カテゴリー「教師の心の安定」の記事

学校を異動して1~2年内にダウンする教師が非常に多い、どうすればよいか

 他の学校に異動して1~2年内にダウンする教師が非常に多いです。
 学校や地域によって、やり方もさまざまなので、異動すればその学校や地域の環境に順応していくだけでも大変です。
 異動すると職員室で、なにげない日常会話のできる関係を失っています。意外とこれはこたえるものです。
 中堅以上の教師は「これぐらいはできないと」「期待されているんだから」というプレッシャーや「周りをみたら、自分が動くしかない」というプライドが加わることも多く、弱音を吐くどころではありません。
 4050歳代で赴任すると、いきなり主任として、学年を組まれることが多い。誰にグチを言ったらいいのかわからないままに、仕事をこなしていかなければなりません。
 例として、他の学校に異動してダウンしたA教師をとりあげてみます。
 A教師は、授業もすばらしく、人柄も明るい、素敵な教師です。
 担任したクラスで、子どものケンカが起こり、保護者対応に苦慮したが、異動して間もなくであり、学年の教師に相談するも、40歳代の「できる」教師が来たと過信され、具体的に助けてもらえなかった。
 同僚に関わってもらえなかったことで、孤独感、孤立感でいっぱいになった。
 保護者同士がもめて「担任を変えろ!」などとののしられたとき、管理職は本人ならやれると、かばってもらえなかった。
 管理職も同僚教師もA教師に配慮が足らずに見過ごしてしまった。
 年齢を重ねてからの転勤は、新しい環境に慣れるのに、これまで以上の疲労をともなう。
 A教師はうつ病で療養した。薬物治療とともに、カウンセリングを併用し、気持ちの整理ができたので、子どもたちが卒業するのを待って復帰した。
 元気になり始めたころ、管理職はていねいに話を聞いた。そこから学校復帰トレーニングへとつながった。また、家族の支えが得られていた。
 異動したとき、ダウンしないようにするには、どうすればよいのでしょうか
(1)
異動1年目は、それだけで変化が大きいので、今までやってきた以上の仕事を引き受けないようにする。
(2)
質のよい睡眠をとるようにする。
(3)
異動直後の教師には、同僚はつとめて声をかけてあげるようにする。
(4)
同僚教師の支え、管理職のねぎらいは必須である。
(
井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター主任心理療法士。学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援している)

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子どもにヤジられ、自信をなくした教師はその後どのようになったか、ストレスに悩む教師はどうすればよいか

 教師になって五年の小学校の女性教師だが、子どもに対して、赤面・視線恐怖を生じていた。授業でも、目のやり場に困る。顔が赤面し言葉が上ずってきるのがよくわかる。
 教師に向かないと思って、親に相談していたが「そのうち馴れるから」となだめられて、イヤイヤ授業を続けていた。子どもたちが騒ぐので叱ったところ、逆に子どもたちにヤジられて、すっかり自信をなくしてしまった。
 彼女は体調が悪いといって、学校を休みだした。一度休みはじめると、ますます自信を喪失し、出勤する気が起きなくなった。彼女は教師を辞めようとかと思ったが、一度、対人恐怖に効果的だと聞いていた森田療法を受けてみたいと思って来院した。
 森田療法の治療は「気分はあるがままに受け入れ、やるべきことを目的本位・行動本位にやる」ことである。彼女は、三カ月間の入院治療によって完全によくなって退院した。
 対人恐怖は、人嫌いではない。むしろ人好きである。人とよい関係を持ちたいと熱望している。人を恐れるのではなく、対人関係を恐れている。自分の視線が相手を傷つけたりして不快感を与えはしまいかと恐れている。
 よく思われたいと思う人の前に出ると緊張して、対人恐怖を起こすのである。彼女は「よい授業をしたい。子どもたちから、よい教師と認められたい」という願望が強すぎたためと思われる。
 逃げれば逃げるほど、症状は追いかけてくる。症状は自分の力ではどうにもコントロールできないものである。「赤面するな」「視線を気にするな」といくら自分に言って聞かせても、その通りにはならない。気分は「あるがまま」に受け入れることである。
 気分はともかくとして、行動は正常に保つことはできる。「できない」のではなく「しない」のである。赤面をしながら授業を続けることである。
 赤面して何が悪いのだろう。むしろ純情さの現われではないか。視線のやり場に困るというが、子どもを指すときはその子の顔を見ればいい。視線をそらしていれば、周囲から変な目で見られることになる。
 人の心の中は、わからない。しかし、その人が何をするかは、よくわかる。心をいじらないで、健康人らしく振る舞うことである。
 神経症はだれにでも起こってくるのだが、起こりやすい性格がある。それは神経質傾向の持ち主である。神経質な傾向とは、小心・取り越し苦労、勤勉、強い自己内省心、強い向上欲を持った性格である。
 この性格を前向きに発揮すれば、よい仕事もできる。つまり、周囲からもよい評価を受ける。
 ところが、何かのきっかけで、それまで外に向いていた精神的エネルギーが、向きを変えて自分の心身の変化をもたらすのである。
 人によって刺激をひどいストレスと感じる人もいれば、同じ刺激でもたいしてストレスに感じず、平然と受けとめている人もいる。
 強いストレスを受けて起こす反応は、人によってさまざまである。病的なまでに深刻になると、精神科的な診断がつく。ストレスがその人の価値観や存在意義をおびやかすものであれば、深刻である。
 
「私の責任だ。何とかして早急に解決しなければ」と思うと、居ても立ってもいられない。 しかし「こんなことは、よくあることだ。教師だけの責任じゃない。そのうちどうにかなるだろう」と放置しようと決めてかかると、大したストレスにはならない。
 問題を一人で抱かえ込むか、多くの人たちの協力を得るかによっても、ストレスを感じる程度が異なる。多くの人が協力してくれるとなると、気が楽だし、一人で考えるよりもよい結果が期待できる。
 ストレスはどこかで解消する必要がある。仕事以外に趣味を持つことも大切である。趣味は、時間と金を浪費することになる。しかし、リラックスするためには必要な潤滑油である。
 一般に職場で受けたストレスは、家庭で解消するのが普通である。家庭は憩いの場であるべきである。しかし、ストレスに悩む教師は、家庭がストレス発生の場であることが少なくない。
 平素から、家庭内の人間関係を中心に、家庭の平和を保つことに努力すべきである。独身の教師は、家庭がなければ、友人や学校の子どもたちとの交流を通してストレスの発散を心がけるべきである。
(
大原健士郎:1930年‐2010年、精神科医。浜松医科大学名誉教授。専門は自殺研究、森田療法など)

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健康診断では異常ないのに疲れやすいとき、どうすればよいのでしょうか

 疲労感や倦怠感は、過労、身体的不調、精神的ストレスなどとの関連が強い自覚症状です。不安や緊張が強い時にも感じます。
 倦怠感や疲労感がなかなかとれない場合は、まず体の病気を考慮しなければなりません。一般的には、身体疾患では疲労感が仕事の後、午後から夕方にかけて強くなりますが、うつ病などの精神疾患では朝からのだるさを訴えることが多くみられます。
 うつ病のような明らかなこころの病気でなく、体の症状に現われやすいストレス病の場合も疲労感はみられやすいものです。
 性格的に疲労を感じやすく職場になじめず休みがちになってしまう場合が多く、性格要因と職場の環境要因が大きい問題といえそうです。
 精神的ストレスによる疲労では、ストレス状態への「気づき」を図り、その上で気分転換することがもっとも大切です。ふだんから自分なりの気分転換、リラックスの手段をもつことをお勧めします。
1 ストレスを回避する
 ストレスを解消するために正面からぶつかることは、大きなエネギーと苦痛を伴います。むしろ、ストレスを予測して、回避する方が楽です。そのポイントは
(1)
予測する
 ストレスになりやすい場面や状況を予測し、そうならないように対処法を前もって考えておくことが大切です。無用なストレス状況に巻き込まれないためには必要なことなのです。
(2)
自分のクセを知る
 自分の苦手な場面はどういう場面なのかを知っておくことも大切です。ストレスとしないためには、現実的な状況判断と自分なりの目標をもつようにします。
 ストレスをためやすい自分のクセを知り、それを修正するような努力も大切です。ロールプレイングや自己主張訓練等の研修に参加し、対人関係の練習や上手な自己主張の方法などを学ぶことにより、ストレスに対処する力を身につけたい。
(3)
相手のクセを知る
 人には、攻撃的な人など、いろいろなクセがあります。相手がどういう人か特徴やクセを知っていると、無用なストレスを背負うことも減るでしょう。
 子どもとの関わりでは、その子がどういう気性で、どういう行動をとりやすいかを知っていること。
 ともかく、自分の思いだけで事を進めようとすると、とかくトラブルのものになるものです。こじれてから不満をいうのではなく、事前に対処することがストレス回避には重要なことです。
2 ストレス解消
 ストレスを回避できればそれにこしたことはないのですが、やむなく巻きこまれる場合も多々あります。解消する方法は
(1)
休養する
 ストレスをためこみ、気分が落ち込んだ場合は、まずは休養をとることが有効です。
 休息や睡眠をとる、仕事量の軽減などの身体的な休養と、くよくよ考えない、発想の転換をするなどの精神的な休養とがあります。
 たとえば、今必要でないことは後回しにする。おいしいものを食べ、いつもより早く寝る。休日は仕事のことを忘れ。ゆったり過ごす、マッサージなどで体を癒す。
 ただし、几帳面でまじめなタイプの人はむずかしいことかもしれません。そうした考え方を思いきって変えてみるようにしなければ、事態を一層深刻にしてしまうことがあります。
(2)
発散する
 休養だけではストレスが解消しないことがあります。そういう時は、体を動かすストレッチのようなものなら取り組みやすいかもしれません。
 もう少し元気があれば、水泳やジョグングなど動きのあるものが体を通してストレスを発散させてくれます。
 おしゃべりやグチを聴いてもらうだけでずいぶん楽になるものです。カラオケやアルコールを飲むことも気分を明るくさせてくれ、よい発散になります。
(3)
吸収する
 健康を保つエネルギーが体に貯まっていないと、今ひとつ元気が出ないことがあります。そういう場合、エネルギーを得るには、食べること、寝ること、体を動かすなどをして体内のエネルギーを賦活させます。
 スポーツや旅行、音楽、絵画、本など好きなものならば、楽しさや充実感や刺激を得ることができます。自分の得意な分野に挑戦して自信を得ることも大切です。
(
中島一憲:19562007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)

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教師はストレスがたまりやすい、簡単なストレス解消法にはどのようなものがあるでしょうか

 教師はストレスのたまりやすい仕事です。こまめに解消して、心の健康を保つ工夫がきわめて重要だと思います。
 では、教師におすすめのストレス解消法には、どのようなものがあるのでしょうか。
 休日に一気にストレスを解消しようとするのではなく、できれば休み時間の一部などを使って「ストレスを小出しに解消すること」が、長く教師生活を続けていくための秘訣と言えます。
 すぐにできるストレス解消法を紹介します。
(1)
同僚や友人にグチをこぼす
 ストレス解消に最も効果のある方法です。できれば、同じような悩みを抱かえている同僚とグチをこぼし合いましょう。
 悩みを話せる同僚がいなければ、家族や学生時代の友人など、気心の知れた人に話を聴いてもらうのもいいでしょう。日頃から「弱音を吐ける相手」がいることは、とても大切なことです。
(2)
一人カラオケ
 ストレス解消には、大声で叫ぶことが大変効果的です。そこでおすすめなのが「一人カラオケ」です。
 学校の帰りにカラオケボックスによって、30分程度、思う存分一人で歌うのです。他人の目を気にする必要がなくて、かなり気分転換を図ることができます。
(3)
服装を変える
 いつもと違う服を着るだけで、気持ちが引き締まったり、リラックスしたり、気分を変えることができます。
 
「気分が落ち込んでいるな」と感じたら、たとえば黄色など、意識的に明るい色の服を着ることで、エネルギーがわきやすくなります。
 また、週に1~2回、ふだんはあまり身につけないタイプの服を着てみると、動作や振る舞いも変わります。いつもと違った気分で授業に臨むことができるでしょう。
(4)
アロマスティクを持ち歩く
 アロマもストレス解消に効果があります。おすすめしたいのが、いつも鞄やポケットの中にアロマスティクを携帯しておくことです。
 ちょっとした時間に、香りを嗅いでリフレッシュすることが可能です。また、その時の気分によって、香りを変えてみるのもいいでしょう。
(5)
声を出しながら紙を破る
 新聞紙や広告紙など、不要な紙をちぎっていくのも、なかなか効果的です。その際「ワー!」と大声を出しながら、ちぎっていくとより効果的です。
 実際に声をあげながら紙をちぎると、気持ちがスッと楽になります。嫌なことを紙にすべて書き出して、細かくちぎって捨ててしまうのも効果的です。
 
「紙をちぎる」のは、子どもたちのストレス解消にも役立ちます。別室や保健室で子どもたちといっしょにやるのもいいですよ。
(6)
クッションやぬいぐるみにパンチ!
 教師は子どもから暴言を吐かれても、立場上、対抗することができません。これは大変なストレスだと思います。
 自分の中に蓄積された怒りを発散するには、いらなくなったクッションやぬいぐるみなどに怒りをぶつけるのも一つの方法です。
(7)
ダメな自分を「心の虫」に置き換える
 たとえば、教材研究をしたくなかったりすると「自分はダメな教師だな」と自責の念にかられることがあります。
 こんな時、自分の心に「なまけ虫」がついたせいだと考えてみるのです。「自分」と「問題」を切り離すことで、自分を否定することなく、目の前の問題とつきあっていくことができるようになります。
 気分が乗らない時は「あー、また、なまけ虫がとりついた」と思い「この虫と、どうしたらうまくつきあえるのか」を考えるのです。
(8)
息抜きや休息のノルマ化
 教師の仕事はどこかで「区切り」をつけなければ際限がありません。とくに責任感の強いまじめな教師ほど、自分自身に高いノルマを課しがちです。
 そのようなまじめさを利用して「息抜きのノルマ」をしてみてはいかがでしょうか。
 例えば、週に一回はDVDを借りて観る。月に一度は温泉や行楽地へドライブに出かける。年に一回は海外旅行をするなど、週・月・年・生涯単位で、息抜きのスケジュールを立てて、ノルマにしていくのです。
 息抜きも仕事、楽しむのも仕事と考え、ふだんの仕事で張りつめた意識をじっくりもみほぐしてあげましょう。
 
「休む」のを「仕事」にすることで、初めて安心して「休むことができる」。これが多くのまじめな教師の特徴です。
 
 どうぞ「ご自分にとってベストなストレスの解消法」を見つけてください。
(諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、明治大学教授,専門はカウンセリング心理学、心理療法、臨床心理学。現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

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最近、学級が騒がしく授業がうまくいかないし子どもがいやになった、どうすればよいでしょうか

 最近、教師として、つぎのようなことはありませんか。
 学級が騒がしく授業がうまくいかない。保護者からの問い合わせや批判が多くなった。いつもは許せる子どもたちのいたずらも冗談として受けとれない。子どもの言うことを聴くのが苦痛に感じられて、つい怒ってしまう。
 教師は子どもを相手にする仕事であるため、エネルギーをとても必要とします。授業で、子どもたちをうまく乗せていくのに、相当エネルギーを消費します。いろいろな学校行事や校務分掌が重なるとさらに大変です。
 問題を抱かえている子どもを受けもつと、子どもや保護者との対応などにも、かなりの時間や精神的なエネルギーをとられてしまいます。
 ですから、教師であるためには、なによりも余裕が必要です。自分に余裕のない時は、子どもたちのペースに合わせられなくなります。
 授業がうまくいかなくなり、イライラしてついきつい口調になったり、全体を見通せる力が弱くなるために、学級がバラバラになったりします。
 ふだんは、子どもたちの活力を子どもたちから受けとっていることが多いのですが、余裕のない状態が続くと悪循環におちいってしまい、エネルギーを浪費して消耗しきってしまいます。
 いったんそうなると、以前は子どもたちのことが大好きだったのに教室に行くことさえ苦痛を感じるようになったりします。保護者から苦情の声が出てくると、ますます追い込まれたように感じます。自分のことで精一杯になって、何ごとも集中できなくなっています。
 もともとイライラしやすいタイプの人にもよくありますが、真面目で不器用な、少し融通性に欠ける人にも生じやすい状態です。もちろん自分の身辺に何か気にかかることがある場合も同じような状態になります。
 一人で問題を抱えこんでしまい、周囲の同僚がアドバイスしにくい雰囲気になっていることも少なくありません。
 こうした状態が長く続く場合には、精神的疲労による「抑うつ状態」が疑われます。こういう時は、自分自身へのエネルギー補給が必要です。
 問題解決に努めるために管理職や同僚、あるいは家族に相談してみることは大切なことです。話を聴いてもらうだけでも、疲れたこころが癒されることでしょう。
 しかし、問題解決に懸命になればなるほど、悪循環におちいりやすく、疲れをためてしまうこともあるので、時には仕事と距離をおくことをお勧めします。
 一人で静かに過ごしたり、職場とは全く関係のない人間関係のなかで趣味を楽しむ時間をもつことが有効です。また、休暇を利用して旅行に出かけるのもよいでしょう。
 いつもと違った新鮮な気持ちになり、ゆとりを取り戻すことができるかもしれません。
 そして、「子どもたちの笑顔を見たり、子どもたちの成長に気づく」ことで、エネルギーがもらえることを、教師としての目標とすることも、よいのではないでしょうか。
(
中島一憲:19562007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)

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ストレスを受けやすい教師の性格とは、どうすれば心の健康を保つことができるか

 教師の心の健康が深刻な度合いを強めているなかで、最も多いのが燃え尽き症候群(バーンアウト)である。
 バーンアウトは、教師などの対人援助の職業に特有のストレスをさし、長期間にわたり人を援助する過程で、解決困難な課題に常にさらされた結果、極度の心身の疲労と情緒のこかつをきたし、自己卑下、仕事嫌悪などを伴う状態です。
 対人専門職業のなかでも、教師は集団への持続的な対応を迫られ困難度が高いと思われます。学級全体の対応と一人ひとりの子どもの対応が迫られる難しさがあるからです。
 絶えず、個人と集団のバランスを取りながら、子どもの変化や保護者の要求を敏感にキャッチすることが求められます。
 また、担任と子ども、保護者の関係は一年間継続されます。お互いに相手を変えることができないため、人間関係がこじれると身動きがとれなくなってしまいます。
 サービス化社会の進展により、保護者からの過大な要求が増え、教師が自信を失って委縮したり、強い心労から心身の不調をきたしたりする教師も急増しています。
 さらに、教職の特徴として
(1)
教育の責任や評価が、子どもおよび保護者から絶えず直接的に返ってきます。
(2)
教える相手が変われば、同じ技術や態度で対応しても同じ成果が得られるとは限らない
 他校へ異動し、環境変化からバーンアウトに陥るケースが少なくないことがそれを物語っています。文部科学省の調査(2015)においても、精神疾患による休職者のうち、異動後二年未満で休職になったものが48%にものぼっています。
(3)
仕事が日常生活まで入り込みやすい
 教師の仕事は、ここまでやれば完成というゴールが見えないために、仕事が職場外の日常生活まで入り込みやすい。
 文部科学省の調査(2006)では、一か月あたりの残業時間と持ち帰り時間の合計が、中学校教師で74時間、全日本教職員組合の調査では114時間という数字が示されています。
 いずれにしても、厚生労働省が「時間外労働時間が100時間を越えたら過労死ライン」と言っていることを考えると、極めて深刻な事態ととらえることができます。したがって、多くの教師がストレスのるつぼのなかに置かれているといっても過言ではありません。
 家に帰っても、気になる子どものことが頭から離れなくなったり、突然、保護者から苦情の電話がかかってきたりして、素の自分に返ってほっとする時間がもてなくなってしまうこともあります。
バーンアウトに陥りやすい教師の性格として
(1)
ひたむきで、多くの仕事を熱心に達成しようとし、できないと悩む。
(2)
妥協や中途半端を嫌う、完ぺき主義的傾向が強い。
(3)
理想主義的情熱に駆り立てられる。
という、真面目な特徴があげられます。
 バーンアウトに陥らないためにも、「心の柔らかさ」をたもつために、つぎのような心構えが大切であると思われます。
(1)
物事を楽しめる、しなやかな心をもつこと。
(2)
いろいろなタイプの教師仲間の存在を相互に認め、尊重すること。
(3)
人を支え、人に支えられることを、いとわないおおらかさをもつこと。
 悩みを抱かえたときに、弱音を吐いたり、相談することは恥ずかしいことではない。
 また、違う個性の教師が助け合わなければ一人では何もできないことを教師同士が認め合うことが、職場の同僚性を高め、教師のメンタルヘルスの向上にもつながっていくのではないかと思われます。
(
新井 肇:1951年生まれ、埼玉県公立高校教師を経て、兵庫教育大学教授。カウンセリング心理学を基盤とした生徒指導実践の理論化、教師のストレスとメンタルサポート等を研究)

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心の悩みや苦しみをなくすには、どのようにすればよいのでしょうか

 実に多くの人々が苦しんでいます。生きがいが見出せないと悩んでいます。何をしても楽しくないと思っています。どうすればよいのでしょうか。
 心に苦しみを抱かえていては、地位も、財産も名声も意味を持ちません。「一番大事なのは心であり、心が苦しまない」ことほど大事なことはないのです。
 これこそ釈尊が一生をかけて伝えようとしたことなのです。私は心を楽にする方法として、禅の考え方が非常に大事だと思うようになりました。
 禅とは、私たちが「本来の心」に気づく方法です。人間の心は不思議なものです。心を覆う暗雲に気づくだけで、サーッと晴れ、ものすごく楽になれるのです。
 私たちを苦しめる最大の悩みは「過去を思い出す」ことです。失敗、つらい体験、受けた侮辱などを思い出し、人を憎み自分を責めます。
 恨みを晴らそうとしても何も得るところはないのです。その結果「自分はだめだ」と自己否定の気持ちがつのってきます。
 釈尊の「諸行無常」(すべてのものは一瞬として同じ状態になく、別の状態に変化する)の考え方が、この苦しみから私たちを救います。
 
「過去」の私や他人と「今」の私や他人は「別人で関係ない」ことがわかります。今のこの瞬間にしか存在しないということです。
 釈尊は、私たちが苦しむのは、不必要なことを考え、思い出すからだと言っています。考えても意味がないことは考えない、それが最も大事だというのです。
 過去を考えなければ地獄は生じません。心を気楽に保つためには「過去を思い出さない」のひとことに尽きるのです。
 将来は「思わず」が非常に大切です。考えることで将来への不安が生まれ、心配が強められるからです。将来への不安は、他人との比較が原因である場合が多いので「比べず」が重要なのだとわかってきます。
 何にもならない心配をして心を労するのは、ばかげています。そんな心配をしないよう、私は「思わず、思い出さず、比べず」と、毎朝、自分に言い聞かせています。
 思いだしても考え続けないことが、心を楽にする最も大事なことだと、私は思うようになりました。そこで、何かが思い出されたときは「五秒待てば必ず消える」を実践するようにしています。
 五秒の間は、思い出したことに取り合わないのです。すると、本当に嫌な思いが消えるのです。「五秒、妄想に手をつけないようにしよう」というのが、今の私の生き方です。
 釈尊は、私たちは無限の能力のある仏と同じ心を持っていると悟りました。能力を発揮できないのは、妄想、煩悩、欲望の雲が心を覆っているからです。この雲をできるだけ少なくするのが禅の修行です。
 
「禅は考えない修業だ」と言った人がいますが、まさにそうです。心を苦しめるさまざまな思いに満たされています。それを「考えない」「思いださない」のが禅の修行です。
 道元禅師は、座禅すると「宝蔵自開」するといいました。私たちの持っている無限の能力の蔵がおのずから開かれ、力を使うことができるというのです。何とすばらしいことではないでしょうか。
 私は毎朝、座禅しています。「心を正したい」「心を乱すことを考えない」ためです。
 私たちが「考えまい」「思い出すまい」とするのを邪魔するものがあります。いうまでもなく人間関係です。
 人間関係で大切な、他人への対し方は、他人の自分への対し方と合わせ鏡であるということです。
 人間は、自分を嫌う人を必ず嫌います。不思議なくらいそうなのです。ですから、人に好かれようと思ったら、こちらが好きになる以外にないのです。
 相手に親切にし、やさしくします。相手が反応しなくても、やめてしまってはいけないのです。こちらが思うように相手は変わらないからです。続けることです。続けているうちに相手の心は必ず開けます。
 あせるのはいけません。「なるようにしかならない」「時節がくればわかってくれる」と気楽に構えて努力すればいいのです。やがて事情が変わったり、理解してくれたりして、関係はよくなるでしょう。
 人間はどんなよい意見でも嫌いな人の言うことは信じません。つまり自分を信じてもらうには、まず好かれることが大切で、好かれるにはお世辞も大事だということです。
 人をほめることは非常に大事なのです。欠点は取り上げず、よいところだけほめると、人間関係をよくします。人は欠点を批判されると非常に傷つき耐えることはできません。
 私たちは意識せずとも、人の笑顔を見ると自分の顔もやさしくほころび笑顔になるのです。人は楽しい思いをしたいのです。明るい笑いがあることを望んでいるのです。
 ぜひ他人に笑顔で接しましょう。あなたが笑いかければ、それを見た相手は必ず楽しくなり、笑みを返すのです。
 私は、自分が欠点だらけだと思っていた頃は、自分自身が嫌いでした。同時に自分を批判しそうな人を嫌いました。その当時は、多くの人間関係がうまくいかなかったものです。
 ところが自分を好きになるように努力すると、他人の批判にもそれほど過敏でなくなり、嫌うことも少なくなって、人間関係が万事うまくいくようになったのです。
(
高田明和:1935年静岡県生れ、ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を経て浜松医科大学名誉教授。専門は大脳生理学、血液生理学。医学博士。テレビやラジオ、全国での講演を通じて、心の健康に関する幅広い啓蒙活動に勤しむ)

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まじめで誠実な教師の心が壊れていく時代になった

 私どもの学校教職員の専門病院メンタルヘルスケア・センターでは、初診にこられた場合、主につぎの三点についてお話を聞かせてもらいます。
(1)
この方が精神性疾患のレベルに達しているのか。また、症状レベルでどんなものをもっているのか。悩みのレベルなのか、それとも、もう病気に入っているのかを診ます。
(2)
環境要因はどうなのかについて聞きます。学校でのストレスが決定打になっているのか、もしくは家族のことが決定打になっているのか、どちらがどのぐらいか、ということを診ます。
(3)
さりげなく性格的な偏りはどのぐらいかを診ます。これは悪いという面ばかりではありません。先生というのは、まじめ、誠実、がんばりすぎる、几帳面であるというよい面をもっています。
 それが行きすぎるという場合があるので、それがどの程度なのか、もしくは性格に著しい偏りがあって周りを大変な目に遭わせていないか、というようなことを話の中でさりげなく見立てていきます。
 
患者さんは一つの要因で倒れるというのはレアケースのように思います。三つのうちどの要因がどれだけの割合で関係しているかを私どもが最初の段階で見立てていきます。
 それによって「薬物療法」「休業」「精神療法」のいずれかを行うのかなどを決めて、患者さんに説明をします。休みに入ることが多いように思います。
 うつ病の教師が最も多いのです。うつ病というのは、不満やぐち、怒りを外に出せないために自分のほうに矢が自分のほうに向いてしまい、自分自身を攻撃することによって生じる病気だといわれています。
 教師が、怒っていいところで怒れないという状況に追い込まれているために、自分を責めざるをえなくなって、だんだん心が痛んでくる病気だと私は考えています。
 患者さんには 「脳内の物質の代謝異常です」と説明するようにしています。この代謝を良くするために休みや薬が必要であることを伝えて、納得してもらうようにしています。
 うつ病の背景にある要因は
(1)
多忙化
 教師の「忙しさ」があると思います。教師が多忙で子どもと遊ぶ時間がないのです。私は多忙に加えて孤立感で倒れると思っています。同僚や管理職が必ずしも助けてくれる余裕があるとは限りません。皆さん自分のことで精一杯という状況があります。倒れた多くの教師は「支えられているという実感がない」と言っています。
(2)
人間関係の複雑化
 人間関係が複雑で、そのプレッシャーに耐えられないということがあると思います。子どもや保護者そして地域とあたりまえのように関わっていかなければなりません。転勤をきっかけに孤立感に悩むということが起こります。
(3)
子どもや保護者の変化
 子どもが変わった、保護者が変わったということです。保護者の権利意識が強くなり「やってもらってあたりまえ」ということで大変です。
(4)
地域のつながりの変化
 何か問題が起こると、地域で抱かえるはずの問題が、学校なら仕返されなと、ストレスのはけ口として学校に持ち込まれるということが頻繁にあります。「コンビニの前に生徒がたむろしているので何とかしてほしい」という問題にしても、それはコンビニの問題なのですが、学校に言ってきます。
(5)
環境の変化
 教師は五十代になって頻繁に職場異動をくりかえします。それが、うつの引き金になっているというケースは多いのです。せっかくできた人間関係とチームを奪われます。
 教師であるというだけで、うつになりやすい背景には「支えてくれるつながりを失う」「環境の変化」という要因があるのだと思います。
 つぎに多いのが心身症といわれるものです。「腰が痛い、肩こりがひどい、頭痛がひどい」と様々な身体の症状を訴えるのですが、検査の結果はどこも異常はありません。それでも「おかしい、でもどうしても頭が割れそうに痛い」というようなケースです。
 今は、変な教師が倒れるのではなくて、まじめで誠実だからこそ倒れるという時代になっていると思います。だからこそ、制度をきちんとつくって、しっかりと働ける人材を教育現場にお返ししたいと思います。
 ですが、管理制度ができて、先生方は何かビクビクしています。管理職も教師も謝ってばかりです。それはちょうど指導力不足教員の認定や教員評価制度がはじまった頃から起こっているように私は感じています。
(
井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター主任心理療法士。学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援している)

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教師を辞めたいと思うようにならないために、気をつけたいこととはなにか

 教師の状況は一層厳しく、深刻さを増しています。ストレスを抱かえながら懸命に頑張っている教師のメンタルヘルスが深刻な状態にあると言わざるを得ません。
 教師が辞めたいと思うのは、どのようなときでしょうか。
 一つは、子どもと保護者との人間関係によるものです。気になる子どものことが頭から離れないとか、突然、保護者から苦情の電話がかかってくる。このように教師は他者によりふりまわされ、切迫感からストレスが蓄積され、消耗感を抱きやすい。
 次に教師の仕事の曖昧性があげられます。教育のように、どこまでやればよいかということが曖昧な仕事は、教師を疲れさせます。努力が報われずに徒労感に襲われたとき、辞めたいという気持ちがおきやすい。
 子どもや保護者から教師にとって予期せぬ反応が返ってきたり、いくら実践しても周りからの評価が得られないときは、失望感にとらわれます。
 実践するときに、最悪の事態を想定し、しなやかに対応していく力を身につけることが、これからの教師には必要であると思われます。
 また、目標を決めて、それにとらわれて実践するのではなく、柔軟に受けとめ、対応することもかかせない。
 教育の価値観を明確にし、組織としてお互いに共有することで、教師は意欲と活力をもって仕事に取り組むことができるのではないでしょうか。
 教師を辞めようと思うに至る背景として、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥っていることがあります。
 人間関係に、あまり大きな期待を持たないほうがストレスを小さくすることにつながります。
 そのためには、人生はすべてのことをコントロールできるわけがない。変えられるのは自分だけで、他人を変えることはできない。すべての人の期待にこたえることはできない。常に愛され、認められたりする必要はない。時には、間違いも犯すが、それに対処することができる、といったように考えるようにするとよい。
 教師以外の職業の人たちとも交流し、趣味や遊びを通じてゆとりをもって人生を楽しむことも必要である。
 バーンアウトの予防のためには、日常的な対話を活性化して、教師を孤立させずに職場全体で支えることが大切です。
 さりげなく声をかけ、話を聴き、状況によっては一緒に対応する。そんな関係になれば、気持ちが楽になり困難なことにも向かっていくことができるようになるのではないか。
 多くの教師は、厳しい状況のなかでも、仕事にかける時間を適度にコントロールしながら、多忙な毎日を乗り切っています。
 それにもかかわらず「辞めたい」と思ってしまうのは、熱心さのあまり、行き過ぎた疲労に陥っていると考えることができます。自分の手に負えない状況であれば、一度、離れた視点から見ることも必要なのではないでしょうか。
 自分が縛られている固定的なものの見方を点検し、視点をずらすことによって周りが見えるようになったり、気持ちが楽になったりすることも少なくありません。
 熱心さは大事なことですが、にっちもさっちも行かなくなる前に、自分が置かれている状況と自分の力の限界を知って、無理をしないことが大切です。
 また、援助してもらうことに抵抗感が低い教師ほどバーンアウトしにくいといわれます。同僚教師の援助を進んで求め、自己開示や相談する姿勢が大切です。
 落ち込んだり、自信を失いがちな教師を、管理職や周囲の教師が「ねぎらう」とよい。ねぎらいは人間関係を強め、相手を元気づける効果をもっています。
 安心感があってこそ、自信回復への意欲が生まれてきます。そのような温かい雰囲気を職場にもたらすことができるかどうかが、教師が辞めるかどうかの分岐点であるように思われます。
(
新井 肇:1951年生まれ、埼玉県公立高校教師を経て、兵庫教育大学教授。カウンセリング心理学を基盤とした生徒指導実践の理論化、教師のストレスとメンタルサポート等を研究)

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教師が燃え尽きず、心の健康を保つためにはどうすればよいか

 学校現場では、子どもや保護者への対応に悩みを抱かえて苦しみ、疲労こんぱいしている教師は少なくありません。今や学校はストレスのるつぼと化しつつあります。
 教師のバーンアウトの根本にあるのが教師という仕事固有の特徴です。それには、境界のなさ(どこまでやれば完成という境界がない。仕事が日常にまで入り込みやすい)、ひと相手であること(そのため自分個人のペースで仕事ができない)、成果の不透明性など、があげられます。
 教師はもともと「教える」ことが仕事であるため、人に教えられたり、助けられたりすることが苦手であるといわれています。
 教師は自分のクラス経営の失敗を知られたくないので、問題の「抱え込み」により教師が窮地に陥ることも少なくない。                                                                                                                                                               
 まじめで誠実に仕事をこなそうとする教師がバーンアウトに陥りやすい。しかし、この性格は教師として望ましい特徴だということもできます。
 女性教師の場合、家庭と仕事の両立が相当に大きな悩みとなり、それが心身の疲れの原因になっているケースが多いようです。
 子どもが変化し、教師が予測しない反応を返す子どもたちに戸惑い、教師としての自信をなくす人も後をたちません。
 そして、保護者の価値観も変わりつつあります。「学校で集団生活をしていくには、ときには、個人の自由な言動を我慢しなくてはならないこともある」という認識をもたない保護者が増えたために、保護者との対応は教師の疲れを倍増させます。理不尽な要求を出してくる保護者の対応に頭を抱える教師の疲れは相当なものです。
 一方、教師同士の協力体制が弱体化しています。社会全体に人間関係が希薄化し、表面的なつきあいが主流になっている。それに加え、教師の評価制度が導入されたこともあり、同僚や管理職に自分のクラスの問題や弱音を吐くこともできず、一人で悶々と悩む教師が増えています。
 さらに、学校外からのプレッシャーも大きいのです。学校で何かが起きると、すぐに学校や教師がマスコミの批判をあびます。本来、家庭の責任とされてきた、しつけの問題までもが、学校の教育不足のように攻撃されることもあります。
 保護者の学歴も上がり、教師への注文も高度なものになり、教師が尊敬される時代は、もはや過去のものとなってしまいました。
 以上のような要因が背景となり、教師のバーンアウトの素地がつくられているのです。一見、ささいなできごとや言葉で燃え尽きるのは、そこに至るプロセスは根深いものであるといえるでしょう。
 学校が荒れ学校内に余裕がないと、教師間のあつれきが生じ、その冷たい空気が、子どもたちの中にも浸透し、それが学校の荒れに拍車をかけるという悪循環をもたらします。管理職が上手に介入することで教師間の和が回復されることもあるでしょう。
 また、スクールカウンセラーが客観的で中立的な立場から、子どものケアと教師のケア双方に対応できれば、もつれた糸もずいぶんと、ほどけやすくなるかもしれません。
 学校の荒れと教師の疲れとの悪循環の鎖をどこかで断ち切るには、第三者の立場からの思い切った介入が必要となることも少なくないのです。
 教師の中には「助けを求めるのが苦手な人」「一人でがんばる人」が多いようです。「教師は強く正しい人間でないといけない」だから弱音を吐いてはいけないといった誤った信念が、教師自身を苦しめているのです。
 そんな思いで、問題を抱かえ込む姿勢が、解決をますます遅らせることにもなりかねません。学校も教師も、困ったときには素直に助けを求める勇気を持つべきだと思います。
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伊藤 美奈子:1960年大阪府生まれ、東大谷高校教師、お茶の水女子大学助教授、慶應義塾大学教授を経て奈良女子大学教授。スクールカウンセラーの経験あり、2013年から東京大志学園大阪校でスペシャルアドバイザーカウンセラー。心理学者)

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