カテゴリー「教師の心の安定」の記事

教師受難のむずかしい時代を生き抜いていくために必要な教師の能力とは何か

 今のようなむずかしい時代に教師生活を長く続けていくためには「弱音を吐く能力」「助けを求める能力」が必要不可欠なものとなりつつあります。
 弱音を吐き、助けを求めることは、教師受難の時代を生き抜いていくための能力の一つなのです。
 助けられ上手な教師は
(1)困っていることを解決するために、同僚や管理職からの助言や援助を求める。
(2)自分が困っているときには、話を聞いてくれる人がほしいと思う。
(3)困っていることを解決するために、自分と一緒に対処してくれる教師を探す。
(4)自分の周りの人に助けられながら、うまくやっていきたいと思う。
 男女別でみると、女性のほうが男性に比べ、助けを求めることへの抵抗が少ないようです。
 助けられ下手な教師は
(1)よほどのことがない限り、人に相談することがない。
(2)なにごとも、同僚や管理職に頼らず、自分で解決したい。
(3)同僚や管理職の助言は、あまり役に立たないと思っている。
(4)援助を求めたら、人はわずらわしく感じるのではないかと、思っている。
(5)自分が困っているとき、同僚や管理職は、そっとしておいてほしい。
 助けられ下手な教師の特徴は、
(1)自尊心の高すぎる人
 経験的にも能力的にも「自分はできる」という自負のある先生が学級経営や保護者対応に行き詰ったとき、プライドが邪魔をして助けを求められないのです。
(2)自尊心の低すぎる人です。
 学級崩壊に陥っている。保護者から攻撃を受けたというとき、これ以上自分のダメなところを見せたら、人から見放されるという怖さがあって相談ができないのです。
 大切なのは、勇気をもって自分の苦しみを打ち明けることです。助けを求めれば、救われるチャンスも得られるのです。
「そうは言っても、助けを求められる人、いないんですよね」と、言う教師は多い。
 でも、ほんとうにいませんか? あなたの周りにほんとうに一人もいないでしょうか。
 実は、同じようなことで悩んでいる教師は、結構いるものです。
 幅広く目を向けて、安心して相談できる相手を見つけましょう。
 周りを広く見渡して、味方になってくれそうな教師を探す習慣をつけること。
 これが、あなたがこの先も教師を続けていくための、大きな助けとなるのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授。専門は臨床心理学、カウンセリング心理学。悩める教師を支える会代表。現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

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教師が悩みを共有し、お互い支え合いながら課題を解決していける人間関係づくりが求められています、どうすればよいのでしょうか

 教師同士が雑談することでどのような効果をもたらすのでしょうか。
「同僚が自分をサポートしてくれる仲間だと感じることができた」
「ストレスをほぐせた」
「人間関係がよくなり、仲良くなることで学校が楽しくなった」
「なごやかになり、気持ちが落ち着く」
などのメンタル面で大きなプラス効果があります。
 ある学校では、校長自らが職員室の後方に仕切りを作り、雑談できるようにしていました。
 勤務時間外に、教師たちはそこでお茶を飲み、お菓子を食べ、子どものことなど様々なことをしゃべってから帰路につきます。晴れ晴れとした顔で帰っていくのです。
 学校でのストレスを学校で解消していくことで、家庭にストレスを持ち込まないようにすることができます。
 結局それは、翌日の勤務への意欲を高めることにつながっていったのです。
 校長が「雑談スペースを作ったことで、先生方の仕事の効率が上がった」と、胸を張って言っていました。
 雑談時間を「余分な時間」と考えず「リフレッシュする大切な時間」と考えることが必要なのではないでしょうか。
 雑談のときに、どのような言葉がけをするかというと、例えば
「私のクラスに、授業中に騒がしい子どもがいるのですが、先生は騒がしい子を担任したことがありますか。もし、あればどのような方法をとりましたか?」
と、聞くとよい。
 教師は誰でも教えたがりです。その部分に触れるように話すと、気軽に相談に乗ってくれます。
 また、趣味の話なども、雑談の中に入れましょう。お互いのもち味や興味のあることを日頃から知っておくことが、気軽に雑談に入るためには必要です。
 年配の教師は、情報機器が苦手な人が多く、若い教師にかなわないと思っているものなのです。
 だから、ちょっと気後れしていてしまい、声をかけづらいところがあるのです。若い教師も、自分から声をかけていくことです。
 雑談には、リラックスしたりストレスを軽減する効果があるのですから、とにかく思ったことをしゃべりましょう。
 ただし、相手に対して「NGワード」がありますから、それだけは気をつけましょう。
 こうした雑談スペースを上手に使いながら「悩みを聴き合える素敵な職場」を創り出すことが、教師の同僚性を取り戻し、お互いが支え合う職場を創ることにもなるのです。
 若い教師は「悩みを聴いてもらえる時間がない」とよく口にします。
 若い教師は、ささいなことで悩むし、落ち込むことが多い。
 教師は多忙であるが、次のように同僚教師や管理職から認められることが多忙感を軽減する大きな力にもなっています。
「協力してくれる人がいる」
「やったことを認めてくれる人がいる」
「管理職や同僚から認められたり、労をねぎらってもらうと負担感が減る」
「管理職に信頼されて任されていると感じるとき」
 誰もが「人から認められたい」という思いをもっています。
 人間同士としての温もりこそが大切になっているのです。
 悩みを共有し、お互いが支え合いながら課題を解決していける人間関係づくりが求められています。
(増田修治:1958年埼玉県生まれ、埼玉県公立小学校教師(28年間)、白梅学園大学教授。「ユーモア詩」を通じた学級づくりを進めた。2002年にNHKにんげんドキュメント「詩が踊る教室」放映。小学校教師を対象にした研修に力を注ぐ)  

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私たちは常に何らかのストレスを受けて生きている、具体的なストレス解消法にはどのようなものがあるか

 私たちは生活環境から常に刺激を受け、それに反応しながら生きている。
 生きている限り、私たちは常に何らかのストレスを受けていて、それから完全に逃れられることはない。
 ストレスとどう仲よくつきあっていくかを考えることが現実的な解消法につながる。
 仕事の中で生じたストレスは仕事を通じて、人間関係の中で生じたストレスは人間関係を通して解決していくのが理想である。
 ストレス解消は、心身の疲労が解消されるときに感じる、気持ちのよさ、すっきり感、心が清められるような感じ、安心感や安定感がでてくることが目標となる。
 具体的なストレス解消法は
1 一人でできるもの
 身近なものでは、酒、買い物、スポーツなどが多いと言われている。
 しかし、このようなものは一時しのぎでしかないのでそれがエスカレートしていくと依存症や嗜好になってしまう危険性がある。
 一人でできる趣味には、心を楽しくさせ、満足させ、心を元気に作用がある。
 しかし、趣味はあくまで気ばらし、気分転換と考えるべきで、趣味をすることでストレスの原因が解決されてストレスが解消されるものではない。
2 相手が必要なもの
 気の合う人とおしゃべりして話を聞いてもらう。動物を飼うことなどである。 
 フィーリングの合う、価値観が同じで、気をつかわないですむ人に自分のもやもやした思いを聞いてもらうことは、とっても心が楽になる。
 言葉を使わず自分の好きな動物と一緒にいることも心をなごませる。
3 最大のストレス解消法
 最も効果のあるストレス解消法は睡眠である。眠ることにつきる。
 ストレスの苦しみは起きているときの意識上の問題であるから意識レベルを変えることがまず第一である。
4 原因別のストレス解消法
(1)人間関係が原因の場合
 人間には生理的に好き嫌いがはっきりしているところがあるので、生理的に合わない人との人間関係は割り切るしかない。
 マナーや社会常識などを重視しつつ、それを利用してその人との距離をとる、言葉づかいなどに気をつけるしかない。
 人間は感情がからんでくると自己制御が難しくなる。だからこそ、常日ごろの人間関係が重要となる。
 自分と価値観が合って、気をつかわずに何でも話ができる人を大切にすべきである。その人とは性格傾向も似ているため、自分と同じような挫折体験をした確率が高い。
 とすれば、自分に合った適切なアドバイスを得ることができるかもしれない。
(2)過労からくるもの
 目的追求型の日常生活から生じた結果なので、まずノルマをもたない自分が主体的に使える時間をつくることが効果あるといえる。
 例えば、旅の好きな人ならば目的をつくらない旅をしてみることなどである。
(3)自分を縛っている固定の規則や習慣がストレスの原因となっている場合
 十分に時間をとって内省し、他人が決めたことに従わされていることからくる不自由な生活、疲れ果てている感覚、心の窮屈感、本当は心の底から求めている解放感に気づくことである。
 人間の本能は自由、わがままに生きることにあるのだから。
4 感性を鍛え磨く、大切にする
(1)身体の健康を大切にする
 心を守ってくれるのは身体なので、身体の健康が大切である。
 十分な睡眠と楽しく、おいしく食べることができる生活が必要条件である。
 健康な感情を持っていれば、今しんどいのか、まだ底力がのこっているのか、もう精一杯なのかなどがわかる。
 心と身体のバランスが崩れてしまうとこの感覚が機能しなくなる。
(2)自然と向き合う
 大自然に触れることによって、絶対的な考え方と、自分の考えを基準にした相対的な物の考え方の両方を体験してみる。
 自分のそれまでの想像を超えた全体的視野、自然がもたらす絶対的感触を経た上で相対的に物事を考えることで、物事の本質、限界、可能性、希望が見えてくる。
(3)本物に出会う
 世の中には決してお金で置き換えることのできないものが存在することに気づき、心が関係しているということに気づくことができるかどうかが、人間としての分岐点である。
 そのためには、一流といわれるもの、本物だといわれるものを創作した人、一流のスポーツ選手、芸術家の生き様に何を感じるかにかかっている。 
(岡田 謙:医師(精神保健医)。教師と児童の精神疾患治療で有名な関東中央病院の部長を務め、東京都医師会学校精神保健検討委員会委員。平成18年から「くじらホスピタル」の初代院長に就任)

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新任2年目で小学校1年生担任に配置されダウンした教師の事例

 事例:Dさん(20歳代の小学校女性教師:適応障害)
1 状況
 新任2年目に「この学年だけは勘弁してほしい」と伝えていた学年に、学年主任を支える役割の1年担任として配置された。
 学年の担任構成は、新任1年目、新任2年目、講師、学年主任の4名です。
「2年目だから、あなたはできるわよね」という雰囲気を感じすぎてしまい、自分は一人でできなければいけないと、自分を追い込んでいった。
 前年にお世話になった初任者担当教師が転勤して、相談できなくなり、何をどうすればよいか、わからなくなっていた。
 担任したクラスの子ども同士のトラブルが絶えない状態になった。
 ただただ、大声でクラスの子どもたちに注意をするが、空回りするばかりであった。
 保護者のクレームが嵐のようにふりそそいできた。
 不眠、頭痛、吐き気とともに、朝、起きられなくなり、4月に教職員の専門病院を受診し、病気療養することになった。
2 よかったこと
 受診してからは、管理職が本人の負担を認め、本人をねぎらった。
 病気療養のうえ、職場復帰トレーニングに参加。仲間を得て「やってみよう」という気持ちになった。
 半年間という長めのプレ出勤(慣らし出勤)をしながら、教師として必要な多くのことを自然と身につけていった。教育センターの退職校長が、よく面倒をみてくれた。
 新年度から担任外での復職となり、3カ月伴走してくれるサポート教師も得た。
3 解説
 新任2年目は、まだまだ不安な時期であり、相談できる同僚教師がいなくなっただけでパニクック状態になる若い教師も珍しくないです。
 学年団によっては「それぞれ自分でやりましょう」という方針をとっていたりします。
 この学年のように、人員不足により学年主任が新任と講師のフォローをしている間に新任2年目が取り残され、混乱していたり、といったこともありえます。
 Dさんの場合、不安だから、そこだけは外してほしいとお願いした1年生だったことも、保護者の不安や期待に応えなくてはといった極度のプレッシャーを抱えた一因でした。
 子どもに、まず椅子にじっと座るところから教えるなど、思ってもいなかったことでした。
 新学期に大量にあるプリント類の配布も、落としたり、もらっていない子どもがいて混乱しました。 
 翌日から、保護者のクレームの嵐だったと言うことです。
 Dさんは、職場復帰のトレーニング初期には「なんで私がこんな目に」といった被害者意識を感じていました。
 模擬授業をすると、力量のある素敵な授業でした。
 その頃から、表情がゆるみ始めて、年配教師の参加者ともよい距離感で交流するようになりました。
 その後、校長の理解のもと、半年のプレ出勤を経て、復帰1年目は担任外、翌年度に担任をもつという配慮もあって、今も元気に勤務しています。
(井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター副センター長。10年以上にわたり、学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援をおこなってきた)

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ストレスを軽減するには、どのようにすればよいのでしょうか

 人は、ネガティブなことに注意を引きつけられる特徴があります。
 人は自然な状態では、みんなネクラということです。
 あまりに楽観的にしていると「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまいますので、ネガティブ思考は生き延びるための本能的な知恵といえます。
 自然に何かを思い出したり、考えてしまう場合、ネガティブな思考になり、悔しかったことや、つらかったこと、がっかりしたこと、後悔すること、不安なこと、などに、なってしまうのです。
 輝かしい過去の栄光や、バラ色の未来が思い浮かぶことは、まずありません。
 過去のネガティブなこと、未来の不安は、ストレスになります。
 嫌なことは自然と頭に浮かび、考えてしまうものです。そして「嫌なことを、考えるのをやめよう」と思えば思うほど、ますますそのことを考えてしまいます。
 そこで、過去や未来のことを考えず、今、この瞬間のことに意識を向け、ありのままの状態をできるだけ客観的に観察するようにするとよい。
 すると、それだけで、心にたまったストレスを掃き出すことができるのです。
 そのストレスを掃き出す方法として「マインドフルネス」というケア法があります。
 まずは、基本となる「身体感覚」を感じることから始めてみましょう。
 例えば、呼吸に伴う体の感覚、動くときの筋肉の感覚、じっとしていても、ひとりでに起きてくる感覚など、ふだんは気づかない感覚を感じ取り、観察することで、ストレスをため込む「負の思考」から離れることができます。
 具体的には、次のように実践します。
 この実践を重ねるにつれて、ストレスで一杯になっている心が徐々に変わってくると思います。
1 椅子に座り、(1)~(3)を1~2分繰り返します
(1)椅子に座り、背筋を伸ばして、体の力を抜きます。手は膝の上に乗せます。
(2)呼吸に意識を向け「鼻から空気が入る感覚、出ていく感覚」「呼吸でお腹が動く感覚」を感じ、観察します。
(3)椅子に接した「お尻の感覚」、床に接した「足の裏の感覚」を、つま先から、かかとへの順で感じます。
2 歩く
 集中できなかったり、飽きてしまう場合は、歩いているときの感覚を感じ取り、観察することからやってみましょう。
 背筋を伸ばし、なるべく上半身は動かさないようにして、歩くにつれて足が動く感覚を感じ取りながら歩きます。
 動きのなめらかさや硬さ、次々と動く感肉の感覚、足の裏の感覚を感じましょう。
 気になることが、どうしても頭から離れない場合などもうまくいきます。
 気になることを思い出したりしたら、その都度、動きに意識を戻します。歩いているときは、動きがあるので、切り換えやすいです。
 足の動きを感じながら「右足、左足」などと頭の中で言葉にしてもよい。  
 取り組みやすいものから、短時間でも構いませんから、気づいたときに実践してみてください。
 回を重ねるうちに、少しずつ、気持ちが落ち着きやすくなるのを実感していただけると思います。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

 

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教師の心の病には「うつ病」がある、具体的な症状と治療法とは

 心の病で思い浮かべるのは「うつ病」ではないでしょうか。
 心の風邪と呼ばれたこともあり、うつ病患者は年間100万人以上で、診断を受けていない人を含めると500万人以上が罹患していると推定されています。
 うつ病の一番特徴的な症状は、気分の落ち込みです。数日、時には数時間や数十分単位で変化します。
「体が疲れやすく、運動もできない、する気が起きない」「テレビもうるさくて見たくない」
といった状態になります。
 特に、朝の気分が優れず、夕方以降は少し改善することがあります。
「うつ病の人を励ましてはいけない」ということはよく知られています。無理に気分転換を図ったり、活動をしたりすることで具合が良くなるものではありません。
 取るべき対応は通常とはまったく異なる場合があるので、注意が必要です。
 まれに、気分の落ち込みが目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるうつ病もあります。
 この場合の症状は「食欲が落ちて体重が減った」「だるい」「疲れやすい」など、身体の症状が中心となります。
 また、最近は「非定型うつ病」と呼ばれるうつ病があります。過眠・過食などの症状が見られ、夕方から夜にかけて気分が滅入る人が多くなります。
 対人関係に過度に敏感になり、周囲を責めるような言動が見られたり、好きなこと楽しいことに関心がもてたりと、従来のうつ病と異なる特徴が見られます。
 一方、「体が鉛のように重い」「イライラ感があまりに強く仕事が手につかない」などの症状が出るため、仕事への支障は小さくありません。
 その他に、「躁うつ病」があります。過度に気分が高揚して活動性が高い「躁状態」と、「うつ状態」をくり返す病気です。最近では「双極性障害」と呼ばれることが多い。
 うつ病は、過労やストレスがきっかけとなって発症するのが一般的です。
 何か「原因」を探したくなるものですが、明らかでない場合もあるのです。
 うつ病の主な症状は
(1)気分の落ち込み
 悲しい気持ち、希望を持てない気持ちが、常につきまといます。何をしていてもつらく、重症化すると仕事や生活にも支障を来たします。
(2)興味と喜びの喪失
 何をやっても楽しめず、むなしさがぬぐい去れなくなります。好きだった趣味もする気が起こりません。
(3)活力の減退
 活力が落ち、疲れやすく、活発に動けなくなります。何をするにもおっくうで、ちょっとしたことにも、取りかかる時間がかかってしまいます。
(4)思考力・集中力・注意力の低下
 本や新聞などの活字が読めなくなったり、人の話が頭に入らなくなったりします。受け答えが遅くなり、ちょっとしたことでも判断や決断が下せず、迷うことが増えます。
(5)自責感
 自分を責めやすくなります。自分が悪いと考えるようになります。
(6)体調の変化
 頭痛や腰痛などの体の痛みなど、さまざまな身体症状が現れます。そのため、当初は精神疾患だと気づかず、内科などを受診する人もいます。
 また、睡眠障害が起き「寝つけない」「熟睡できない」などが、しばしば起こります。
 このほか、重大な症状として「死にたい気持ち」があります。病気のなり始めと、ある程度よくなってきた回復期に多い。今は病気であることを繰り返し伝え、死なないでほしいと約束を交わすことが大切です。
 うつ病になりやすい性格として、次の(1)(2)の性格の人があげられます。
 つぎのような性格の人が必ずうつ病になるわけでも、それ以外の人たちが絶対ならないわけでもありません。
 ただし、うつ病になった人がこうした性格に当てはまる場合、落ち着いた頃に、自分の性格や思考パターンを見つめ直してみると、その後の再発防止に役立つと考えられます。
(1)真面目で几帳面
 何事も適当に済ませられず、徹底的にやり抜こうとするため、知らず知らずのうちに、自分を追い込んでしまいがちです。また、思った通りにいかないときに、大きなストレスを抱かえてしまいます。
 教師は真面目で几帳面な人が多いので注意が必要です。
(2)協調性が高い
「他人に合わせようとする」「周囲との摩擦を避ける」なども、うつ病になりやすいタイプとされています。
 他人への過剰な気づかいから自分の気持ちを抑え過ぎていたり、トラブルが発生した際に、過度に自分を責め、必要以上に責任を感じたりしやすいのです。
 頼まれ事をされた際に断れないことも少なくありません。
 うつ病の代表的な治療法は
 治療が始まってからも、病状には波があり、良くなったり、悪くなったりをくり返しながら改善していくのが一般的です。焦らずその時々の状態に合わせた療養に努めていただきたい。
(1)薬物療法
 うつ病の治療で中心となるのは薬物療法です。
 うつ病では、モノアミンと呼ばれる神経伝達物質が減少していると考えられます。
 この働きを高めるのが、抗うつ剤です。効果が現れ始めるまでに約2週間以上が必要で時間がかかりますが、比較的高い確率で改善が見られます。
 飲み始めの頃は、吐き気や胃の痛み、その後も眠気や便秘などの副作用が出る場合があります。
(2)電気けいれん療法
 頭に電極をつけて電流を流し、人為的にてんかん発作を起こす治療法です。抗うつ剤が無効な場合や、飲食ができず衰弱する危険性、自殺の危険が切迫している場合など症状の重い場合に実施されることが多い。
(3)精神療法
 ストレスを受けた際の考え方を見直し、バランスの取れた思考や行動を実践できるようになることを目的とした療法です。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

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教師がストレスで悩んだとき、相談先の見つけ方と、どのような人が名医か

 教師がストレスで悩み、相談したとき、どのような人が名医なのでしょうか。
 名医とは、自分の今抱かえているストレス内容を話した後、あー本当にこの人に話してよかったと思える人である。
 これから、この人と話し合うことによって、何か解決の見通しが立ちそうだと、まず思えることである。
 具体的な条件はつぎの3つである。
(1)相性がよいこと
 相性がよいと、気を使わなくてすむ。ストレスで疲れ果てているわけだから、無用な気を使わずにすみ、安心して話せる人が名医である。
(2)こちらが答えやすいことから、質問してくれる人
 初対面であるにもかかわらず、こちらの心理を無視して、能率優先で質問してくる人はよくない。
 いくつか解決したい複数のストレスがある場合、まず、こちらが聞いてほしい順番から質問してくる人は名医である。
 こちらが一番困っていることをわかってくれることにつながる。
(3)物事を常識的に、はっきりと言ってくれる人。こちらの細かな質問に対しても丁寧に納得するまで説明してくれる人。自分の意見を述べてくれる人。
 以上の3つを兼ね備えている人を自分の名医と考える。
 ここでいう名医とは、精神科医に限らず、ストレスを解決するための援助者すべてを含む。
 ストレスの内容は次の6つに分類できる。
(1)自分自身の健康上の問題
 具体的には、不眠、頭痛、肩こり、腰痛、食欲低下、めまい、耳鳴りなどの体調不良。
(2)家庭内での問題
 例えば、夫婦のストレス、子どもの問題行動(非行、ひきこもり、不登校、家庭内暴力など)
(3)職場内での人間関係
 職場の空気になじめない、同僚教師とのストレス(相性が合わない、いじめられるなど)、管理職とのあつれき(不仲、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなども含む)
(4)授業や生活指導に対する悩み
(5)教師としての適性についての悩み
 仕事が自分の思い通りに展開しなくなったとき、人は悩み、苦しむ。
 そのとき、信頼できる先輩、同僚、管理職などに恵まれている場合は、自分自信を取り戻すことができ、成長する。
 だが、そうでない場合は、自分の能力のなさを嘆き、落ち込み、自信をなくし、仕事がまったく手につかなくなってしまう。
(6)保護者との対応で生じるストレス
 保護者とうまくコミュニケーションがとれない場合、保護者自身に常識的なやりとりができない原因として、知的障害、精神障害、人格障害などがある場合など。
 そういう保護者に対しては慎重に言葉を選ばねばならず、教師のストレスは増していく。
 以上6つのうち、どのストレスが一番自分にとってつらいのかによって相談窓口を探し、決める。
 具体的な相談窓口は、どのようなところがあるのでしょうか。
 一般的には、教育センター、教育学部のある大学の教育相談室、専門的相談にのってくれる臨床教育実践センターなど専門機関を有している大学。
 相談内容によっては、信頼できる先輩や管理職の援助で解決できる場合もあります。
 また、弁護士、学校メンタルヘルスに精通した精神科医のいるクリニック、病院がよいこともある。
 一番確実なのは、信頼できる大人が関与している、質のよい口コミによる情報である。
 インターネット情報や情報誌による内容は本当に正しい情報かどうかはわからない。
 また、日常生活において何かストレスを意識した場合、最初に相談する相手は、自分に身近にいる同僚なり管理職に相談する場合が多いが、私見であるが、スクールカウンセラーが相談窓口となってほしい。
 どうしても口コミが得られないときは、機械的な情報を頼りにこつこつと探すしかないだろう。
(岡田 謙:医師(精神保健医)。教師と児童の精神疾患治療で有名な関東中央病院の部長を務め、東京都医師会学校精神保健検討委員会委員。平成18年から「くじらホスピタル」の初代院長に就任)

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学校の異動は精神的に不調になる危険がある、どうすればよいのでしょうか

 G教師は40歳代半ばのベテランである。異動先の学校では学年主任としてリーダー的な役割を期待されていた。
 担任した学級は最も難しいクラスで、課題のある子が多数いたが、経験5年未満の若手教師中心の校内では誰にも相談できない状況であった。
 初めての地域で、異動してきた直後で分からないことばかりです。
 当然、仕事は時間も手間もかかるようになってきました。
 こうした中で、学年主任として仕切るのには、大きなプレッシャーがありました。
 4月下旬になると早くも学級経営に暗雲が立ち始めたのを感じるようになりました。
 しかし、相談相手がいません。長い教師人生で初めて不安に襲われました。
 G教師は高学年を担任することが多く、強い指導を持ち味として学級経営を進めてきました。
 早い段階から規律を浸透させ、ルールを守らない子には少し強めの言葉で指導し、厳しさの中で、力を伸ばす学級づくりをしてきました。
 それだけに4月に規律が乱れ始めたことに動揺したのです。不安で眠れなくなることがありました。
 5月の連休明けには、明らかに数人の子どもが指導に従わなくなりました。
 子どもたちのふざけた態度に、ますます厳しく指導しますが、厳しい指導が通用しないことへの焦りで、どうしたらよいのか分からなくなっていました。
 1学期の保護者面談で「うちの子に厳し過ぎるのではないか」という声が複数の保護者から寄せられました。
 そして保護者会で、一番手を焼いていた子どもの保護者がこれに同調し、あっという間にG教師を糾弾する場と化してしまいました。
 G教師にとっては初めてのことです。その晩は、寝つけず眠りについたのは明け方になってからでした。
 そして翌朝は身体が重く、強烈な頭痛に襲われ、起き上がれませんでした。1学期もあとわずかという時期でした。
 学校を休み始めて数日後、病院で「適応障害」と診断されました。通院しながら自宅で療養することになりました。
 これまで、教師として順調なキャリアを歩んできたG教師にとって、精神疾患となって出勤できなくなるとは、到底受け入れがたいものでした。
 社会から取り残されている寂しさと焦り、何もできずに休んでいる自分への情けなさ、こんなはずはないと自分の現状を否定する思いが交錯し、葛藤する日々が続きました。
 休み始めて2カ月ほどすると、現状を受け入れる気持ちが芽生え始めました。
 徐々に症状は軽くなり、年明けの復職を考え始めました。
 しかし、いざ復職を考えた途端、自分の置かれた立場が頭に浮かんできました。
 言うことを聞かない子ども、大きな声で責める保護者、他人行儀な同僚。
 教室に戻ったときの光景が頭に浮かぶと、再び不眠と頭痛に襲われました。
 自分の指導スタイルが通じなかった挫折感はまだ生々しく、子どもとの関係が修復できるとは思えませんでした。
 医師と話し合い、年度末までの休職を決意しました。
 学年が変われば状況も変わる。新しい年度になったら、また一から頑張れるのではないかと考え、G教師は翌年度に復職しました。
 異動は精神的に不調になる危険があります。どうすればよいのでしょうか。
 学校を異動すると、前任校で得られていた自分への信頼がゼロからのスタートになります。
 当たり前だった日常が、当たり前でなくなります。G教師のように対処しきれず、不適応に陥ることがあります。
 わからないことは素直に認め、相談して教えを乞い、新たにキャリアを積んでいく気持ちを持つ姿勢が必要なのかもしれません。
 初年度は、自分になるべく負担を課さないように心がけるとよいでしょう。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

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悩んでいる教師の悩み方にはパターンがある、悩まないためにはどうすればよいか

 私は多くの教師の「悩みの相談」を受けて、悩みを聞いていく中で、
「悩みを抱かえる人たちの悩み方にはパターンがある」
「いくつかの知識があれば、悩んだ時の傷つき方は異なってくる」
ということに気がつきました。
 悩み方のパターンと、悩みのパターンに陥らないためにどうすればよいのでしょうか
1 悩み方にはパターンがある
(1)「自分だけが」と思い悩む
 悩みを抱かえている教師たちは、周りの教師はうまくやっているのに、自分だけがうまくいかない。自分だけがこんなに悩んでいる、と思っています。 
 そして、自分の悪いところを探し、見つけたところを無理に直そうとする。ところが、うまくいかず、さらに苦しむ。
 そんな思いの中で「自分には能力がないんだ」「先生に向いていないかも」と自信がなくなっていくのです。
(2)エネルギーの不足
 教師にとって学校に行くということは、子どもとの関係、保護者との関係、同僚との関係など、さまざまな関係を切り回すことになります。
 そのために相当なエネルギーがいります。
 何らかの原因で自分が傷つき、さらに自分を責めたりするようになれば、関係を調節していくのに必要なエネルギーが、どんどん失われていきます。
2 悩みのパターンに陥らないためには、どうすればよいか
 まず「悩んだときに、自分の悪いところばかりを責めてもいいことはない、ということを知る」ことが大事と思うのです。
 悩み始めると、自分に悪いところがなかったか反省したくなります。しかし「反省しても元気はでない」ものです。エネルギーが失われていきます。
 まじめな人ほど、そのパターンに確実にはまってしまいます。
 エネルギーをなくせばなくすほど、問題への対処能力は下がっていき、ますます解決困難になっていきます。
 問題を解決するためにも、まず一番に考えるべきは「自分が元気でいること」なのです。
 自分を落ち込ませないよう「自分を守るための努力」がとても大事なことだと思うのです。
 私がよくするアドバイスは、
1 信頼できる人に話を聞いてもらい、グチる。
 話をしっかり聞いて、共感してくれる人を持ち、その人に頼ることが必要です。
 弱い自分をそのまま認めてもらえる安心感は、何ものにも代えがたいものでしょう。
2 自分の楽しみごとを大事にし、気分転換を図る
 深刻な悩みごとがあると楽しみごとはおあずけという感じになりがちです。そうすると、ますます閉塞感が高まります。
 問題を解決するときに必要なのは「心の余裕」です。
 大変なときにも、少しでも自分の好きなことをやっていくようにしたい。
3 目標を下げる(再設定する)
 このくらいできるはずだと思っていても、叶いそうになかったら、その時の状況で適切に再設定してやっていかなければならない。それがプロの力量だと思うのです。
4 先のことより、今日の1日を考える
 悩んでいるときは「もっと悪くなりそう」と、悪い予想ばかりが立って、心配になり、どんどん疲れてしまいます。
 それより「先のことを考えてもしょうがない」と、あきらめるのが一つの極意と言えるでしょう。
 そして「今日が終われば、それでよし」と、毎日を終わらせるだけを目標にするというのが、私の最大のアドバイスです。
「これだけ大変な1日が終わった。ほんとよくやったよ」と、自分をほめるのです。
 いつも、その日、1日を終えることを目標にしていると、不思議と目標も低くおさえられ、しかも毎日の頑張りも見えてきたりします。
 私がもっとも活用し、実際に救われている考え方かもしれません。
(中 一夫:1960年鳥取生まれ、東京都公立中学校教師。仮説実験授業研究会会員)

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子どもがいやになり、子どもの言うことを聴くのが苦痛に感じます、どうすればよいのでしょうか

 教師は子どもを相手にする仕事であるため、とてもエネルギーが必要です。
 いろいろな行事や校務分掌の仕事が重なると、さらに大変です。おまけに、保護者との対応などにも精神的なエネルギーをとられてしまいます。
 ですから、教師であるためには、なによりも余裕が必要です。
 教師は自分に余裕(エネルギー)のない時は、子どもたちのペースに合わせられず、授業がうまくいかなくなり、イライラして、ついきつい口調になったり、全体を見通したり、見渡す力が弱くなるために学級がバラバラになったりします。
 余裕のない状態が続くと悪循環におちいってしまい、エネルギーを浪費して消耗しきってしまいます。
 いったんそうなると、以前は子どもたちのことが大好きだったのに、教室に行くことさえ苦痛に感じるようになったりします。
 そのことで、保護者から疑問の声が出てくるようになると、ますます追い込まれたように感じて自分を責めたり、子どもや保護者たちを責める気持ちが生じてきます。
 常に疲れやすく、イライラしやすいわけですが、その根底には憂うつな気分があります。
 自分のことで精一杯になっていて、何事もうわの空で集中できなくなっています。
 もともとイライラしやすいタイプの人にもよくありますが、真面目で不器用な、少し融通性に欠ける性格の人にも生じやすい状態です。
 一人で問題を抱かえこんでしまい、周囲の同僚教師がアドバイスしにくい雰囲気になっていることもあります。
 こうした状態が長く続く場合には、精神的な疲労による「抑うつ状態」が疑われます。
 こういう時は、自分自身へのエネルギー補給が必要です。
 問題解決に努めるために、管理職や同僚教師、家族に相談することは大切です。
 話を聴いてもらうだけでも、疲れた心が癒されることでしょう。
 懸命になればなるほど、悪循環におちいりやすく疲れをためてしまうこともあるので、時には仕事と距離をおくことをお勧めします。
 一人で静かに過ごしたり、学校とは全く関係のない人たちと趣味を楽しむことが有効です。
 いつもと違った新鮮な気持ちになり、ゆとりを取り戻すことができるかもしれません。
 そして、子どもたちの笑顔を見たり、成長に気づくことでエネルギーをもらえることが目標と考えてみましょう。
(
中島一憲:19562007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)

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