カテゴリー「授業の技術」の記事

授業のどんな場面でも対応できるよう指導技術の持ち駒を増やすコツとは   高見仁志

 授業をしているとき「今、どのような一手を打てばよいか」とまどう状況に追い込まれることがあります。
 このような状況を回避するには、数多くの授業の技術・ネタを身につけておくことが重要になってきます。
 そのコツは
1 
他人の実践をまねる(追試する)
 他人の実践に学ぶことを通して、技術が身につくことは誰もが経験しています。
 ただし、追試さえすれば、自分の力量が高まっていくという考えは排除したいものです。
 追試した結果、失敗(成功)した原因を追究することが大切です。
「なぜ失敗したのか、その原因はどこにあるのか」等、詳細に省察を繰り返すことが重要です。
 この省察を大切にすることが、教師の力量を高めます。
2 
自分で独自の指導技術をひねり出す
 授業中どのような手を打とうか迷ったとき「今、この場面で、効果的な働きかけとは何か?」全能力を結集して考えぬくことが大切です。
 考えぬいたすえ、生み出した独自の方法を持つことによって、教師は自らの力量を向上させることができる。
 斎藤喜博は、合唱の指導中、思うように子どもが声を出さないので、どうすればよいか迷っているとき、つぎのように述べています。
「そんなとき、私は苦しまぎれに、むちゃくちゃに腕を振りまくっているわけです。子どもも骨折ってさまざまにやっている」
「その結果、新しいものが出たときを振り返ってみると、こういう指導をしたな、子どもは身体をこういうふうに使って、こういうイメージをつくって歌ったなと分かるわけです。すると私のなかに新しい合唱の指導技術というのが出来たわけです」
 この言葉から、教師がどうすればよいか迷ったときにこそ、独自の指導技術が生み出されてくることが理解できるでしょう。
3 録画
中断法を用いて指導技術の選択肢を広げる
 録画された授業で、重要な内容を学習するときに、教師にとって予期しない子どもの行為が見られた場面で、録画を中断させ、「もし、あなたなら、どのような手だてを次にとるか」を問う方法です。
 このときに出される手だては、熟考した後よりも瞬間的に行われた方が、より効果的と言えるでしょう。
 なぜなら、授業中、教師は常に瞬間的な思考を要求されているからです。
 以上のようなトレーニングを重ねることにより、教師は指導技術の持ち駒を増やすことができるでしょう。
(
高見仁志:1964年兵庫県生まれ、兵庫県公立小学校教諭(18年間)、湊川短期大学、畿央大学を経て、佛教大学教授)




| | コメント (0) | トラックバック (0)

教師の熱意や想いを子どもに伝え、子どものやる気を引き出すには、どのようにすればよいか   大矢 純

 教師の熱意や想いを子どもに伝え、子どものやる気を引き出すには、どのようにすればよいか大矢 純はつぎのように述べています。
 教師がどんなにいい授業を行ったとしても、子どもたちが寝ていたり、おしゃべりしていれば、伝わりません。
 子どもたちがそれを受け取るような準備を教師がしていなければいけません。
 そうした準備をどのようにすればよいのでしょうか。
 基本は簡単です。
 一つの指示を出して、全員が指示どおりに行動するまで根気強く繰り返し徹底し、習慣化させます。
 体育の授業を考えてください。「集合」と言えば、皆が集まります。
 そして最も上位にくるのが、教師の熱意や想いをフルに活用して
「子どもへの教師のやる気を表現」
 することです。
 そのためには、自分に一番合った表現力を磨きましょう。
 それに磨きをかけて、自分の売りで勝負するのがプロです。
 自分が得意なことを前面に出しているときは、自分が楽しいはずです。
 自分が楽しくなければ、子どもたちも楽しくありません。
 そこが最も大切な点です。
 自分は今、楽しんでいるか。
 楽しくなるためにはどうしたらいいのか。
 そのうえで、この子どもたちの20年後、30年後のために何を伝えたいのかを常に考えて授業にあたっていきたいものです。
 特に新任の教師などは、まだ経験も知識もないのですから、熱意で戦えなかったら、勝てません。
 何のために、自分の熱意を伝えるのか。
 それは、子どもたちのやる気を最大限に引き出すためです。
 授業学を身につけるためには、まずは、実際にやってみることです。
 また、他の教師がやっているときに、座席にすわって、子どもたちの目線でそれを見て、感じてみることも大切です。
 できるだけ、子どもたちになりきって観察することで、いかにコミュニケーションというものが難しいものなのか知ることが重要なのです。
 自分ではうまく伝えたと思っても、実際には子どもたちには伝わっていないものです。
 教師という職業は「話す仕事」だと言ってよいにもかかわらず、効果的なトレーニングがほとんど行われていないのが現状です。
 発声練習は、「あいうえおあ」「いうえおあい」と、一文字ずつずらしながら、大きな声で発声する方法が効果的です。
 ポイントは、「あ」ならば「あ」の口の形をして発声することです。これで聞き取りやすい、滑舌のいい話し方ができます。
 それで遠くへ飛ばすように声を出します。
 自信なさげな話し方は厳禁です。
 自信ありげに聞こえるようにしなければいけません。
 教室に入ってすぐに、自ら大きな声で挨拶をします。
 教室の雰囲気をリードするのは、教師自身なのです。
 自分が授業をしている姿を録画して、観ると気づきますが、かなり極端にやらないと想いは届かないということがわかります。
 ふだんの三倍は大げさにしないと伝わらないと実感できます。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

 

| | コメント (0)

授業で大切な表現力を教師はどのようにして身につければよいか   大矢 純

 授業で大切な表現力を教師はどのようにして身につければよいか大矢 純はつぎのように述べています。
 教師の表現力は非常に大切です。
 なぜなら、授業で伝える内容が申し分なくても、表現力が乏しいと、伝わらないからです。
 必要なことを効果的に印象付ける力が表現力です。
 授業者である教師の見え方、聞こえ方すべてが表現力を構成する要素です。
 教師が嫌いだから勉強したくないということもあるでしょう。
 授業における教師の表現がへただからわからなくなってその教科が嫌いになるということもあります。
 研修ではお辞儀と挨拶を徹底的にスマートに行います。
 そして発声練習。
 明るくはっきり、大きな声が基本です。
 教師の熱意や頑張りを子どもたちに伝えるためのものです。
 教師は、子どもたちの心を揺さぶり、動かしていかなければいけません。
 そのためのエネルギーを常に発散させなければならないのです。
 表情の練習も加えていきます。
 教師が一生懸命頑張っているという表情です。
 そして、教師自らが楽しんでいる表情です。
 苦しそうではダメです。つまなさそうでもダメです。
 教師が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめません。
 頑張っていることが楽しいという姿勢です。
 ただし、メリハリは大切ですから、真顔の練習もします。
 そうした表情のメリハリだけでも、子どもたちが「あ、まずいな」と、コントロールすることができるようになります。
 大事なのは目の動きです。
 教室では、せかせかせず、いかもまんべんなく見ていくことが重要です。
 しかも、目だけで追ってはいけません。
 体ごと、一人ひとりの子どもと正対するようにします。肩から向かなければダメです。
 かなりゆっくりとしたスピードでないと、伝わりません。
 子ども役をやってみると、見ているつもりでも、見ていないことが多いということがわかります。
 それがわかって初めて、自分の行動が改善できるようになるのです。
 早口が悪いのは、聞き取れないほかに、間がないからなのです。
 間が重要です。子どもが受け取って頭に定着させるための間です。
 教師は「一生懸命に教えたのだから、伝わったはず」という錯覚を起こしやすい。
 教えたことが伝わっていないとしたら「私の伝え方が悪い」と理解してほしい。
 今の時代は、授業研究や教材研究だけでは準備は整わないのです。
 その内容をどうやって効果的に子どもたちに伝えるかということのほうが大切なのです。
 人から発せられる情報の伝達力は、話の内容よりも、声の表情、身振りや顔の表情など見え方にあると言われています。
 自分に似合わないテクニックに走ってもうまくいきません。
 苦手なことを底上げすることも大切ですが、むしろ、得意なことでどう勝負するかが大事だと私は思っています。
 いいものがあるのであれば、それを売って商売にするのがプロです。
 だから、自分の売りは何なのか、それに磨きをかける必要があるのです。
 性格も含めて、自分をどう使って表現するかなのです。
 もし、自分が子どもたちに好かれていないと感じたら、
「表現力を磨き」「自分をうまく印象付けられる」
 ようにすれば、子どもたちとの関係はプラスになります。
 やぼでも子どもたちが「自分たちのために考えて、やってくれている」と気づいてくれれば、子どもたちも変わるはずです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

 

| | コメント (0)

子どもたちに「授業のふりかえり」を書かせるには、どうすればよいか   俵原正仁

 子どもたちに「授業のふりかえり」を書かせる方法について俵原正仁はつぎのように述べています。
 私は、討論のような発表が主体の授業の後には、子どもたちに必ず授業のふりかえりを書かせるよう
にしています。
 楽しかったけれど結局なんの勉強をしたのかわからない。
 自分の言いたいことだけを言ってわかった気になってしまう。
 授業中、黙って聞いていて何の活動もしなかった。
 子どもがいるかもしれません。
 だから、授業の最後に書く活動を行い、学んだことや、わからなかったことなどを振り返らす必要があるのです。
「授業のふりかえり」を書くことを、討論の前に、あらかじめ予告しておきます。
 そうすると、授業に対する真剣度や「聞く」意識が高くなります。
 書くことによって「聞く力」が伸びていくのです。
 何も教えないでいると「授業のふりかえり」が全く書けない子どもが出てきたりします。
 だから、私は「こういう感じで書いたらいいんですよ」とつぎのような例をあげます。
(1)今の自分の考え
(2)その時間の学び
(3)その時間にわかったこと
(4)友だちの発表ですごいなぁと思った意見
(5)発表しようと思ったけど、発表できなかった意見
(6)先生に対する質問、意見
(7)今日学んだことをどう生かしていくのか
 すべての項目を書かなくても、1つか2つ書ければいいのです。
 ただし、子どもたちに聞く力を伸ばしたいなぁと私が考えているときは、
「必ず(4)のことは書くんですよ」
 というように指定する場合はあります。
(俵原正仁:1963年兵庫県生まれ、兵庫県公立小学校校長。教材・授業開発研究所「笑育部会」代表)

 

| | コメント (0)

ノート指導で教師と子どもが仲よくなるには、どうすればよいか   俵原正仁

 子どもたちがノート活動しているその場で評価したことを、教師はすぐに子どもたちに伝えていきます。
 教師の感じたことや思いを子どもたちに返していくのです。
 このライブ感が教師と子どもたちの距離感を縮めてくれます。
 ノートを通じて教師と子ども、子どもどうしがなかよくなるようにします。
 そのために、ノートを利用してすべての子どもに声をかけ、なかよくなるようにします。
 たとえば、理科の実験のまとめで、ノートに、ハチのイラストを描いるのを見て
「○○君のこのイラストのキャラクターいいね。みんなに紹介してもいい?」
 と、○○君のノートをクラスのみんなに見せます。
「○○君のイラストはずこい」というクラスの雰囲気が作られ、彼の居場所ができるというわけです。
 さらに、他人の感じ方、思い方、考え方、生き方を尊重するようになり、仲間意識が育ってきます。
 教師が机間巡視の際、瞬時に判断し評価して、声をかけます。
 最初のうちは、子どもたちがノートに書いている内容を「瞬時に判断」して「評価」します。
 評価できないときは、とりあえず声をかけることを意識すればいいと思います。
 声をかけているうちに、教師のつぶやきのレベルも上がっていくはずです。
1 子どもの態度をほめる(レベル1)
「ノートをきちんと開いている。えらい」
「姿勢がいいなぁ」
「取りかかりが早い」
2 書いている量をほめる(レベル2)
「さっきより、たくさん書けています」
「へぇ、もう3行書けたの」
 このような声をかけられると、書くことのモチベーションが上がります。
3 書いている内容をほめる(レベル3)
 ほめると同時に、他の子どもたちに書くための視点を教えるといった意味があります。
「友だちの意見も書いているんだ」
「資料集を見て書いているのがいいね」
 子どもたちのノートをチェックする方法として、机間巡視をして子どもたちの横を通り過ぎるときに、サッとノートに赤ペンでまるを入れます。
 声かけとあわせてうまく使ってください。
 そのほかにノートをチェックする方法として、ノートを教師のところに持ってこさせる方法があります。このとき、長い行列をつくらないことが大切です。
 算数の場合、
「見るのは1問だけ」
「ヒントや指導などの声かけはせず、黙って○か×をつける」
 などをしていけば、行列はできなくなります。
 教師に見てもらったというチェックの意味もかねて、必ず全員のノートに赤ペンで何かを書くようにしています。
 じっくりと書く時間がありませんので、ほとんどの場合は花丸のみです。
 それでも、子どもたちはノートを見てもらい、満足して帰って行きます。
(俵原正仁:1963年兵庫県生まれ、兵庫県公立小学校校長。教材・授業開発研究所「笑育部会」代表)

 

| | コメント (0)

発見や思考を促すための発問づくりの技術とは   鶴田清司

 発見や思考を促すための発問づくりの技術について鶴田清司はつぎのように述べています。
 「○○とは、どういうことですか?」
 といった漠然とした発問では子どもは動かない。
 子どもの興味・関心や考える意欲を引き出すような具体的かつ明確な発問でなければならない。
 そのための発問づくりを次に紹介したい。
1 人物の「見え」を問う発問は有効になることが多い
 たとえば、社会科で、
「バスの運転手さんはどこを見て運転していますか」
 という有田和正の有名な発問がある。
「バスの運転手さんの仕事は?」
 という一般的な発問と比べると、その違いがわかるだろう。
 子どもは運転手になりきって具体的に考えることができる。
 そうすると、前に見える車や歩行者だけでなく、バス停や車内の乗客にも注意して運転していることがわかってくる。
 また、国語科の「ごんぎつね」で
「兵十がかけよってきたとき何を見たでしょうか」
 という発問も、
「そのとき兵十はどんな気持ちだったでしょうか」
 という発問よりも具体的で考えやすい。
 「うちの中を見ると」という表現に着目すると、ごんのことはもはや眼中になく、むしろ家の中が荒らされていないかを心配する兵十の心理がよくわかるからである。
 このほかに「数、色、音、場所」など具体的なものを問うことも有効である。
2 「AさせたいならBと言え」という発問・指示の間接性の原理
 国語科の「大造じいさんとガン」で、
「大造じいさんは、夏のうちから心がけて、タニシを五俵ばかり集めておきました」
 という文がある。
 ここでは、じいさんが時間と労力をかけてタニシを五俵も集めたということが子どもたちに実感できるようにしたい。
 たとえば、
「五俵の中にタニシは全部で何個入っていますか」
という発問(B)によって、大造じいさんの行為を具体的にイメージすることができる。
 子どもたちは猟師としての執念や意気込みの強さに気づいていく(A)だろう。
(鶴田清司:1955年生まれ、都留文科大学教授、全国大学国語教育学会理事長。専門分野は国語教育学)

 

| | コメント (0)

ワークシートは、どのような特徴があるか    岩﨑 淳

 ワークシートの特徴について岩﨑 淳はつぎのように述べています。
 ワークシートを授業に常に使うのは有効ではないし、まったく使わないのも得策ではない。教材や学習内容に応じて適宜取り入れればよい。
 口頭で説明していると前に説明したことを子どもが忘れるおそれがある。
 板書は子どもたちが書くことだけで精いっぱいとなるおそれがある。
 また、多くの内容を口頭で説明したり、板書したりするには時間がかかる。
 ワークシートを利用すれば、教師も子どもたちも授業時の負担が少ない。
 そのほかにワークシートのよい点は
(1)効率的に理解や知識の共有化を図りやすい。
(2)方向性が明確になり、学習しやすい。
(3)授業内容が明確となり、復習しやすい。
(4)点検もノート点検よりも容易である。
 しかし、マイナス面は
(1)自由度が少なく、教師の発想の枠にはめることになりやすい。
(2)子どもが自分でまとめる力や最初から考える習慣が育たない。
(3) ワークシートが中心になると、教師の話を聞かなくなる。
 ワークシートはつぎのようにいくつかに分類できる。同じシートに複数の要素を入れて作成してもよい。
(1)マニュアル型
 解説や学習活動の手順を説明する。
 発展的な学習やグループ別の課題などの説明に適している。
(2)理解型
 指示にしたがって、子どもたちが記入し、学習内容を理解したり確認したりしていく。
 学習内容の整理に適している。
(3)ドリル型
 設問があり、それに対する解答を記入する。基礎的な知識の定着や、既習事項の確認に適している。
 ワークシートを作成するとき、授業で説明の時間が十分とれるときは、大要だけを記し、時間があまりとれないときは細かいところまで記しておくなどを念頭におくとよい。
(岩崎 淳:1961年生まれ、学習院中等科教師。学習院大学・学習院女子大学・早稲田大学で講師として国語教育及び言語表現に関する科目を担当。小学校・中学校国語教科書編集委員(教育出版))

 

| | コメント (0)

授業で子どもが発表してくれないとき、簡単に発表するようになるにはどうすればよいか

 授業で子どもが発表してくれないことがある。
 教材研究もバッチリやったはずなのになぜか発言が低調である。
 出てくる発言は紋切り型でおもしろくない。
 こうした場合を打開する方法を東井義雄は「村を育てる学力」で次のように書いている。
 子どもが発表をしない原因には、いろいろな場合があるが、発表する事柄が用意されておらず、整理されていないという場合がずい分多い。
 そういう子どもには、発表のための考えを書いた学習帳(ノート)を使用されねばならない。
 例えば、指名し・発表したときに考えを書いたノートを見て
(1)ノートを朗読する
(2)ノートに書いてある文章を話すように読む
(3)ノートに書いてある事柄の要点を話す
等の段階にわけて、ノートを活用していけば、話す力も、目に見えて育ってくるものである。
 私は、はじめてこの文章を読んだとき「目からうろこ」であった。
 それまで教室での発言・発表といえば、教師の発問に挙手させ、その中から当てていく以外に考えられなかったからである。
 この挙手・指名方式では、子どもの発表前の発言指導が全くできなかった。
 ところが、東井氏の方法では、発問と発言・発表の間に「考えをノート書く」というステップを加えている。
 そうすることで、それまでは指導・援助がむずかしかった子どもの考えを「準備したり、整理をしたり」ということができるようになったのである。
 その書かれたノートの文に対して教師である私が指導を加えることができる。
 こうして一度「自分の考えをノートに書く」作業さえしてしまえば、指名・発表することは、ごく簡単なことになったのである。
(上條晴夫:1957年山梨県生まれ、小学校教師、児童ノンフィクション作家、教育ライターを経て東北福祉大学教授。「授業づくりネットワーク」理事長(2000~2013年) 、学習ゲーム研究会代表、お笑い教師同盟代表)

 

| | コメント (0)

授業のハウツウ

 授業も含めてあらゆる教育活動についての「ハウツウもの」「マニュアル本」が出回り「授業や教育活動での苦労」を回避する教師たちの出現が今日の崩壊的な現状を作った要因のひとつと思うのである。
「楽をしていいことをしよう」という安直な発想が「ハウツウもの」の大量の流行を招いたとも言えるし「授業の手軽な方法のみの追究」になって、子どもや教科と直に向き合うことがなくなり、そのことが「授業の衰退」へとつながったと考えられる。
 しかもそのために、教師は自分の思想、自分の方法を持つ必要がなくなってしまった。
 それまでもあった指導書に頼った授業をしていた教師たちの群れへ、若い将来のある教師たちが、雪崩を打って「ハウツウ」に走ってしまっている。
 一握りの良心的な部分を除いて、学校には「指導書とハウツウ」に頼るだけの教師しかいなくなり「自分の教育方法を考える教師」いなくなったとも言えるほどである。
「自分の考えを持たない教師に教えられる子どもたちの不幸」と、ということまで考えざるを得ない。
 牧野桂一も、ハウツーものを批判する後藤清春について、つぎのように述べている。
 後藤は、ハウツーものの持つその罪の深さを批判している。
 お茶や生け花のような体系的・総合的な指導体系を持たぬまま、一部分を取り上げて、その教え方だけをマニュアル化しても、その指導は大変浅いものになってしまう。
 教育の営みとはかけ離れたものになってしまうと私も思うのである。
 私のやっている俳句の世界でも「やさしい俳句の作り方」などというような本を何冊読んでも俳句はうまくならないのである。
 それどころか、下手になって俳句が嫌になり、結局止めていってしまうのである。
 しかし、この「やさしい俳句の作り方」なる本がよく売れるのも事実のようである。
 そのような怠け者に迎合した「ハウツーもの」は俳句を大衆化することには役立つかもしれないが、感動させるような質の高い作品を生み出していることには繋がらず、かえって害になっているのが事実である。
 俳句の基本は、芭蕉の言うところの「ものの見えたるひかりいまだ消えざるうちに言い止むべし」であり、徹底して「もののいのちを見る」ということに尽きるのである。
 どうしてもマニュアルの欲しい者に対して芭蕉は「俳諧は三尺の童にさせよ」と言い放つ。
 個性ある子どもたちに対して、形式的な授業をすることは、その根本が間違っているのである。
 一人ひとりの子どもたちに自由自在に対応し、自由自在な方法で導いていくことが授業の中では求められているのである。
 宗教家にしても、職人にしても、芸人にしても、武道家にしても、一流をめざす者はおおかた小手先の技術ではなく、そのものの本質を踏まえた基礎・基本を徹底的に教えこまれる。
 それは技術にくっついた思想をきっちりと学ぶことにもなる。
 どうしても忘れてはならないのが、後藤が何度も強調している「斎藤喜博という人を求めるのではなく、斎藤喜博の求めたものを求める」という教えである。
(後藤清春:1948年生まれ、大分県公立小学校の教頭、校長を歴任し、斎藤喜博が求めたものを求め続けた)

 

| | コメント (0)

ハッキリと指示し、生徒に信頼感を与え、全員を巻き込んで授業をするには、どうすればよいか

 授業で生徒に指示を細かく出していますか。
 授業の上手な教師は生徒に「空白の時間」を与えません。
 簡単に言えば生徒に細かく指示を出しているのです。しかも、その指示がハッキリとしています。
 あなたは、生徒に「鉛筆を置いたら、前を向いて、姿勢を正して、話を聞くこと」と、一気に指示をしていませんか?
 生徒の立場で考えると、いくつもの指示を一度にされると、非常に行動が取りにくい。
 ですから、指示は一度に一つだけにします。
 細かく指示を出していった方が結果として分かり易くなりますし、スキも与えにくくなるのです。例えば、
「鉛筆を置いて」....「前を向いて」....「姿勢を正して」....「それでは話を聞いて下さい」
 その一言、一言の間に、「間」を作ります。
 行動をしっかり確認してから指示を行った方が、結果として正しく指示が通ります。
 さらに、各場面で生徒が何をしていればよいか、を明確に指示するようにしてください。
 例えば教師が黒板を書くのであれば、その間、生徒は何をしていれば良いのか、など。
 つい夢中になって、教師が自分のことで手一杯になってしまい、生徒への指示を忘れてしまいがちです。
 それでは生徒管理がしっかりできているとは言えません。
「話を聞いている時間」、「黒板を写す時間」、「問題を解く時間」など、生徒に対して1秒の空白の時間も作らないように指示をしっかり出していきましょう。
 教師が信頼感を生徒に与えるようにしていますか。
 教師がつくり出す信頼感は授業のとき、非常に重要な要素になります。
 生徒に与える信頼感が無ければ授業への信頼感も薄れてしまい、授業を受けることの価値が感じられなくなってしまうでしょう。
 まず、必要なことはしっかり自信を持った言葉づかいで授業を行うことです。
 授業で話をするさいには物事を断定的に話す事はとても大切なのです。
 仮に教師が理科の授業で「ヤモリは爬虫類だったと思います」などと言われたら、それだけで生徒は不安になってしまいますよね。「それ、覚えて大丈夫なのかな・・・・」と。
 授業を通じて、教師に自信のない雰囲気が生徒に伝わってしまったなら、そのような教師への信頼感に欠けます。
 ですから「~だと思います」「~かもしれません」という言葉は使わないようにすべきです。
 話し方も自信を持って授業に臨める様に授業の準備は万全でなければいけません。
 自信がなかったとしても、それを決して見せることのない、ある程度ハッタリは必要なのではないでしょうか。
 生徒が安心してあなたの授業を受けるためには、あなたが生徒に自信のある姿を見せることは大切なことなのです。
 私は進学塾の講師でしたので「この先生についていけば志望校に合格する」と思わせるように全ての言動、準備を整えていきました。
 ですから私は、受験情報はもちろんのこと、中学生を担当したなら生徒の学校でのノートを見たり、過去の試験の傾向から定期試験の予想をしたり、さらには生徒が将来なりたい職業を知ったなら、それを叶えるために必要な知識や活かせるようなエピソードなどを熱心に集めて授業へと活かすようにしてきました。
 教科書だけでは学ぶことができない内容も、面白く展開される授業なら受ける価値が生じてくることでしょう。
 教えたから満足ではなく「生徒が学んだことによって何を得たのか」、例えば、発見する喜びや、できるようになった達成感を実感させることを重視していきましょう。
 あなたは、教室全体を巻き込む授業作りができていますか。
 授業をするとき、夢中になって前の方に座っている生徒とばかり発問ややり取りが行われてしまうと、当然、教室の後ろに座る生徒は「単なるお客さん」になってしまい、参加意識が薄れていってしまいます。
 教室全体を巻き込んで授業をするために全ての生徒と授業を作り上げる意識を持ちたいものです。
 まず、生徒一人ひとりをしっかり見ることが重要であることは言うでもありません。
 舞台で演じる一流の役者になると、多くの観客が「自分を見ていた」と感じるそうです。
 目線の配り方が上手なのでしょう。
 教師が授業をする場合も、一人を凝視するというよりは生徒の目から目を移動するように目線を移動していくようなイメージで教室全体を見渡しましょう。
 生徒一人ひとりをしっかり見ていることをアピールします。
 見られているという感覚は生徒の手遊びや私語などの防止効果が格段に向上します。
 そして、発問するときの立ち位置にも気をつかいます。
 例えば教室の左奥にいる生徒に発問をするなら、右の方へ移動しながら発問します。
 要するになるべく対角線になるように、生徒を当てるイメージを持ち、できるだけ多くの生徒の頭を飛び越えるように生徒と会話をすることです。
 教室全体の生徒を巻き込む雰囲気作りを行うのです。
 そのように心掛けていると、発問をしながら左右へ移動することになりますから、教師にも動きが生まれて授業に躍動感を生み出すこともできるようになります。
(諸葛正弥:1974年生まれ、諸葛正弥教育総合研究所株式会社代表。建築家として建築設計の仕事をしながら、都内大手進学塾で長年指導を行ない、講師研修のインストラクターも担当。それまで実践してきた授業ノウハウを心理学や人間行動学の側面から理論的に体系化し、学校教育コンサルタント「T’s skill教師塾」(現:諸葛正弥教育総合研究所株式会社)を立ち上げ、学校の教師を対象にした研修講座を主催)

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

いじめの指導 さまざまな子どもの指導 ものの見方・考え方 カウンセリング 不登校 人間とは(心理・行動・あり方) 人間の生きかた 保育幼稚園 保護者との協力関係をつくる 保護者にどう対応するか 保護者の実態 優れた先生に学ぶ 優れた学級担任とは 優れた授業とは 優れた教科授業例 先生の実態 危機管理 叱る・ほめる・しつける 各国の教育 各国の教育改革 各教科の授業 同僚・管理職との関係 問題行動の指導 国語科の授業 地域 子どもから学ぶ 子どもたちに対する思い 子どもたちの関係づくり 子どもと向き合う 子どもの失敗 子どもの実態 子どもの成長をはかる 子どもの指導の方法 子どもの見かた 子どもの話し方 子育て・家庭教育 学び合う学び 学力 学校の実態 学校組織 学校経営と組織 学校行事 学級づくり 学級の組織と活動 学級の荒れ 学級崩壊 学級通信 学習指導・学力 学習指導案 実践のための資料 家庭 宿題 掃除 授業づくり 授業のさまざまな方法 授業の実態 授業の展開・演出 授業の技術 授業中の生活指導 教師との関係 教師と子どもの関係づくり 教師に必要とされる能力 教師の人間としての生きかた・考えかた 教師の仕事 教師の心の安定 教師の成長・研修 教師の話しかた 教師の身体表現力 教材・指導案 教材研究 教育の技術 教育の方法 教育の理念や思い 教育史(教育の歴史と変化) 教育改革 教育法規 教育行政(国・地方の教育委員会) 新学級づくり 特別支援教育 理科の授業 研究会開催情報 社会環境 社会環境(社会・マスコミ・地域) 社会科の授業 算数・数学科の授業 経営とは 英語科の授業 評価 話の聞きかた