授業のどんな場面でも対応できるよう指導技術の持ち駒を増やすコツとは 高見仁志
授業をしているとき「今、どのような一手を打てばよいか」とまどう状況に追い込まれることがあります。
このような状況を回避するには、数多くの授業の技術・ネタを身につけておくことが重要になってきます。
そのコツは
1 他人の実践をまねる(追試する)
他人の実践に学ぶことを通して、技術が身につくことは誰もが経験しています。
ただし、追試さえすれば、自分の力量が高まっていくという考えは排除したいものです。
追試した結果、失敗(成功)した原因を追究することが大切です。
「なぜ失敗したのか、その原因はどこにあるのか」等、詳細に省察を繰り返すことが重要です。
この省察を大切にすることが、教師の力量を高めます。
2 自分で独自の指導技術をひねり出す
授業中どのような手を打とうか迷ったとき「今、この場面で、効果的な働きかけとは何か?」全能力を結集して考えぬくことが大切です。
考えぬいたすえ、生み出した独自の方法を持つことによって、教師は自らの力量を向上させることができる。
斎藤喜博は、合唱の指導中、思うように子どもが声を出さないので、どうすればよいか迷っているとき、つぎのように述べています。
「そんなとき、私は苦しまぎれに、むちゃくちゃに腕を振りまくっているわけです。子どもも骨折ってさまざまにやっている」
「その結果、新しいものが出たときを振り返ってみると、こういう指導をしたな、子どもは身体をこういうふうに使って、こういうイメージをつくって歌ったなと分かるわけです。すると私のなかに新しい合唱の指導技術というのが出来たわけです」
この言葉から、教師がどうすればよいか迷ったときにこそ、独自の指導技術が生み出されてくることが理解できるでしょう。
3 録画中断法を用いて指導技術の選択肢を広げる
録画された授業で、重要な内容を学習するときに、教師にとって予期しない子どもの行為が見られた場面で、録画を中断させ、「もし、あなたなら、どのような手だてを次にとるか」を問う方法です。
このときに出される手だては、熟考した後よりも瞬間的に行われた方が、より効果的と言えるでしょう。
なぜなら、授業中、教師は常に瞬間的な思考を要求されているからです。
以上のようなトレーニングを重ねることにより、教師は指導技術の持ち駒を増やすことができるでしょう。
(高見仁志:1964年兵庫県生まれ、兵庫県公立小学校教諭(18年間)、湊川短期大学、畿央大学を経て、佛教大学教授)
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