カテゴリー「授業中の生活指導」の記事

授業中、子どもが居眠りしているときどうすればよいか    川端成實

「授業中に何を居眠りしている!」とみんなの前でいきなり叱責することは避けたい。
 子どもは、自分が悪いと思っていても、みんなの前で恥をかかされたととらえ、素直に謝罪しないことが多いからである。
 居眠りにも理由がある。
(1)
体育の授業後
(2)
午後の授業時間で眠気がさす
(3)
体調が悪い
(4)
寝不足
(5)
教師への挑戦・反抗
 など様々である。
 個々の状況を踏まえて指導することが必要である。
 授業中に居眠りしている子どもに
「夜更かしをしたのか」
「何か私に訴えたいのか」
 などと予想を立てながら、近くにいって小声で
「どうした? 体調がわるいのか?」
 と声をかける。
 本当に居眠りをしていた場合でも、こう聞かれれば居眠りを攻撃されている感情は生まれにくい。
 体育の授業の後で、数名が居眠りをしている。
「みんな疲れているようだけど、よくがんばっているね」と声をかける。
 一人寝たままの子どもがいた。
 同じ班の子どもと視線が合ったので、目で合図を送ると肩を軽く叩いて起こしてくれた。
 これをきっかけに
「近くの人が居眠りしていたら、肩を揺すって起こしてあげよう」
 と、全員が授業に参加する約束をつくった。
「授業のじゃまをしなければ居眠りはいい」という言い方は避ける。
 居眠りの同調者が増え、授業不成立の原因になりかねないからである。
(
川端成實:元鹿児島県公立中学校教師)









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授業中におしゃべりをやめない子どもがいるときどうすればよいか   富永裕一

 授業中におしゃべりをやめない子どもがいるときどうすればよいか富永裕一はつぎのように述べています。
 授業中におしゃべりするのは、勉強に対して投げやりになっていたり、授業そのものに魅力を感じていないことが多い。
 授業を子どもたちの世界が広がるように工夫したりする必要がある。
 授業後、おしゃべりのやまない子どもたちの思いには配慮せず、職員室などに呼び、
「どんなに周りに迷惑をかけているか」
 と、一方的に説教すると、おしゃべりがなくなることもある。
 その代わり、授業中に最初から最後まで寝るようになったり、騒ぎやすい授業では、逆に発散するように騒ぐようになったりする。
 子どもたちの話にも耳を傾け不安や悩みに共感するようにすることが大切である。
(富永裕一:札幌市公立中学校教師)

 

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授業中の子どもたちのおしゃべりのなくし方

 授業中、おしゃべりをする子がどの学級にもいる。
 このおしゃべりにつられて学級全体がざわざわして落ち着きがなくなっていく。
 こんなとき「おしゃべりをやめなさい」と注意しても、一瞬は静かになるものの、しばらくするとまたおしゃべりが始まる。
 そこで、さらに声を荒げて「おしゃべりをやめなさい! 何回言ったらわかるんですか」と怒鳴ってしまうことになる。
 しかし、あまり効果がない。威圧的な力によって静かにさせているだけである。
 学級の子どもたちに静かにする努力を励ましたり、支援したりするようにすることが大切である。
 例えば、学級全体がざわざわしているときは、その中でも、ましな状態はどこかを捜して、教師は班やグループや列を単位にほめる。
「3班は、誰もおしゃべりをしていません。さすがです」と言う。
 このほめ言葉を聞いて、おしゃべりが減ってくると教師はすかさず「2班と5班もおしゃべりがなくなりました」とほめる。
 このように次々とほめていくと、おしゃべりがなくなっていく。
 おしゃべりをなくそうとするとき、その原因を見つけることである。
(1)勉強がわからないため
 勉強がわかるような手だてを講じれば、おしゃべりはなくなっていく。
(2)友だちとの低い友情関係のため
 近くの席にいる子どもたちの力を借りて、注意し合うようにすれば、おしゃべりはなくなっていく。
 あるいは、生活班や学習班を使う。
 おしゃべりする子のとなりに班長がすわって、おしゃべりが始まったら、すはやく肩や腕を軽くつついたり、小さな声をかけたりして注意する。
 班のみんなで注意し合うようにすると、もっと効果的である。
(3)教師への反抗から
 その子が持っている不満や思いをさらけ出させ、その子の側に立って共感的に理解してやるような努力を続ければ、おしゃべりはなくなっていく。
(加藤辰雄:1951年愛知県生まれ、名古屋市立小学校教師退職後は、愛知県立大学非常勤講師。「読み」の授業研究会運営委員)

 

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どの子も「話を聞き・考え・説明」できるようにするには、どうすればよいか

1 どの子も友だちの話を聞けるようにするには、どうすればよいか
 クラスで子どもが発表しているとき、話を聞いていない子どもがいる。
 そのとき「聞きなさい!」と教師が言うのではなく、自然と話を聞こうという気持ちにさせることが大切である。どうすればよいか。
(1)「どいうこと?」と聞き返す
 一人の子どもが発表し終わったあとに、「どいうこと?」と、ときどき言うだけで、周りの子どもたちは、友だちの話をよく聞こうとするようになる。
 また、永田美奈子先生は、子どもが話したことがなかなか理解できないことが多いので、真剣に、子どもたちに、「どいうこと?」とよく聞く。
 すると、他の子どもたちが、パッと手を挙げて、もう一度教えてくれる。
(2)途中で止める
 周りの子どもたちが聞いていないなと感じたら、話をしている子どもをちょっと止める。
 その瞬間、下を向いていた子どもたちが、はっとして前を見る。
 そして、もしそれまでのことを聞いていないようだったら、申し訳ないけれど、また初めから話をさせる。
 また、途中で止めたあと、「友だちは、このあとどのように話を続けるかな?」と、子どもに投げかけることも有効である。
 このようなことを続けると、だんだんと子どもたちは、友だちの話を聞こうとするようになる。 その時に、教師が「よく聞いていたね」と、子どもたちに言葉をかけることを忘れてはいけない。
2 どの子も考えられるようにするにはどうすればよいか
 自分だけの力で解決することができない子どもがクラスには必ずいる。
 せっかく学級で学習しているのだから、友だちの力を借りればいい。どうすればよいか。
(1)となりの友だちと相談させる
「ちょっと隣と相談してごらん」と、この言葉を言ってあげるだけで、教室は、ほっとした雰囲気になる。
 一人では、考えられない子どもが「ほっ」とする瞬間だ。
 また、これは、わかったようなわからないような不安な気持ちでいる子どもにとっても、自分の考えがよさそうか確かめられる時間にもなる。
 授業は、一人で考え、その考えを発表するだけの時間ではない。もっと、自由にしゃべり、自分の考えを確かなものとしていく時間ととらえたい。
(2)ヒントを言わせる
「他の友だちが考えられるように、ちょっとヒントを言ってくれるかな?」
 子どもというのは、教師の話よりも友だちの話の方がしっかり聞くものである。
 ちょっと考えがつまっている子どもがいるなと感じたら、解決できた子どもからちょっとだけヒントを言ってもらうといい。
3 どの子も説明できるようにするには、どうすればよいか
 発表したくても勇気の出ない子どももいる。
 どのように説明したらよいのかわからなくて手が挙がらない子どももいる。そんな子どもたちには、発表の仕方に慣れさせることも必要である。
(1)友だちの説明をまねて復唱する
 一人の子が説明したとする。
「友だちが説明したことを一人1回まねして言ってみましょう」と、それを他の子どもたちに復唱させるのである。
 これを繰り返して行うと、だんだんと説明の仕方が身に付いてくる。
 また、復唱するためには、子どもたちは、よく聞いていないといけないので、聞くことも身に付けさせることができる。
(2)隣の人に説明してみる
 全員の前でいきなり説明するのは勇気のいることである。自分なりの考えができたら、
「自分の考えを隣の人に説明してみましょう」
 と、隣の人に説明してみるということを取り入れるとよい。
(永田美奈子:青森県公立小学校教師を経て、2007年度より私立雙葉小学校勤務。NHK教育番組「わかる算数」出演。全国算数授業研究会常任理事、ICT算数授業研究会理事、基幹学力研究会幹事等)

 

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子どもたちの学習態度を育てるにはどうすればよいか、また机間指導中に行うべきことなんでしょうか

「白井さん、あれは授業ではありませんね。」
 新任の時、初めての授業研究が終わっての帰り道、歩道橋の上で当時の校長であったH先生からいただいた言葉です。
 自分なりにがんばったつもりであり、授業後の研究協議会でも厳しい意見をいただかなかっただけにショックでした。
「模造紙何枚もの資料を作ったのに…」
「睡眠時間を削って指導案を書いたのに…」
 今考えれば、H校長先生の言葉がよくわかります。
 せっかく作ったからといってすべての資料を広げれば、子どもたちは混乱するばかりです。
 授業は私の努力を見せる場ではありません。
 また、睡眠不足は私の準備不足から来たもので、子どものせいではありません。
 むしろ、そんな状態で授業をしたことを子どもたちに謝らなければならないところです。
 つまり主語がすべて自分であって、子どもたちが主語になっていないのです。
 当時はそのことに気付きませんでしたが、この厳しい言葉が、授業について考える出発点になったのは確かです。
 幸いにして、私はたくさんの授業を見せていただく機会に恵まれました。今までに見せていただいた授業の数は、二千本近くになるのではないでしょうか。
 これまでたくさんの授業を見てきて、とても残念に思うのは、学習態度は小学校の低学年の方がしっかりしている場合が少なくないことです。
 学習態度を向上させるのに一番効果的なのは、新年度早々に「○年生らしい姿とは何か」について十分に話し合わせ、めざしたい○年生像を一人ひとりの子どもにしっかりとイメージさせることだと思います。
 その際、具体的な行動の仕方や態度だけでなく、それがなぜ求められるのかということについても十分に話し合わせておくことが大切です。
 また、話し合いの基本的なルールやマナーについて集中的に指導しておくことも有効です。
 年度当初、学級で話し合っておいた方がいいことはたくさんあるはずですから、それらを話し合わせる中でルールやマナーを身につけさせていくのです。
 高学年であれば、下級生の存在を意識させるというのも、自らの行動への自覚を高めていくうえで有効な方法です。
 機会あるごとに、下級生が君たちから何を学んでいるかということを、特にプラス面を中心に伝えていくのです。
 子どもたちの学習態度を高めるために、他の先生方の力を借りるということも大切です。
 なるべくいろいろな教師に教室に来てもらって、授業の仕方だけでなく、子どもたちの様子についても見てもらい、批評してもらうようにするのです。
 なぜこのようなことが大切かと言いますと、知らず知らずのうちに学級の雰囲気やスタイルのようなものができてしまい、教師も子どもたちもそれに慣れてしまって、その中の改善すべき点が気づきにくくなってしまうからです。
 反対に、見てもらって教師からほめてもらった場合は、子どもたちにそれを伝え、共に喜び合うようにします。
 子どもたちにとってほめてもらうということは大きな自信になり、さらにがんばっていこうとする意欲につながっていきます。
 机間指導中に行うべきことはなんでしょうか。
 机間指導は、
(1)子どものつまずきを早期に発見し、適切な手だてを講じるようにします。
(2)よい点を認め、励ますということです。
「この考え、すばらしいよ」と声をかけたり、ノートにその場で花まるを書いたりすると、ふだん発言をためらいがちな子でも発言するようです。
 先生に認められ自信が生まれるからでしょう。
(3)授業の組み立てに役立てるということです。
 たとえば、
「Aさんがノートに書いている疑問は目標と関連が深いから、全員の学習課題にしていこう」
「Bさん、Cさんの順に指名してそれぞれの解き方を説明させ、共通点と相違点を考えさせよう」
「Dさんが個性的な考え方をしているから、紹介しみんなの見方を広げていこう」
 と、その後の授業展開をイメージしていくのです。
 机間指導の際に座席表を活用すると、授業の組み立てや、記録や資料としても役立つでしょう。
 各自が自分の考えをまとめているときに、座席表に簡単にメモしていきます。
 そのメモした座席表の情報をもとに授業を組み立てていくと、授業はふくらみのあるものになります。
 また、このメモした座席表を保存していくと、子どもたちの学習状況をとらえるための資料となりますし、通知票の所見を書く際に活用すれば記述が具体的なものになります。
 机間指導中に子どもと会話する場合には、しゃがみこんで子どもと目の高さを合わせて話すことが大切です。
 また、個別指導しているときも、常に全体に目配りしている必要があります。
(白井達夫:川崎市立小学校教師、横浜国立大学附属横浜小学校副校長、川崎市総合教育センター教科教育研究室長、川崎市立小学校校長を経て横浜国立大学教育デザインセンター主任研究員)

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「授業を通して人間関係を強化し、集団をつくる力を養う」実践例

 佐賀県多久市立中央中学校では数年前まで、生徒同士のつながりだけではなく、教師と生徒との信頼関係、教師同士の連携も弱いことから、校内に問題が出ていた。
 そこで中央中学校がまず着手したのが、教師間の人間関係づくり。そこから教師と生徒の関係づくり、さらには生徒同士の集団づくりに至る過程を追っていく。
 中川正博校長は2002年度に中央中学校に赴任した当時、生徒の姿を見て、
「同じ校舎にいても一人ひとりが孤立していた。子どもたちの結びつきが、とても弱いものになっている」そんなふうに感じたという。
 校内ではちょっとしたきっかけで生徒同士がケンカになるといった光景が、日常的に見られた。ケンカを通してお互いの人間関係が深まればいいのだが、自分の感情を相手にぶつけるだけの不毛なトラブルが多かった。
 だが、結びつきが弱いのは、生徒同士の関係だけではなかった。
 中川校長によると「教師と生徒、そして教師同士の関係も強いものとはいえなかった」という。
 同じ校舎にいても、一人ひとりが孤立しているといったようすだった。中川校長は、
「当時の生徒たちの顔つきは“目が尖っている”という感じでした」
「生徒の目が尖っているから、彼らと接する教師の姿勢も、つい刺々しいものになってしまう」
「また、学校が落ち着かないときには、教師に集団としてのまとまりが求められるのに、教師間の動きもばらばらでした」
「各教師が自らの『経験と勘と気分』で、個別に生徒を指導している状態だったのです」と語る。
 そんななかで中央中学校がまず着手したのは、教師間の人間関係の構築だった。
 教師と生徒、生徒同士の人間関係を築く礎として、まず最初にそこを優先したのだ。
 きっかけは山形県のある中学校を訪問したことだった。
 その中学校はかつて荒れた学校だったが、短期間で建て直しに成功していた。
 そこで導入していたのが、茨城大教育学部講師の笠井喜世氏が提唱する「テトラS」という教師間の連携の手法だった。
 そこで、中央中学校も、テトラSを取り入れることにしたのだ。
 テトラSによる学校再生のサイクルは、
1 現状把握:校内の問題をカードに客観的に書き出す。
2 まとめる:内容が似ているカードをまとめ、それぞれに要約したタイトルをつける。
3 現状分析:なぜ生徒がこのような行動をするのか、意見、思いをすべて出し合う。
4 問題提起:学校が抱えている問題を整理する。
5 目標設定:どの問題の解決に優先的に取り組むか決め、具体的にどう取り組むか、実践可能な目標を設定する。
6 評価:毎日、目標に対してどれだけできたかチェックリストで自己評価(数値化)する。グループで実践の度合いを確認し合う。
7 評価まで到達し、目標が達成されたと班会で認められたときは新しいサイクルに入っていく。
 中川校長は、
「テトラSでは、まず本校の教師35名を担当教科や学年、在籍年数などが偏らないように四つの班に分けます」
「各班では、先生方が生徒の生活態度や学習態度で問題だと感じていることを書き込んだ『現状把握カード』をもとに、なぜそうした問題が起きているのか、問題解決のためにはどのような手法が有効かといったことを話し合っていきます」
「そして問題解決に向けての目標設定と具体的な取り組みを各班ごとに決め、実行に移していくのです」と語る。
「授業が始まっても、学びに集中できない生徒が目立つ」という課題がある教師から提起されたとする。
 班のメンバーは「休み時間と授業中のメリハリがついていないことが理由ではないか」と原因を探っていく。
 そこで「生徒が授業に集中できる環境をつくる」という目標を立て、
「教師は早めに教室に行き、授業開始のチャイムと同時に授業を始められるようにする」
「授業開始の礼は、全員がそろってからにする」など具体的な取り組みを決め、実践する。
 効果のあった手法については、月1回の全体会で全教師にフィードバックされる。
 このテトラSが導入された当初は「ただでさえ忙しいのに、なぜさらに業務を増やすのか」と消極的な態度を見せる先生も少なくなかった。
 しかし、中川校長は「ほかの業務を精選してでも、テトラSにはしっかり取り組んでください」と指示を出した。
 確かにテトラSでの個々の取り組みは、小さなものであったが、小さな成果の積み重ねによって、やがて学校全体の生徒指導のノウハウが蓄積されていった。
 何より大きいのは、ばらばらの方向を向いて指導に当たっていた先生方が、一緒に話し合い、行動するなかで、問題意識を共有できるようになったことだ。
 教務主任の大野敬一郎先生は、
「教師の世界は独立独歩の雰囲気が強いのですが『テトラS』が教師の垣根を取り払ってくれました」と話す。
 大野先生の言葉を受け継いで、教頭の太田春美先生も次のように語る。
「生徒指導でよくみられるのが、生徒指導主事を中心とした一部の先生方が力で生徒を抑え込もうとするケースです」
「この場合、学校に生徒指導のエースがいるときにはうまくいくかも知れませんが、その先生が異動でいなくなってしまったとたんに、生徒の生活は崩れかねません」
「それに比べて今の本校は、学校で何か問題が起きたときに、一部の先生が力を行使して問題を収めようとするのではなく、全員で問題が起きている原因を探り、組織として解決していこうとする態勢が確立されつつあります」
 興味深いのは、教師の関係が変化すると、それが生徒にも敏感に伝わるということだ。
 テトラSの活動を通じて、すべての先生が同じ姿勢・同じ言葉で生徒に接するようになった。
 また、担任や授業を受け持っていないクラスの生徒にも意識が向くようになった。
 例えば、授業に遅刻してきた生徒に対して頭ごなしに突き放すのではなく、
「なぜこの子は、授業を前向きに受けることができないんだろうか」
 というように、子どもを理解しようとする方向へと意識が向かっていった。
 その変化に、生徒が教師に向ける態度も、刺々しいものから柔らかみを帯びたものへと、少しずつ変わっていった。大野先生は、
「もちろん一朝一夕には、生徒の変化は望めません。私が担当している体育でも、3年間取り組みを続けてきて、チャイムと同時に授業を始められる雰囲気ができあがりました。今、本当の意味でスタート地点に立ったところです」
 教師同士のつながり、教師と生徒との信頼関係を取り戻した中央中学校が、力を注いでいるのが、生徒同士の集団づくりの力を高めていくことだ。
 生徒指導のキーワードが、「自己存在感」「自己決定」「共感的人間関係」という三つの視点だ。
「自己存在感」とは、自分が集団を構成する欠くことのできない一人であるという存在感を生徒に感じさせること。
「自己決定」は、生徒に自ら考え決定する場面を与えること。
 そして「共感的人間関係」とは、教師と生徒、また生徒同士が、お互いの存在を認め合い、一緒に高め合っていける関係であることだ。
 中央中学校では、この三つの生活指導上の視点を全ての教科指導のなかで取り入れ、授業の中で実践している。
 研究主任の真子靖弘先生による3年生の「公民」の授業では、社会問題についても自分が知っていることを踏まえて自由に意見を述べる雰囲気がクラスに醸成されている。真子先生は、
「新聞記事を手がかりにすれば、どんな生徒でもそのテーマに対する自分の意見を述べることができます。つまり『自己存在感』を発揮することができる」
「またある生徒の意見に対しては、別の生徒を指名して、賛成や反対の意見を引き出していきます」
「これは自分の意見を述べるには、相手の言葉にきちんと耳を傾けなくてはいけないという『共感的人間関係』をつくり出すことをねらったものです」
「そして授業の締めくくりには『自己決定力』をつけさせるために、最終的な自分の意見をワークシートに書かせ、お互いに見せ合い、みんなの前で発表させています」
 真子先生の授業は、教師の側から生徒に発問をし、その答えを元に展開していくというスタイルをとっている。
 難しいテーマを取りあげるときにも、できる限り生徒が授業に参加しやすい雰囲気をつくる配慮をしているのだ。
 そのような授業のなかでお互いの意見を見せ合う場を保障し、話し合うことができるようにする。
 相手の意見を認め合う過程で学習集団づくりができるといった、授業のなかで生徒指導を行っているのだ。
 また生徒の意見が対立したときには、ディスカッションが取り入れられることもある。
 生徒は、ほかの生徒の多様な発想や意見に刺激を受けながら、自分の考えを深めていくというわけだ。真子先生は、
「生徒には、反論を述べるときには客観的資料に基づいて発言するように指導しています」
「また相手の意見をバカにするような発言があったときには、授業を止めて真意を確認するようにしています。ですから議論が感情論に陥ることはほとんどありません」
 このように授業で生徒同士の良好な関係を築き、学習集団をつくっていく工夫を積み重ねていくうちに、学校行事等での生徒のようすにも変化が見られるようになった。大野先生は、
「体育大会での器械体操や創作ダンスなどの集団演技の練習では、上級生が率先して下級生の指導にあたり、私たち教師が介入する場面はほとんどなくなりました」
「生徒たちは、教師の手を離れたところでも、自分たちで集団をつくり、動かしていく力を身につけつつあります」
 中川校長はこうした集団の力を、今後は学習習慣の定着に活用したいと考えている。中川校長は、
「家庭学習時間を調査すると、家庭学習時間はゼロという生徒が、本校でも5割強はいると感じています」
「生徒会を中心に、生徒が自分たちで『学習や生活を見直そう』という行動目標を立てるような方向に持っていきたいですね」
 中央中学校では、さまざまな教育活動に対する自己点検・自己評価にも力を注いでいる。
 毎学期、57項目にもわたる「生徒指導の自己点検・自己評価」というアンケート用紙を教師に配布。A~Dの4段階で活動を自ら評価している。
 評価項目は、
「生徒の実態や行動の変化を把握し、生徒指導に学校全体が取り組んでいる」
 といった生徒指導に関するものはもちろん、
「地域住民やPTAの諸会合等から積極的に意見や情報を収集している」
 といった家庭・地域・他機関との連携に関するもの、学級運営や教科指導、部活動にかかわるものなど、教育活動全般を網羅している。
 また生徒に対しても毎学期ごとに、「学校生活は楽しいですか」「授業はわかっていますか」といった質問項目から構成される「学校生活についてのアンケート」、
 さらには保護者にも生徒のようすと学校への要望についてのアンケートを実施している。中川校長は、
「こうした自己評価・自己点検、アンケートを通じて、学校が抱えている問題点を明確にでき、改善に結びつけていくことができます」
「また、学校の現状や、学校運営の方向性を地域や家庭に説明するときの根拠データにもなります」
(ベネッセ教育総合研究所:VIEW21(中学版)2005年4月号)

 

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学習規律とは何か、どのようにして学習規律を教えれば、できるようになるのでしょうか

 授業を行うには、学習するのにふさわしい環境が必要です。
 落ち着いた、整然とした学習環境であれば、集中してじっくり考える時間が持てます。自分の考えを発表したくなります。友だちの考えを聞いてみようと思います。
 「なるほど」「あっそうか」と発見があり、学ぶことが楽しくなるのです。
 はじめに、どのような環境で授業をするのがよいかという必要性を含めて「学習規律」というルールを教えることが第一段階です。
 徐々に教えていけばいいだろうと安易に考えてはいけません。
 4月当初、子どもたちが教師の様子を探っている時期を逃さず、教えていくことが大切です。
 次は教え続けることです。
 教師が学習規律の話をして、全員がすぐに習得できるのは、指導直後のみであると考えたほうがいいでしょう。
 繰り返しほめながら、教えつづけること。妥協せず徹底することが大切です。
 教え続けることができるか否かで、今後の授業が大きく変わるものです。
 この段階が教師の頑張りどころなのです。
 「大体の子はできている」ではなく「全員できる」ことを徹底しましょう。
 最後は、当たり前にできることとして習慣化することです。
 子どもたちに身につけさせたい学習規律は、
1 休み時間に次の学習の準備をする
2 授業始めのあいさつをする
3 よい姿勢「グー・ピタ・ピン」
(1)グー:机と身体の間隔はグー
(2)ピタ:足は床にピタッ
(3)ピン:背筋はピン
4 指名されたら返事をする
5 聞き方「あいうえお」
(1)あ:あいての顔を見て
(2)い:いっしょうけんめい
(3)う:うなずきながら
(4)え:えがおで
(5)お:おしまいまで聞く
6 話し方「あいうえお」
(1)あ:あいての顔を見て
(2)い:いっしょうけんめい
(3)う:うんと口をあけて
(4)え:えがおで
(5)お:おしまいまで話す
7 話し方・話し合い方
「〇〇です」「〇〇だと思います」「理由は〇〇です」「Aさんと違って〇〇です」
8 ノートに書くときは、下敷きを入れる
9 線を引くときは定規を使う
10 授業の終わりのあいさつをする
 この学習規律の環境をつくることは、教師の重要な役目です。
 後は、教師の授業力で磨いていき、子どもを育てていくのです。
(川原田友之:1952年福島県生まれ、千葉県公立小学校教師、教育委員会指導主事、課長。退職後は東京都教育研究所主任研究員)

 

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子どもが宿題をやってこないとき、どう指導すればよいのでしょうか

 何度注意しても、宿題を提出できない子どもはどのクラスにもいるものです。
 担任もあきらめて、対応がうやむやになってしまうことがあります。
 担任が保護者に、
「宿題をやってきません。おうちで見ていただけますか?」
 と頼むと、
「勉強を教えるのは学校でしょ。こっちだって忙しいのに」
 と反発が起きることがあります。
 宿題はやりたくないから、価値があるのです。
 怠け心に打ち克ってやる。
 その心を鍛えるためにあります。
 宿題忘れが常習的になってしまった子どもの保護者には、個人面談のとき「宿題の意味」を保護者にしっかりと伝え、協力を要請しましょう。
 保護者がわが子に、声かけやチェックだけなら、時間もかからず負担も少ないはずです。
 子どもが宿題を終えたら、保護者のサインをもらうという仕組みをつくります。
 宿題をやってあるかどうかだけのチェックです。
 3分もあれば十分ですから、保護者の負担にはなりません。
 年度はじめや学期始めの懇談会や学級通信で協力をお願いしましょう。
 また、宿題は必ず全員ができるものを出すことが鉄則です。
「全員できて、簡単にチェック」という仕組みで、宿題を忘れる子どもはぐんと減ります。
 さらに、漢字練習や計算練習など「毎日、必ずある」という宿題をつくりましょう。
 保護者も「今日は宿題ないの?」と聞く必要がなく、子どもも、ごまかすことができません。
 量は少なめで十分です。
 宿題の「定番」をつくることをおススメします。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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授業中、「つまらない」と言われたり、集中しない子どもがいたとき、どうすればよいでしょうか

 授業中、「つまらな」「わからない」と子どもに言われてしまったときは、教師にとって自分の授業について振り返るチャンスととらえ、対応を考えることが重要です。
 こんなに準備して授業に臨んでいるのにと、子どもを責めるようでは教師の資格はありません。
 次の観点から、授業を振り返ってみてください。
1 わかりにくい授業では?
「そうだね。わかりにくい説明だったね。こう考えてみたらどうかな」
 と、別の例を出したり、図を使ったりして説明します。
2 学習問題が子どもたちの生活経験から離れ、イメージしにくいのでは?
「今考えている問題は、みなさんの身近な〇〇と関係があるんだよ」
 と、子どもたちの日常生活のできごとと結びつけて説明します。
3 この学習をする意味がわからないのでは?
「この問題を考えることは、〇〇といった力がつくんだよ。例えば□□のときに使えるよ」と、具体的に説明します。
 騒いでいたり、寝ていたり、授業に集中していない子どもに注意する場合は、どのようにしたらよいでしょうか。
 怒ったり、声を荒げても、一瞬、静まるだけで本質的な解決にはなりません。
 なぜ集中できないのかを子どもたちの立場から考えてみることです。
 授業に集中できず、騒いだりする理由は様々考えられます。授業に問題がある場合と、その他に原因がある場合があります。
1 授業に問題がある場合 
 その授業のときだけに集中できない様子が見られたときです。
 そんなとき、「こちらを見なさい」「しっかり話を聞きましょう」などと大声で注意しても何の解決にもなりません。
 まず、学習課題がむずかしすぎて、やるべきことがわからないため、騒いでいることがあります。
 机間指導をしながら、課題の意味や課題追求の方法を具体的に説明します。
2 その他に原因がある場合
 窓から見える体育の授業が気になっていることもあります。
 教師が教卓からゆっくり移動して立つ位置を変えて全体に話しかけたり、騒いでいる子どもの側に立ち、そっと肩に手を置き、それとなく注意を喚起するのもよいでしょう。
 もし、学級の何人かが、気にとられているようであれば、ちょっと授業を中断し、
「みんなも次の体育の授業のときにやるよ。今は、算数がんばろう」と、一呼吸を入れるぐらいの余裕を持ちたいものです。
(梅沢 実:鳴門教育大学、帝京科学大学教授を経て埼玉学園大学教授)

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今、教師が言ったことを聞いていない子どもがいる、どう指導すれば聞くようになるのか

 今、教師が言ったことなのに、話を聞いていない子どもがいる。どうすればよいのでしょうか。
 例えば、教師が「遠足の時には、紅白の帽子をかぶっていきますよ」という話をした直後のことです。
 A子が「質問があります」と手を挙げ「先生、紅白帽子はかぶっていきますか?」と真顔で質問しました。
 この質問が教師の逆鱗に触れました。
「Aさん。今言ったばかりです! 聞いてなかったんですね」
 こういったことが日常茶飯事にある子どもを、
(1)愛すべきキャラ
 聞いたばかりのことを真顔で質問するなんて、これはもう愛すべきキャラで、チャームポイントと考えよう。
(2)自分の世界がある
 話を聞いていない時には、自分の空想の世界に入っていることがある。想像力をもっているとも言える。
(3)聞き流すのが得意
 ちょっと嫌なことを言われても、気づかないので傷つかずに済む。
と、ネガティブな行動をこう考えてポジティブにとらえ、次のような対応をとるとよい。
1 笑顔で対応 
 話を聞いていないと、叱り続けていては、教師とAさんとの関係が悪くなります。そして、それを見ている周りの友だちとAさんとの関係も悪くなってしまいます。
 だから、基本は「言ったよ」と笑顔で応えます。ずっこけるリアクションをしてもいいでしょう。
 すると、まわりの子どもたちも「しょうがないなあ」と思ってくれます。愛すべきキャラにします。
2 聞いている時を見逃さない
 話を聞いていないことが多いA子さんでも、どんな時でも100%聞いていないということではありません。
 聞いているとき「A子さん、今、先生が言ったことを言ってみて」と笑顔で言います。
 これを繰り返し、本人にも周りの子どもたちにも、A子さんが話を聞けるようになってきたということをアピールします。暗示のような効果があります。
3 聞かざるを得ない状況を作る
 教師が、
「今、先生が言ったことをペアで確認します」
「列の右側の人が、左側の人に先生が言ったことを言いましょう」
「左側の人は、合っているかどうか聞いてあげましょう」
 このような指示を授業のところどころに入れて、聞かざるを得ない状況をつくります。
(飯村友和:1977年千葉県生まれ、千葉県公立小学校教師。子どもたちが安心して学び、自らを高めようとする学級づくりを研究。全国各地で、模擬授業や学級づくりの講座を披露している。教師と子どもとの距離を縮める多数のネタやそれを支える考え方、子どもと教材との楽しい出会わせ方には定評がある)

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