながら聞いていると、話し手は話しやすいものです。「ふんふん」と落ちついた調子で「相づち」を入れますと、よく聞いているサインになります。
 プロのカウンセラーは、種類豊かに、しかも、一人ひとりが工夫した独特の「相づち」をもっています。「なるほど」「なるほどね」「なるほどねえ」など、「なるほど」だけでも幾種類も使い分けています。これに「そう」「そうそう」を加えますと、相手が強く肯定してほしいときの「相づち」として使えます。
 相手の話したことをくり返すことは、素晴らしい「相づち」になります。すると相手はただ聞いてもらった感じだけでなく、話の内容と自分の心情が理解されたと感じます。
 くり返しの「相づち」は「明快に」「短く」「要点をつかんで」「相手が使った言葉で」というのが大切なポイントです。
 プロの聞き手が使わないのに、ふつうの人がよく使う「わかる」「よくわかる」という「相づち」があります。相手の言うことがわかるというのは至難の技なのです。他人の心などそうそうわかるものではないので「そんなにわかられてたまるか」という反発が起こってきます。
 「相づち」を入れるタイミングは、相手の話すリズムをつかみ、それに合わせて相づちを打つ、これはそんなにむずかしいことではありません。
 子どもが問題を起こしたときの教師の態度は、真相を聞きただそうとする意図が露骨に出てしまいます。教師は子どもの味方のはずなのに、聞きだそうとすると、子どもは不安になり、疑い深くなり、何も聞けないはめになるものです。
 どうすればいいのでしょう。簡単です。「相づち」を、話を深めるモードにします。話をよく聞いている、すべて受容していることが伝わる「相づち」を入れるのです。「そうそう」「そうね」「本当、本当」「なるほどね」などです。すると話し手が思わず本心を吐露する会話になってきす。
 プロの聞き手は、「相づち」をひんぱんに使う意味がおわかりになったと思います。あなたも聞き上手になるために、「相づち」の練習をしてみてください。
(
東山紘久:1942年大阪府生まれ、京都大学名誉教授。専門は臨床心理学)

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話してもわからない、理不尽な苦情を言う保護者の話の聞き方のポイントとは

 教師が疲れ切ってダウンしてしまう原因に、保護者からの理不尽な苦情があります。「話せばわかるはず」と思って一生懸命に対応する教師の善意を、自分の不安や不全感から利用する保護者も出てきました。すべての責任を教師の責任にしてしまう。話を受け入れて聞いてもらえないといっさい話が通じなくなるケースもあります。保護者からの多様ないき過ぎたクレームに対応するスキルを教師が身につける必要があると思います。
 多くの保護者は「話せばわかる」人ですが、「話してもわからない」人もいます。教師のせいというより、理不尽なことを言う保護者が何かの理由によって心が不安であったり、情緒不安定であることが多い。保護者に理不尽な苦情を言われたときは、相手の心が不安で攻撃するのかもしれないと思うことで、少し冷静になるかもしれません。
 私も講演で「話してもわからない保護者への対応のポイントを聞きたい」と求められることが多くなっています。臨床心理士は「話を聞くこと」のプロですから、人格障害の人、対応が困難な人の話を聞く技術があり、聞き方のスキルを使って治療に関わります。教師は「話を聞くこと」のプロではありません。学校現場に出てから対応を迫られるので気の毒だと思います。
 話してもわからない保護者の話の聞き方のポイントは、
(1)
歓迎する
 気持ちはすぐ相手に見抜かれます。歓迎するつもりで接してください。できれば「またおお会いしましたねぇ」と迎えるほうが、うまくいきます。どうしても歓迎が難しいときは、お腹のなかで「嫌やなぁ」と覚悟して迎えてください。
(2)
苦情の種類によって対応を変える
 「まともな要求」は誠実に対応する。「ある程度対応すべき苦情」は、ここまではできるけど、ここからはできかねることを伝えます。納得しない場合は管理職と相談する。「理不尽な苦情」は一人で対応せず管理職と相談して複数の教師が関わりましょう。
(3)
初期対応が大切
 最初は迎え入れる気持ちで接する。否定的な「でも」といった言葉を用いず、ていねいに聴くと、その後がうまくいくことが多い。引きぎわを待っていることもあるので、時間は一時間をめどに「○のお話が聞けました」と区切りをつける。
(4)
本音は何かをさぐりながら聴く
 話を真摯に聴きながら、「この人は、こんなにも強い調子で話しているが、この人の悲しみの中心は何だろう?」と、本音をいろいろ空想し、質問して尋ねたりしながら聴きます。
(5)
心の中は自由に何を感じてもよい
 真面目な教師ほど、「相手を悪く思ってはいけない」と自分の心を拘束しがちです。顔に出さないようにして、心の中では何を感じてもいいのです。
(6)
気持ちを短く伝える
 相手の言葉があまりにきついとき、自分の気持ちを短く伝えるとよい。短くがミソです。「そこまで言われると、キツイなぁ」「わからなくなってきました。よくわかる先生を呼びますね」と、いったん席を外し、ひと呼吸できる間をとるといい。
(7)
目的を共有しながら聴く
 対応困難な人の話は、話がそれることが多いので「今日は○についてお話に来られたのでしたね」と確認をはさみます。やりすぎると怒られることがあるので注意する。
 わかりにくい話の場合、わかったふりをして終えると、後で理解がずれたとき「聞いていなかったのか!」と怒ることがあります。わかりにくい話のときは、首をひねってもいいと思います。「今日は○についてお聞きできました」「熱心に考えてくださっているのがわかりました」と、わかったことのみを最後に伝えて帰ってもらうとよい。
(8)
話の限界を設定する
 筋のおかしい話を全部飲むわけにはいきません。「ここまではできるが、ここからはできない」という限界を伝えていいと思います。
 遅い時間の家庭訪問や電話を要求されるケースもあります。緊急でないかぎり「○時までは対応できるけれど、○時以降は対応できかねます」と言っていいと思います。
(
井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター副センター長。10年以上にわたり、学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援をおこなってきた)

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子どもが寄りついていく教師は聞き上手である

 子どもが寄りついていく教師には共通性がある。その一つが聞き上手ということである。
 聞き上手な教師は、子どもたちの話をじつによく聞いている。教師として言いたいことをぐっと押さえ、胸にしまいこまないと、子どもの話を聞くことはできないのである。
 子どもは自分の話をよく聞いてくれる教師が好きになる。
 その聞き方は、子どもを傷つけないように五つのことを守っただけで聞き上手になることができる。
(1)
肯定的に聞き、否定的には聞かない
 子どもたちが気持ちよく話せるように「そうか」「へーえ」と聞いてやる。教師が知ったかぶって「それはちがうだろう」などと、否定せず、子どもの話は肯定的に聞いてやる。そうすると、教師に聞いてもらおうとして、話しかけてくるようになる。
(2)
まちがっていても許容する
 子どもの話はつじつまのあわないことが多い。だが、ささいな矛盾にとらわれず、揚げ足をとったり、まちがいを責めたりしないことだ。子どものいわんとすることをまっすぐに聞いてあげる。
(3)
話の腰をおらない
 教師はすぐに、子どもの話にたいする評価を入れて、流れを断ち切る。
 あるとき、子どもが自分の父親を「あのくそじじいが」と言うから「自分の親をくそじじいなんて言ってはだめだ」と言うと「話しづれえなあ」と口をつぐんでしまったことがあった。
 ともかく、話の流れを断ち切らずに、一気に聞くことである。
(4)
だいじな話を聞く場合は、気が散るものは遠ざける
 子どもの視線の中に動くものをおかない。テレビ、携帯を切り、音や人の話し声のしないところに行く。
(5)
子どもの話にすばやく反応する
 くりかえしの技法や「なるほどね」とあいづちをうつ。「大成功だったね」と感心する。「それでどうしたの。怒られたんじゃないの」と少し質問してみる。
 いずれも、話をはずませる聞き方で、「きみの話をよく聞いている」ことを示している。
(家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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子どもたちが聴き合う教室のつくりかた

 学び合うには、聴き合う関わりが基礎にある。
 とかく教師は、子どもの発言を追究しがちだが、むしろ一人ひとりの発言に耳をすますことを中心に指導することのほうが、はるかに重要である。どの子どもも安心して発言できる教室は、異質な声に敏感に耳をすます聴き合う関わりをつくりだすことによって、実現することができる。逆ではない。
 聴くということは、学びが学びとして成立するためのもっとも重要な行為である。学び上手な子どもとは聴き上手な子どもである。
 ところが、ほとんどの教室では、この「聴く」関わりが、子どもたちのなかに築かれていない。他者にたいする無関心が支配しており、学び合う関わりは生まれようがない。「よく聴いて」と注意するだけでは無駄である。
 聴き合う教室を築く第一歩は、まず教師自身が一人ひとりの子どもの声を注意深くていねいに聴くことを根気よく続けることである。それ以外に道はない。
 他の子どもの発言に耳をすまさない教室には、かならず、一人ひとりの子どもの声をていねいに聴きとっていない教師がいる。そういう教師のほとんどは、自分自身もおしゃべりで、ぞんざいな言葉やあいまいな濁った言葉で話しかける。
 言葉を一つひとつていねいに選んで発する話し方ができていないし、一つひとつの言葉が一人ひとりの子どものところに届いているかどうかを意識することなしに話している。そういう教師のいる教室では、聴き合う関わりも学び合う関わりも生まれようがない。
 教師が一人ひとりの子どもの言葉に耳をすまして敏感に対応し、一人ひとりの子どもにていねいに届く言葉を発することができるようになって、はじめて、子どもたちのなかに聴き合う関わりが生まれ、しっとりと言葉を深く吟味しながら交換し合う関わりが教室に築かれることになる。
 もちろん、どんなに教師の聴き方と語り方が良くなろうとも、ただちに子どもたちのなかにしっかりとした聴き合う関わりが生まれるわけではない。
 子どもの変化を焦ってはいけない。子どもの変化はじっくりと時間をかければかけるだけ確かなものになる。少なくとも10か月はかかると覚悟をして、根気よく子どもたちを励ましながら築く必要がある。
(
佐藤 学:1951年生まれ 東京大学教授を経て学習院大学教授 学校を訪問(国内外2800)し、学校現場と共に学び合う学びの改革を進めている)

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Aについて聞きたければBから聞いてみるとよい  

 子どもから話を聞きたいことがある。たとえば、○○子が、朝の会で沈んでいたというような場合。気になるので、その理由を聞きたいがどうすればよいだろうか。
 休み時間、教室で「○○子、朝の会で元気なかったけど、なにかあったのか」と聞いても、○○子は表情を硬くして「なんでもない」と答えるにちがいない。小学校の高学年から高校生の生徒は、自分の心のなかのことを、簡単には話をしてくれない。
 休み時間、教室にいる○○子に話かけるのはいいが、聞こうとするテーマとは別の、さしさわりのない話をし、少し打ちとけてからほんとうに聞きたいことを聞く。これがコツである。
 つまり、「Aを聞きたければBから聞いてみる」という方法を利用するのである。
 たとえば、
「○○子。きみの弟は池上小学校だったよな。担任の先生、だれなの」
「矢野先生」
「矢野さんか。酒飲みだろう。すごい飲んべえだそうだな」と言うと○○子も笑って、
「先生も飲んべえじゃないの」
「あ、ばれたか。あまり、人のことは言えないな。そうそう、ところで、朝、元気なかったな。気になっていたんだ。なんかあったのか。よかったら話してくれないかな」、こう聞くと、表情は瞬時、凍るけど、心はとけているので、
「友だちの悪口を聞いたんで、いやな気持ちになったんです」
「友だち思いだものなあ、○○は。やさしいからな。落ち込むよな。けど、あまり気にするな」と言うと、○○はうなずく。
ここまでで、これ以上、聞かなくていい。
 この聞き方は指導の原則である。
 「Aを聞きたいからAを聞く」ではなく「Aを聞くためにBから聞く」ということだ。これがプロの、ていねいな仕事ぶりでなのである。
(家本芳郎、19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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子どもが望んでいることは話を聞いてくれ受けとめてくれる人  

 子どもが望んでいることは二つあります。
 自分の話を聞いてくれ、受けとめてくれる人がほしいこと。
 もう一つは居心地のいいひとです。
 子どもが「ねえねえ」と寄ってきたとき、「忙しいの」とか「後で」とつい言ったりしがちです。しかし、忙しいときでも子どもの話しを聞いてやって、「そうやったん」、「へえー」と共感のメッセージを送りましょう。そうすれば子どもは納得し、親の話も聞くようになります。
 「何やってんだ」などは子どもとのつながりを「切る言葉」です。言ったほうはスッキリします。でも、言われた子どもはストレスがたまります。
 逆に「どうしたん」は子どもを「つなぐ言葉」です。子どもを受容して、そこから会話が始まります。
 1日少しの時間でも子どもの話を聞くようにします。子どもの信頼を得てからでないと、しかっても響きません。
 言って聞かせようとしても、ふだん耳を貸していないと子どもは応じません。ふだんの会話のツケの代償は大きいものです。
(園田雅春:1948年京都市生まれ、大阪府高槻市立小学校教師、大阪教育大学教授、同大学附属平野小学校長などを歴任し大阪教育大学特任教授。専門は教育方法学)

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