子どもたちが友だちをサポートするピア・サポート活動とは何か
ピア・サポートとは,同年代の子どもたちが友だちをサポートするということです。
子どもたちが困ったときに相談する相手の多くは同年代の仲間です。
ピア・サポートはそういった子どもたちの特徴を生かして、友だちをサポートしようとする子どもたちを積極的に育成し,「クラスや学校に思いやりの風土を形成していく活動」です。
吉田益美は教職員の共通理解をはかったうえで、小学校でピア・サポートをつぎのように実施しています。
1 活動を希望する子どもを募集する。
まずピア・サポートを希望する子どもたちを募集します。
2 希望した子どもたちにトレーニングをする。
「自己理解、他者理解、コミュニケーションスキル、対決解消スキル、守秘義務」のトレーニングをします。
(1) 自己理解、他者理解
ロールプレーなどの体験で、自分や他者の考えを感じたり理解したりしてスキルが身につくようにします。
(2) コミュニケーションスキル
話し手が気持ちよくなるような聴き方などのコミュニケーションの練習をします。
(3) 問題解決のスキル
相談されたときには、どんな問題で、相談者がどうなるといいと思っているのか、シナリオを見ながら演じ、スキルが身につくようにします。
(4) 対決解消スキル
対立が起こることは悪いことばかりではないことや、両者の考えを聴くことの必要性について体験を通して理解するようにします。
(5) 守秘義務
相談された内容の秘密を守ることは原則ですが、ひどいいじめなどの場合は大人に相談することを学びます。
3 支援活動を立案します
個人やグループでどんな活動ができるか、ブレーン・ストーミングし、みんなで考えます。
4 支援活動をPRする
児童集会でピア・サポートの活動目的や支援内容について説明します。
5 みんなへの支援活動を始める
支援活動は、
(1)一人でいる子に声かけして遊ぶ
(2)けんかの仲裁をする
(3)相談ポストの相談にのる
(4)保健室に来た子をやさしく迎える
(4)あいさつをする
(5)新聞を作る
などです。
6 活動時間
毎朝、週1回休憩時間、保健当番や相談当番の日などです。
7 活動期間
1ヵ月から1年間です。
8 ピア・サポート活動を実施した結果
(1)学校に思いやりの雰囲気が広まり、学年間のつながりができた。
(2)何かあったときに相談相手がいることへの子どもたちの安心感がえられた。
数年の実践経験から、サポーターの子どもたちが「無理なく自分でできる範囲で何ができるか」をもとに活動を展開しています。
(吉田益美:群馬県公立小学教師を経て校長)