カテゴリー「教師の心の安定」の記事

今の自分のストレス状況を客観的に知り、対処するにはどうればよいか

 ストレスを上手にコントロールするためには、まず大切なのはストレスに気づくことです。
こんなサインを発していませんか
(1)
欠勤・遅刻・早退がめだつ
(2)
身体の調子が悪いという訴えが頻繁になった
(3)
よく眠れないと訴える
(4)
服装がだらしなくなった
(5)
些細なことで、怒りっぽくなった
(6)
終始、何かを考え、セカセカ、イライラしている
(7)
消費が多くなり、借金をするようになった
これに、当てはまる項目が、ご自分にあったでしょうか。周囲の方にあったでしょうか?
人間というのは、よくできていて、完全にへばってしまう前に、ストレスサインがでます。
人によってストレスサインはいろいろです。例えば、
(1)
身体に出る
高血圧、神経性(狭心症・頻尿・皮膚炎)、胃腸の不調、食欲不振、喘息、眼精疲労、肩こり、疲れやすさなど
(2)
心に出る
不安障害、強迫神経症、不眠、慢性疲労、怒りっぽさ、イライラなど
(3)
嗜癖(このんでするくせ)・行動に出る
たばこ・酒・コーヒーなどの量が増える、パチンコや買い物が増える、集中困難、不適応行動など
(4)
認知・行動障害
 ミスが多い、ぼんやりしている、同じことをくり返し考える、誤答が増える、考え方の偏りが大きくなる、一つうまくいかないと次もダメだと思い込む、決断できないなど
 このようなことがあれば要注意と自覚して、睡眠や休養をとって過ごすようにします。
 まずは一日でいいですから、溜まった仕事などをいったん棚上げして、休養をとることが大切です。
 自分の状況を客観的に知るためにストレスチェックを利用することはいいことだと思います。ウェブでも公開されており、すぐに自分の状態の目安がわかるようになっているものもあります(例:「心の健康チェックシート」srq-d
 ストレスを自覚したら、比較的元気なうちは「発散」を心がけます。人によってまちまちですが、多少余裕があるうちに効果があるとされているものは、
(1)
信頼できる人に相談する
(2)
それを人に話し、わかってもらう
(3)
友人に助言を求めたり、助けてもらう
(4)
人から問題解決の手がかりを求める
(5)
気分転換のため、軽い運動をする
(6)
見通しを得るために、しばらく離れてみる
(7)
それをやり終えたとき、自分に何かほうびをあげる
(8)
「それはあまり心配するものではない」と決める
(9)
自分の不快な気分や怒りを人に知ってもらう
(10)
いろいろ考え、その状況の見方や自分の考え方を変えてみる
(11)
新しいことに取り組む前に、見通しや計画を立ててみる
(12)
仕事が多すぎたり、忙しすぎたりすれば、そのことを人に伝える
以上の項目について、自分をふりかえって「そうである=1点」「そうでない=0」としたとき、合計6点以下の人は、効果的な対処行動がうまくいかないと言われています。
 ストレス対処法は、そのときの本人のキャパシティや状態によって、何がよいか変わりますから、あくまで目安にしてくださいね。
 ダウンしかかっていても「逃げたことになるから」といって、睡眠や休養をとらない方がいます。
 本当にへばってしまっているならば、とにかく一時避難をして、睡眠や休養をとることが大切です。
 余裕がなくなり、ストレス発散できないとき、何をおいても、ぐっすりと眠ることです。心身の健康は、質のよい睡眠からつくられます。
 ストレスで、まずいかなと感じたら、ぐっすり眠ることがメンタルヘルス維持のポイントです。質のよい睡眠が、最大の予防であり治療であると言っても過言ではありません。
眠れているかの、大ざっぱな目安は
(1)
寝つきが悪い(1時間以上、寝つけない)
(2)
夜中に何度も目が覚める
(3)
朝早くに目が覚めて、その後、眠れない
(4)
寝た気がしない(時間的には寝ている、本人に「寝たな」という実感がない)
1つでも当てはまり、2週間以上つらい思いをしているようでしたら、早めに近くの心療内科、精神科、メンタルクリニック等の受診を考えましょう。早めの受診が、こじらせないポイントです。
 メンタルヘルス対策で難しいのが、自分が今どれだけストレスにやられやすいかを知り、その段階に応じた対処法をとることです。
 チェックシートをおこなったり、メンタルヘルス相談、健康相談などを活用したりして、客観的に自分の状態を知り、今の状況に合った対処法をとってください。
(
井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター主任心理療法士。学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援している
)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

保護者の中には「話してもわからない人もいる」のだ、と心得ておくことも、教師のメンタルヘルスを守るうえで必要です

 ある中学校の女性担任の学級には、不登校の生徒が複数いました。
 学級の中に、グループのリーダー的な存在の女子生徒がいました。
 少々暴走して周囲の生徒に服従をしいたり、いじわるをしたりするので、グループから敬遠され気味になっていた。
 保護者会にその女子生徒の保護者が出席し
「不登校の生徒がいるから、クラスの雰囲気が悪いのではないか」
「先生のせいで、不登校の子が学校に来られないんでしょ」
と、一方的に担任を責め始めた。
 その保護者は、わが子の暴走が行き過ぎて、友だちに敬遠され始めたので、担任に「グループの仲間との仲をとりもってほしい」というお願いではなく「わが子は悪くなくて先生が悪い」という主張であった。
 担任は「話せばわかるはず」と、誠実に対応していた。しかし、担任はうまく事を収拾できないので、自分自身を責めた。
 保護者の執拗ないいがかりに、担任があわやつぶれそうになる寸前で、他の保護者が見かねて
「先生は、がんばっておられると思います」
と、保護者全体の前で担任をフォローしてくれたので、糾弾会の色合いが失せ、担任Aはなんとか勤務を続けることができた。
 ぶの悪くなった保護者は、その後、他の保護者のいる保護者会には出ず、矛先を管理職に変えて訴えをくり返し、わが子を正当化しようとした。
 こういうタイプの保護者は、わが子から直接、話を聞いて痛みをわが子と共にし、一緒に今後を考えようとしない。
「子どものために、学校を訴える」やり方にすり替えることで、わが子のために、親ががんばっている姿をわが子に見せることで満足を得ているようです。
 また、学校が悪いことにして、自分の弱さを見ることができないようです。未熟なパーソナリティを抱かえた親という見方もできます。
 熱心な担任は、誠実さを逆手にとられた形となりました。誠実だったからこそ、他の保護者が助け船を出してくれたケースですが、管理職や同僚教師に早めに相談しないと、紙一重でダウンしていたと思われます。
 教師は、保護者の「問題のすりかえ」に気づき、子ども本人と話をできるルートを見つけたいものです。
 このような保護者は、自分が不安なあまり、執拗に教師を責めてきますから、教師側に余裕のないときは、管理職や同僚教師と共に問題にあたり、担任が抱かえ込みすぎないようにすることが大切です。
 この世の中には「話してもわからない人もいる」のだ、と心得ておくことも、教師のメンタルヘルスを守るうえで必要です
(
井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター主任心理療法士。学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援している)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

学級が指導困難になり親の抗議で新任教師が自殺し、裁判で公務災害に認定された事例とは、どうすれば防ぐことができるのでしょうか

 私が何人かの自殺されてしまった教職員の事例を見てきた中で感じるのは、同じ学校の職場がつちかうべき「共同性」の大切さです。
 窮地に陥っている教師がいたとき、親身になって助けられなくてもいい、助けられるような人のところに、きちんとつなぐというバトンリレーが働いているかどうかが重要です。
 それさえも無くなったときに、職場にギスギス感が漂い、教師が孤立感と絶望感に立ち尽くしていても、職場がそれを見殺しにするという最悪の事態に陥りかねません。次のような事例があります。
 2004年9月に、静岡県の小学校4年の担任である新任の女性教師が、自らの車の中で灯油をかぶって焼身自殺をしました。教師になってわずか半年後のことでした。
 授業がうまくいかない、指導が難しい子どもが何人もいる。それに、上司や先輩教師たちからの激しい叱責、職員室の希薄な人間関係が、孤立へと追い込んでいきます。
 職場の同僚教師は言います「隣の教師の悩みを、この1年知らないこともある」「悩みを打ち明ける時間もない」と。
 相手も忙しいから、自分の相談を持ちかけるのは申し訳ない、という気持ちが働き、距離ができてしまうのだろう。孤独状態は、あっという間に孤立感に変化する。
 自殺した教師の携帯には「子どものことは大変だし苦労するけど、一部の先生の言葉や態度に傷つく。苦しめられる」と残されていました。
 子どもや保護者対応に悩んでも、職場の雰囲気さえよければ、言葉が交わされ、会話も生まれます。
 新任の女性教師は日々の対応に困惑する中でうつ病を発症していました。事件の前日に、子どもの母親からの指導に対する抗議の手紙を受け取り、その翌朝に自殺しました。
 両親は娘の死を無駄にせず、若い教師が誇りと安心をもって働けるような状況に職場を見直す必要があると、公務災害認定を申請しましたが、棄却されたため静岡地裁に提訴しました。
 判決は、自殺について本人の性格上の脆弱性を否定し、当初から子どもの問題行動が相次ぐ中で、職場の支援体制が不足していたことを指摘し「公務災害であった」とする勝訴判決でした。
 判決では
「着任してわずか1か月半の期間に、数々の問題が解決する間もなく、立て続けに生じた点に特徴がある」
「状況が改善される兆しもなかったから、新採教員には緊張感、不安感、挫折感を継続して強いられ、強度な心理的負荷を与えた」
「こうした状況下では、当該教員に対して組織的な支援体制を築き、他の教員とも情報を共有した上、継続的な指導・支援を行うことが必要である」
「にもかかわらず、学校側は問題の深刻さを認識せず、また疲弊し続けていたことは十分察知できたにもかかわらず、情報が、周囲の他の教員と十分な支援が行われていたとは到底認められない」
として公務災害と認定しました。
 教師の病気休職の第1位は精神性疾患で大半はうつ病です。さまざまなストレスが精神性疾患の背後にあります。
 仕事の多忙化、人間関係のストレス(子ども対応、保護者対応、職場の人間関係)が、いまの学校の教師に覆いかぶさってきています。これに不眠状態が加わると事態は一変します。
 睡眠薬を飲んででも寝ることは、決して悪いことではありません。
 精神科の医師は「グチをこぼす」ことが重要だと言っています。先生方にお願いです。グチをこぼす場を3つ作ってください。
(1)
家族
 親でも、奥さんでも旦那さんでもけっこうです。家族が聞いてくれるだけで、どれだけ心が晴れるかが、わかります。
(2)
職場の同僚
 仲が良い、悪いなど様々あるでしょうから、3~4人でもけっこうです。飲み屋さん等で話をすることも決して悪くはありません。
 ただし、周りに他の誰かいないかをよく確かめてから話をするようにします。
 他人に話をするときは、コトのあらすじを整理しなければいけません。それが大事です。
 すると「本当は、あのお母ちゃんの思いは、ここに有ったんじゃないかな」とか「あの父ちゃんの願いは別のものだったのかもしれない」と気づくことがあるのです。
(3)
職業の違う友人
 飲み屋の大将、美容院のママさんなど、気のおけない関係を2,3人つくっておくことです。するとこう言ってくれます。
「先生も大変やな。でもな、あんたの悩んでいること、私らから見たら、どうでもええことで悩んでいるように見えるで(笑い)
 そうです、自分の姿は自分ではわかりません。鏡となるものを置いてこそ、はじめて自分の姿が見えるのです。
 先生、よく寝てください。多少教材研究が中途半端でもええじゃないですか。
 朝、子どもたちに「〇〇くん、おはよう! △△さん、元気?」と、はつらつとしていること、それが大事です。
 学校に登校して、先生方が元気じゃなかったら、誰が大人になろうと思いますか。先生方は大人のモデルです。未来への希望の光なのです。
 教師としての最大の資質は「はつらつとしている」ことです。
(小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ストレスに強くなるにはどうすればよいか

 ストレスで、いつまでも落ち込んでいる人と、次の日には立ち直っている人がいます。何が違うのでしょうか。
 答えは「ストレスに勝とうとしないこと」です。ストレスを受け流せる人こそが、ストレスと上手につきあえる人なのです。
 ストレスに強い人とは、どのような心の持ち主なのでしょうか。
 私は「ダルマさん」のような人だと考えています。「ダルマさん」はストレスに強い人を体現していると言ってよいでしょう。
 ダルマさんには手がありません。手がないということは、ストレスに対して闘おうとしない。ムダな抵抗をしないということなのです。
 次にダルマさんには足もありません。逃げることができません。倒されたりしても、何事もなかったように起き上がる、図太さがあります。
 ストレスがあっても無理に闘わず、逃げることもせず、一時的に落ち込んでも確実に起き上がり、すぐに回復できる「心の復元力」が大切なのです。
 ストレスに強い人というのは、どんなストレスがあってもへこたれず、落ち込むことがない人ではありません。落ち込んでもいいのです。大切なのは、落ち込んでも立ち直ることができる「心の復元力」を持っているかどうかです。
 この「心の復元力」があれば、どんなストレスも怖くなくなります。
 また、ダルマには片目が描かれています。トラブルに目をそらさず、本質を見つめています。私たちはどんなときも、心の目だけは閉じてはいけないのです。
 心の目を開いて、自分の殻に閉じこもらず、相手の気持ちや心を推し量る。それができる人こそ、真に図太い人だと思います。
 個人的な目標や夢を実現することに、しゃにむになるのではなく、世の中で幸せになるには、他者とコミュニケーションをとり、共感する力を磨いていくことが必要です。
 ダルマは倒されても、すぐ起き上がれるのは、ダルマの腹の中に「重し」が入っているからです。人間にとって、この「重し」の役割をしているのがセロトニンです。
 セロトニンの分泌量が少ないと、ちょっとしたストレスでも落ち込みます。うつになりやすい人は、その原因のひとつがセロトニン不足なのです。
 セロトニンがたっぷりと脳内に分泌されている人は、ちょっとやそっとのストレスでは動じません。
 嫌なことがあって、気分が沈んだり、腹を立てることはあっても、それは一時的なこと。すぐに気持ちを切り替えて、立ち直ることができます。
 セロトニン神経を活性化させれば、幸せと感じます。スッキリ爽快な意識をつくりだし、平常心を維持します。
 セロトニン神経を活性化させる具体的な方法は
(1)
朝、太陽の光をあびると爽快感が味わえます
(2)
運動(散歩、ジョギング、スクワット、自転車乗り、水泳、ヨガ、登山)
(3)
リフレッシュ(カラオケ、スポーツ観戦、座禅、アロマ、泣き笑い)
(4)
スキンシップ(気の合う人と会話する、マッサージ、ペット)
で、2030分続けるのが理想的です。大切なのは、毎日続けることです。
 ストレスに強くなるには、質のいい睡眠も必要不可欠です。夜更かしは質のいい睡眠を阻害する脳の大敵です。
 人は、自分が不幸と思うのは「他の人と自分を比べたとき」です。
 本当の幸せは、毎日のちょっとした出来事にささやかな幸せを感じ
「うれしい」「楽しい」「ありがたい」
と思えたら、もうこれ以上の幸せはありません。
(
有田秀穂:1948年東京都生まれ、脳生理学者、医師。専門は呼吸の脳神経学、セロトニン神経の機能と活性法、坐禅の科学。「セロトニン」が心身の元気とハピネスに関係する脳内物質であると主張。東邦大学医学部名誉教授。セロトニンDOJO代表)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

親からクレームをつけられたり、学級崩壊を経験するのは当たり前の時代、どうすればよいか

 学校の中で孤立に追い込まれる教師が後を絶ちません。精神的に追い込まれていく教師。どうすればよいのでしょうか。
 
 いまは教師受難の時代です。教師にとって、子どもも親も難しい時代だから、長い間教師をしていれば、一度くらいは学級崩壊になったり、精神疾患になるのも当たり前です。
 
 だから、クラスが荒れても、親からクレームをつけられるのも特別なことではなく、恥ずかしいことではないのだから、一人で抱え込まないようにして、自分の体験を話してお互い支え合っていけばよいのです。
 
 ある教頭先生は学級崩壊を経験しています。当時を振り返りながら
 
「そのとき、周りの教師に支えられて退職せずに済みました。こうして教頭になることもできました」
 
「いま振り返っても、自分の学級運営が格段に悪かったとは思わない。私のクラスにたまたま問題児がそろっていたのです」
 
「荒れる可能性をもった子ども同士が、ある意味、相乗効果を発揮して爆発すれば、どんなクラスでも崩壊してしまいます」
 
「子どもも親も難しい時代だから、一度くらいは学級崩壊になるのも当たり前です」
 
「だから、一人で抱かえ込まないで、お互い支え合っていこうと、呼びかけているのです」と語っています。
 
 その教頭先生がいる学校で、クラスが荒れて悩んでいる先生が
 
「子どもが好きで先生になったのですけど、最近は子どものことを可愛いと思えなくなった。物は飛んでくるわ、黒板に死ねと書いてある」
 
「けれど、この学校には教師同士、お互い何でも語り合え、支え合える雰囲気があるのです。それで私も何とか続けられているんです」と言っています。
 
 管理職がリーダーシップを取って「弱音を吐ける職員室づくり」を進めていくことが一番大切です。
 
 弱音を吐けて、早めに他人に助けを求められることは教師に必要な能力です。
 
 教師には真面目で頑固な人が多い。融通が利かず、問題を一人で抱かえ込んでしまうことが多い。だから、教師の孤立化を防ぐのに大切なのが教師自身の意識改革です。
 
 クラスが荒れても別に恥ずかしいことではありません。親からクレームをつけられるのも特別なことではありません。
 
 これだけ難しい時代なだから、問題が起きるのも当たり前というぐらいの意識をもってほしいと思います。
 
 これからの教師に必要な能力として、弱音を吐けること、早めに他人に助けを求めることが求められます。
 
 溜めこんで、どうしようもなくなった時点でお願いしますと言われても、迷惑するだけです。
 
 理解のある管理職に出会うのは、簡単なことではありません。ではどうすればよいか。
 
 私は、教育相談やカウンセリングの勉強をしている教師が音頭をとって教師同士の支え合いの会をつくるとよいと、提言しています。
 
 有志の集まりですから、最初は数人しか来ないでしょう。しかし、月1回程度、開き続けることが大切です。
 
 成功のポイントは、司会者の教師自身が、自分のクラスでうまくいっていないことを話すのです。
 
 全員が自分の抱えている問題について語ります(1人5分程度)。絶対に批判はしない。
 
 あくまで温かい雰囲気を心がける。そして、一人ひとりの抱かえている問題について、4~6人で知恵を出し合いながら解決策を考えていくのです。
 
 その際、とりあえず、どうなりたいか(短期目標)、そのためにさしあたり何ができるのかを話し合うことです。
 
 少しでも解決のための糸口を手にすることができ「来てよかった」「元気が出たし、得をしたな」と思える会にすることです。
 
 教師同士でグチをこぼし合ったり、無駄話ができるような場所を確保しておくことです。
 
 利害関係のない相談相手を見つけるのもよいと思います。学校外での教師同士のネットワークも大切です。
 
 初任者研修などで知り合った仲間を大切にして、困ったことや悩みなどを打ち明けられる関係を保っておいてほしいと思います。
 
 授業づくりでも何でもいいから、同じ関心をもつ仲間と時々会っていろいろ話す機会をつくっておくようにしてほしいのです。
 
 そんな仲間こそ、何かつらいことがあったとき、最も信頼して相談できる相手だからです。しかも、利害関係のないことが大事。同じ学校に勤務していると、いくら気が合うといえ相談内容によってはばかられる場合があります。
(
諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、 明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。悩める教師を支える会代表)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

教師がストレスで心がつぶれてしまわないようにするには、どうすればよいか

 教師がストレスを感じたとき、心がつぶれないようにするには、どうすればよいのでしょうか。
 メンタルトレーニングを取り入れるとよいでしょう。スポーツの世界では、大切な試合で最大のパフォーマンスができるように、日頃から心を鍛えています。
 教師の心がつぶれないようにするには
1やる気がでる言葉を言う
 自分のやる気が出るような言葉を自分自身に言います。よい結果になることが多い。例えば、
「何とかなるさ」
「自分だったら、できる」
「どの教師も同じような環境にある。ベストを尽くそう」
2 ストレスを軽減する方法を自分なりに持っておく
 ストレスを感じたら、心の病になる前に、ストレスをなくすようにします。
 ストレスをなくすために、どのようなことをするか決めておきます。例えば
(1)
人に話す
 人と話すことで、ストレスが軽減されます。
(2)
経験豊かな人に相談する
 経験豊かな人に相談してみると、気が楽になることもよくあります。
 自分なりの教育も大切ですが、自分が正しいと思っている方法でも、他の人から見ると、もっとよい方法があると思われることもあるでしょう。
 できれば、20歳代のうちに、他の人からたくさんの感想やアドバイスをもらうべきです。若いうちはプライドも高くなく、素直に受け入れることができるからです。
 優れた実践を参考にして、そのうえで、オリジナルな教育をしていくべきなのです。
「まったく、何ていうこともない問題だよ。もっと図太くなりなさい」
とアドバイスされることもあるでしょう。
 自分にとっては大変な問題だと思っていても、別の人からすると問題にならないといったこともあるのです。
(3)
考え方を一つ高くもっていく
 必要以上にネガティブにとらえていないか、よく考えてみるとよい。漠然とした不安に、自分の心が悩んでいることもあります。
 八方ふさがりに見えても、考え方を一つ高くもっていくと、問題だと思っていたことが、実は問題ではなかったと思えることもあります。
(4)
優れた実践家の考え方に学ぶ
 優れた実践を行ってきた教師は、優れた考え方の持ち主です。
 そのような教師の考え方に触れるのも、教師としてのメンタルを磨くことになります。
 また、尊敬できる教師がいるであれば、その教師にどんな考え方で仕事を進めているのかを尋ねてみるのもよいでしょう。
 ストレスを感じず、毎日楽しく仕事をしている、実力のある教師がいます。
 そういった教師に共通するのは、逆境にあっても負けない考え方を持っています。「自分ならできる」と、楽観的で、前向きな姿勢を持っているのです。
 子どもや保護者、社会のために貢献できることに、喜びを感じることができる教師なのです。
(
大前暁政:1977年生まれ、岡山市立小学校教師を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞
)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

学校の外部からの苦情やクレームにどう対応すればよいか

 教師は生徒とのやりとりでも疲れるが、学校の近隣など、外部からの苦情やクレームがあったときも、その対応に精神的に消耗する。たとえば、
「おたくの生徒が商店街を横に広がって歩いている」
「今、おたくの生徒が、ウチが経営している駐車場にはいってボール遊びをしている。車に傷がついたら校長が弁償してくれるのか」
「おまえの学校の生徒が、自転車でオレの車の前を横切った。急ブレーキをかけたから事故にはならなかったが、おまえの学校はどういう指導をしているんだ」等々 
 学校により差があるが、こういう電話が毎日のようにかかってくる学校も少なくない。
 こういう電話の主は、ほとんどの場合、名前を名乗らない。また、その場で直接、生徒に注意しようとする気持ちもないようである。
 だから学校に電話をかけてくるのである。にもかかわらず、学校に対しては非常に高圧的である。
 こうした電話がかかってきた場合の対応としては、まず
(1)
自分の名前を名乗る
(2)
相手の名前を聞く
(3)
場所や状況について細かく質問する
(4)
「今すぐに、そちらに伺いたい」
と言うのがよいと思う。
 要するに、事件として冷静に対応すればよいのである。
 相手の感情や迫力に押され、事実確認もしないまま、名前もわからない人間に対し電話口で平身低頭するのは下の下である。
 学校に文句が言いたいがため、クレームをつけたいがために電話してくる人がいないとも限らないからである。
 たとえば、数年前こんなことがあった。男性が執拗にクレームの電話をかけてきた。
 内容は、自分の住むアパートの階段に生徒が座り込み、パンなどを食べたうえ、物を散らかすので困るといったことなどである。
 名前も名乗らないし、場所もハッキリとは言わない。ただ、話の内容から大体の場所が推定できたので、私は空き時間を利用し、そのあたりを歩きまわってみた。
 数日後、またクレームの電話がかかってきた。私は住宅地図を手にしながら、こう聞いた。
「最近、三丁目を中心に巡回していますが、あなたがお住まいのアパートというのは、○○アパートではありませんか」
 相手は一瞬、言いよどんで「違います」と言った。
 しかし、私はズバリだと確信した。
 さらに「今、そこに生徒が来ていますか?」と聞くと、今はいないという。
 そこで、私は
「学校も巡回を強化していますが、もし生徒がご迷惑をおかけすることがあったら、あなたのほうからも、一言注意していただけませんか」
「それでも聞かないようでしたら、学校に電話してください。もちろん110番されても結構です」
 この男性からのクレームは、そのあとピタリと止んだ。
(
永野恒雄:元東京都公立高校教師。東京都高等学校教育法研究会事務局長。日本教育法学会理事、ことわざ学会理事。明治大学兼任講師)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

教師の心が健康であるためには、ストレスにどう対処すればよいのでしょうか

 教師が心の健康を害してしまうと、その教師の挫折という個人的な問題ではすみません。ただちに、学校現場に混乱が生じ、子どもの学習に支障をきたします。
 教師の心が健康であるためには、学校現場はどのように対応していくべきなのでしょうか。
 教師一人ひとりがストレスを抱かえこまないように、同僚教師の相互支援が必要です。また、管理職主導で、教師の健康管理に留意することが重要です。
 なかでも、異動したばかりの教師に対して、こうした対応がとりわけ重要です。問題になるのが前任校と赴任校の違いです。子どもの指導の困難さや指導方針の相違に戸惑います。
 それに、職場内での新しい人間関係のありようがストレス要因になることが多い。
 異動したばかりで、管理職や同僚教師との人間関係も成立していないと、相談も十分にできず、孤立感を味わうことになります。
 とくにベテラン教師が異動すると、指導困難な学級の担任を依頼されることが少なくありません。
 教職経験が豊富であるがゆえに、うまくいかない状況になると挫折感は深刻で自信をなくしてしまうこともあります。
 教師自身が心の変調を防ぎ、ストレスをコントロールにはどうすればよいのでしょうか。
 ストレス状況になった場合、多くの人は、逃げようとします。困難から逃げると、かえて事態の悪化を招くことがあります。
 ストレスは達成感や満足感を得るために欠かせないものです。したがって、まずストレスに気づき、向きあってみることです。つまり、ストレスに「直面」することが大切なのです。
 たとえば、苦手な同僚教師がいたとしたら、どういう点が苦手なのか、どうして身構えてしまうのか、自問自答してみます。
 自分のおかれたストレスを自覚し、積極的に直面していくうちに、ストレスに耐える力は強化されていきます。打たれ強くなり、不安や変調を自分で癒す技術が備わってくるわけです。
 ストレスに向き合う試みをじっくり進めていけば、より困難なストレスに立ち向かえるようになります。
「自分は、こういうストレスに弱い。以前はこうやって乗り越えたから、今度もそうしてみよう」といった取り組みが自然にできるようになれば、もう安心です。
 教師一人ひとりが心の健康の重要性を認識し、日常的にストレスコントロールを実践していくことが重要なポイントといえるでしょう。
 それと、人間関係上のトラブルをつくりださないような、風通しのいい職場環境にしなければなりません。それを主導するのは管理職です。養護教諭は支援的な役割を果すことが期待されています。
 こうした体制のなかで、教師一人ひとりが気軽に相談し合える雰囲気づくりをしていくことが大切です。
 相手を思いやり、共感を大切にする姿勢をみんながもてるかどうかで、職場で教師が心の健康が保てるかどうかの成否が左右されるといっても過言ではありません。
(
中島一憲:19562007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

もし学級崩壊が起きても、心や体を壊さず、辞めずに生き残るためには、教師や同僚はどのようにすればよいか

 教師は真面目な人が多い。真面目だから教師になったと言っても良い。
 だから、学級崩壊してしまったら、自分を責めてしまう。そんな人ばかりだ。そして、心を壊す。体を壊す。辞めてしまう人もいる。自殺してしまう人だっている。
 学級崩壊は運である。私だって十二分に学級崩壊を起こす可能性がある。
 人間は、誰しも相性というものがある。もし、私がものすごく相性の悪い子どもや保護者の担任になってしまい、その子どもや保護者がものすごく影響力を持っていれば、私のクラスだって、学級崩壊してしまうのだ。
 もちろん、教師の努力で学級崩壊に陥る確率は下げられると思っている。しかし、学級崩壊の確率を下げたところで確率がゼロにはならない。学級崩壊してしまう可能性は誰にだってあるのだ。
 運悪く学級崩壊してしまっても、自分を責めてはならない。人のせいにしてでも、生き残れ。教師として1年間、生き残りさえすれば、次の年は楽勝に感じられるはずだ。
 とにかく1年間をしのぎきり、生き残ることが大切なのだ。
 これは、将来、学級崩壊に当たってしまった時の私自身へのメッセージである。
 学級崩壊が起きても明るく、元気に働き続ける、つぎのような教師の例がある。
 毎年、学級崩壊を起こしている女教師と同じ職場になったことがある。彼女の様子から、かなり学級崩壊に慣れているのが感じられた。
 彼女は明るい。職員室での振る舞いを見ていると、学級崩壊しているクラスの担任だなんて、とても思えない。よくしゃべり、よく笑う。学校を休むこともない。彼女は、毎日元気に働き続けていた。
 なんでこんなに元気で明るいんだろうと、不思議に思っていたが、彼女の話を聞いていて、よく分かった。
 彼女は、自分が悪いとは全く思っていない。悪いのは全て、子どもであり、保護者であり、世の中なのだ。
 だから彼女は傷つくこともなく、明るく元気に働き続けられる。すごいことだ。
 私は、純粋に彼女に学ぶべきだと思っている。
 人のせいにすれば、病気にならなくて済むのだ。辞めなくて済むのだ。
 少しはそうやって、人のせいにしてみよう。そうすれば、少しは心が軽くなるのではないか。
 また、彼女がずっと元気でいられたのは、周りにいた同僚の力も大きい。
 同僚たちは、人のせいにばかりする彼女の発言をとがめなかった。
 それどころか「うん、うん」とうなずき「そうだよねえ」と共感的に聞いてあげた。
 誰か一人でも学級崩壊を彼女の力量のせいにしていたら、彼女だって、きっと心が折れていたはずだ。
 彼女が元気で居続けられたのは、職員室の力が大きいと思う。
(
中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ、多くの学生に向けて講演も行っている)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

多忙感の克服には、上手にスローダウンするコツを覚えることが大切

 つぶれていった教師の多くは、「私はブレーキがきかないほうですから」と言っています。一生懸命やることはいいことです。ただし、悪いほうに事態が進展するとつらさが倍増します。
 常に全速力で走り続けるのは事故のもと。途中でガソリン切れにならないよう、心のエネルギーのメーターを見ながら、少しゆっくり走ることを覚えましょう。
 それと、助けられ上手になって、燃え尽きるのを防止しましょう。
 仕事を抱かえ込む教師の多くは、思いこみをもっています。「主任であれば、これだけの仕事はこなせて当然だ」と。
 こんな教師は「他人に助けを求めるのは、ダメ人間のすることだ」という非合理的な思いこみを抱いています。
 いまの時代、教師を続けるために重要となるのが、助けられ上手になること。「助けを求める力を身につける」ことなのです。
 この能力が、バーンアウトを予防し、メンタルヘルスを保つために、最も重要な教師の能力の一つなのです。
 校長か教頭、親しい同僚に話しをするという手もあります。自分がいま抱えている仕事を前もって紙に書いておき、リストにして説明するといいと思います。
 
「確かにやりすぎだ。仕事を減らさせよう」と管理職が考えてくれたら、とても楽になります。
 休日も家で仕事という教師も多いと思います。そんな教師にぜひおすすめなのは、遊びのノルマ化です。
 週に一回はDVDを観る。月に一回は寄席やお笑いライブに行って思いきり笑う。年に一回は海外旅行をするなど、遊びと休息のスケジュールを立て、それをノルマ化するのです。
 睡眠不足は教師の大敵です。自分が気力・体力ともに回復できる睡眠時間を決めておきましょう。
 まじめな教師ほど、睡眠時間を削って仕事をしてしまうものです。ストレス対策の第一は何と言っても睡眠をしっかりととること。ゆとりある教師の顔が、子どもたちの笑顔をつくります。
 あるいは、同じ思いを共有している同僚の気の合う教師と「やってられないよ」などとグチをこぼしあうことです。
 
「紙を破く」方法は、子どもたちのストレス解消にも役立ちますが、新聞紙などを「ウワァーッー」と大きな声を出しながら、手でビリビリ破く方法です。声を出すことで気持ちがスーッとします。
 その他に、短時間のストレス解消法として「30分間一人カラオケ」をおすすめします。または、30秒間でスッキリするのが、ミント系のアロマオイルの香りを吸うだけでスッキリし気分転換にもってこいです。
 自分の命が長持ちするように、大切に生きることが教師としての使命です。突っ走るだけがいい教師ではないのです。
(
諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。悩める教師を支える会代表)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

いじめの指導 | さまざまな子どもの指導 | ものの見方・考え方 | カウンセリング | 不登校 | 人間の生きかた | 保護者との協力関係をつくる | 保護者にどう対応するか | 保護者の実態 | 優れた先生に学ぶ | 優れた授業とは | 優れた教科授業例 | 先生の実態 | 危機管理 | 叱る・ほめる・しつける | 各国の教育 | 各教科の授業 | 同僚・管理職との関係 | 問題行動の指導 | 国語科の授業 | 地域 | 子どもから学ぶ | 子どもたちに対する思い | 子どもたちの関係づくり | 子どもと向き合う | 子どもの失敗 | 子どもの実態 | 子どもの成長をはかる | 子どもの指導の方法 | 子どもの見かた | 子どもの話し方 | 子育て・家庭教育 | 学び合う学び | 学校の実態 | 学校経営と組織 | 学級づくり | 学級の組織と活動 | 学級の荒れ | 学級崩壊 | 学級通信 | 学習指導・学力 | 学習指導案 | 実践のための資料 | 家庭 | 掃除 | 授業づくり | 授業のさまざまな方法 | 授業の展開・演出 | 授業の技術 | 授業中の生活指導 | 教師との関係 | 教師と子どもの関係づくり | 教師に必要とされる能力 | 教師の人間としての生きかた・考えかた | 教師の仕事 | 教師の心の安定 | 教師の成長・研修 | 教師の話しかた | 教師の身体表現力 | 教材・指導案 | 教材研究 | 教育の技術 | 教育の方法 | 教育の理念や思い | 教育史(教育の歴史と変化) | 教育改革 | 教育法規 | 教育行政(国・地方の教育委員会) | 新学級づくり | 理科の授業 | 社会環境(社会・マスコミ・地域) | 社会科の授業 | 算数・数学科の授業 | 経営とは | 英語科の授業 | 評価 | 話の聞きかた