カテゴリー「教師の話しかた」の記事

子どもの心に届く、教師の話し方のポイントとは?

 教師と子どもたちとの距離が近すぎ、休み時間の延長のような感覚で授業が進められると、教師に友だち言葉で「書いたよ」「次、なにするの」「やりたくない」と勝手な発言が飛び交うようになります。
 また、教師の話し方が、一本調子、早口、指導メモを見るために下向きながら話すなどがみられることがあります。
 では、どのような話し方が子どもをひきつけるのでしょうか。
1 子どもの目を見ながらゆっくりと話をする
 教室は公共の場です。教師と子どもが距離を保って、丁寧な言葉で出会うところです。
「そうですね」「考えましょう」「ノートに書きましょう」と、教師が丁寧な言葉で授業を進めていくことで、教師と子どもたちとの間に適切な距離が生まれます。
 望ましい話し方をする子どもをモデルにしながら、授業に適した言葉を広げていくようにします。
 子どもをひきつける話し方をするために、子どもの目を見ながら、ゆっくりと話すことを意識しましょう。
 特に小学校低学年の子どもたちに話すときには、伝わっているかを確認しながら話すようにします。
 視線で子どもたちをしっかりととらえていくようにします。
 教師が抑揚をつけて、会話調で「ドンドン進んでやろう」「わくわく、ドキドキ楽しくやろう」など、擬態語、擬音語を入れながら話すと、より効果的に話を伝えることができます。
 ほめるときには、その場面がイメージできるように話します。また、名前を最後に言うことで、その子どもへの注目がより高まる、なぞなぞ方式がより効果的です。
 一番大切なことは、教師自身が「このことを伝えたい・教えたい」という強い情熱をもつことです。その情熱が子どもたちをひきつけます。
 たとえば、授業で「いよいよ、1より小さい数に入ります」「今まで知らなかったことに今日は挑戦していきます」と、ワクワクしながら新しい学習に入っていきます。
 話し方の苦手な教師は、絵本の読み聞かせをすることで、抑揚のつけ方や、間の取り方を訓練していきましょう。
2 「〇〇しなさい」と指示する言葉ではなく、誘い込む言葉を使う
 教師が毎日、毎時間「〇〇しなさい」と指示し続けると、子どもたちは受け身になっていきます。自分から行動する力が奪われていきます。
「〇〇しなさい」という言葉を使わず、子どもたちが自分で考え、判断し、行動できるようにすることが優れた教師の指導です。
 指導とは誘い込むことで、強制することではありません。
「〇〇しましょう」「〇〇してください」と丁寧に話しかけるようにしましょう。
 授業の盛り上がりや学年全体の前で話すときなどは、語尾を強めにする必要なときもありますが、できるだけ語尾を弱めて語りかけて話せるようにしていきましょう。
3 「しゃべりすぎ」に注意し、言葉を削るようにする 
「しゃべりすぎ」は教師と子どもとの関係を断ち切ってしまいます。教師の話が長くなってきたら要注意です。
 学級が荒れれば荒れるほど教師の話は長くなります。
 言葉で子どもたちを管理し、支配しようとするため、話が長くなっていきます。
 支配は、子どもたちを服従させるか、反抗を生み出すかどちらかです。 
 授業では「3:教師」対「7:子ども」で話し合いを進めていくことをめざしたいものです。
 教師の言葉を削りながら、子どもたちの話し合いを中心とする授業をつくりだしていきましょう。
(斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員) 

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トークのうまい人は、聞き手をひきつけるトークができる、そのテクニックとは?

 トークのうまい人は、聞き手をひきつけるトークができます。
 演劇の世界に大きな影響を与えたロシアの有名な演劇の演出家スタニスラフスキーが提唱した考えに次のような「3つの輪」というのがあります。
1 第一の輪(一人)
 一人の状態、独り言です。
 演劇で言えば、舞台に一人で立ってスポットライトに当たっている状態です。
 自分自身に向って話している状態です。
2 第二の輪(二人)
 舞台には二人しかいない状態です。相手に話す為の輪です。
 目の前にいる人を意識した話し方になります。
 自分の話ばかりしてしまって相手を見ていないというのは、目の前に相手がいたとしても独り言を話しているようなもので、第一の輪のシーンをやってしまっている。
 相手をもっと意識しましょう。具体的には「相手の話を聴きましょう」ということです。
 相手の話題と自分の話題を繋げていけるように意識するだけで、ただの自分語りは相手との共通の話題になっていきます。
3 第三の輪(三人以上)
 三人以上が入っています。みんなに向って話す為の輪です。
 舞台にいる役者やお客さんに向って話しかけます。
 スタニスラフスキーの「3つの輪」を意識すると、聞き手をひきつけるトークをすることができます。
 演劇界のレジェンド、スタニスラフスキー氏の提唱した「3つの輪」から私が学んだことは、「話しかける対象を意識して話しなさい」ということです。
 実は、これ、話し上手な先生なら、みんな使っている極意の一つです。
 その極意を意識することによって、誰でも話し上手にぐっと近づくことができます。
 今まで無意識だったことを意識することによって、自分の話し方が変わってきます。
 私も、この「3つの輪」というキーワードを得たことによって、場面によって、意識して言葉を使うことができるようになってきました。
 当たり外れが少なくなり、平均打率が高くなったのです。
 では、具体的に説明します。夏休み明けの2学期の全校朝会でのお話です。
「みなさん、おはようございます」(第三の輪)
「元気なみなさんと会えて、とてもうれしいです」(第三の輪)
「楽しい夏休みでしたか?」(第三の輪)
 と、最初は第三の輪で全校生に向って話しかけます。
 子どもたちの集中力が少しずつなくなってくると、トークのうまい校長は、すかさず、第二の輪に切り替えます。
「ところで、小林くん、すごく焼けているけど、夏休みプールにいっぱい行ったのかな?」(第二の輪)
 と、目の前にいた小林くんに話しかけ(第二の輪)、場の空気を変えてしまうのです。
 一瞬、話に間が空きます。
 そして、周りの視線と意識が校長と小林くんに向ったら(第二の輪)、また全体の場に向けて話し始める(第三の輪)、というようなことをするのです。
 時には、第一の輪も使います。
「校長先生の夏休みはねぇー」(第一の輪) 
 そして、また子どもたちの視線が校長に集中したら(第一の輪)、全体に向って話しかけるのです。
「みなさんも、教室に帰ったら、担任の先生に楽しかった思い出をいっぱい話してくださいね」(第三の輪)
 全校朝会で、全校生に話をするのですから、常に「第三の輪」の言葉で話をしているということになります。
 しかし、最初から最後まで「第三の輪」で話をしていると、よほどの話術がない限り、単調で平坦な流れになっていきます。
 トークのうまい校長は、時には「第一の輪」になったり、「第二の輪」になったりして話を続けます。
 実際に置かれている状況と言葉をわざとずらすというテクニックを使っています。
 これを読んでいるあなたは、これからは意識して行えるようになるはずです。
(俵原正仁:1963年生まれ、兵庫県公立小学校校長。笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる実践はマスコミにもとりあげられた)

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動かない子、傷つきやすい子を支え、動かしていくための技法にはどのようなものがあるか

 動かない子、傷つきやすい危険域にいる子どもを動かしていこうという場合、熱意さえあれば、通ずるものでもない。
 熱意が逆にあだになる場合もある。別の常識が必要なのである。どうすればよいのでしょうか。
 長年の経験から得た、そのような子を支え、動かしていくうえでの原則や基本的な技法を次に述べたい。これはまさに経験知である。
1 押しつけない
 人は、押しつけや強制されていると感じると、反発し抵抗しようとする。それは、子どもでも同じである。
 心に傷を抱かえている子どもは、それまで支配されたり、虐げられていることも多く、支配されることや強制されることに敏感である。
 子どもが一番見ているのは、相手が価値観や方法を押しつけてくる相手か、自分をありのままに受け止めてくれる相手かということだ。
 押しつけられていると感じると「なんだ、それが目的か」と、そこで心を閉ざすか反発が生じて、前に進まなくなってしまう。
 ところが、教師も親も、つい結果を急いでしまい、期待通りに動かそうとすることが、どんなに多いことか。
 まず、本人の主体性を尊重するように働きかけ、こちらの期待で動かそうとしないということを心がけることが大事だ。
 自分の主体性を尊重してくれると感じると、子どもはその人に対して安心感を持ち、やがて信頼を抱くようになる。
 人は自分を尊重してくれる人を信頼するのだ。
 まずは、いったん、子どもの気持ちを受け止めてあげることだ。
 一呼吸おいて「そう。〇〇したいの」とそのまま返してあげる。
 すると、子どもはほっとして、その内側にある事情を語り始めるだろう。それに寄り添いながら、同じ目線で、一緒に解決策を模索したらよい。
 たいがいは、何か傷つくことがあって、現実を受け入れられなくなっているだけで、目の前の不満を整理していくと、自分の中に眠っている本音が見えてくる。
 たとえば「友だちに、いやなことを言われたけど、本当は好きだし、続けたい」などといったものだ。
 押しつけでなく、自分の主体性を尊重されていると思うことで、自分の問題について、その子なりの考え、折り合いをつける糸口が見えてくる。その後の良い行動にも結びついていくのだ。
2 否定的な判断や決めつけをしない
 教師や親の言葉の使い方に重要なポイントがある。
 傷つきやすい子どもに関わる場合は、言葉の微妙なニュアンスがとても大事になる。
 一言、声を聞いただけで、視線ひとつで、この人は押しつけてくる人だと、子どもはかぎ分けてしまう。もうそれで、シャッターを下ろしてしまうだろう。
 当の教師や親は、なぜ子どもが心を閉ざしてしまったのかに、気づいていない。
 もっとも子どもがカチンとくるのは、決めつける言い方をされることだ。
「あなたは、いつもそうなのね」「どうせ、そういうことだと思った」「そんなんでいいと思っているの」
 というような言い方に、自分を否定的に決めつけられていると、強い反発を感じる。
 その一言が逆方向を向く引き金になりかねない。
3 許容語を使う
 では、どういう言い方が、受け入れられやすいのだろう。許容語を使うということだ。他の可能性を排除しない表現のことだ。たとえば
「〇〇だ」ではなく「〇〇じゃないかな」
「〇〇に決まっている」ではなく「〇〇っていう気がする」
「〇〇しろ」ではなく「〇〇してみるのは、どうかな」
「〇〇するな」ではなく「〇〇って思うんだけど、どうかな」
といった、やや控えめな表現だ。
 断定的な言い方をすると、感情的な反発が沸き、言われた内容よりも、決めつけられたことへの怒りや不快さが先にたつ。そうなると、考えや行動の変化につながらない。
 控えめに言われると、反発よりも「そうかな」「できるかな」と、自身の中に取り入れて、考える余裕が生まれる。
 あとあとも、そのことが心に残りやすいのだ。つまり、この時点で、心の抵抗を突破している。
4 オープン・クエスチョンを活用する
 決めつけない言い方で、とても重要な技法がオープン・クエスチョンである。
 たとえば「どうして」「どうやって」「どんなふうに」と言うと話がふくらんでいきやすい。
 イエスかノーで答える質問というのは、訊問でも受けているような気持ちになり、次第に心を開く気持ちをなくしてしまう。わざわざ抵抗の壁を作っているようなものである。
 オープン・クエスチョンをよく使う人は、話を聞くのが上手である。 
 オープン・クエスチョンを増やすように心がけるだけで、子どもがよく話してくれるようになり、手にはいる情報も格段に増えるだろう。
5 本人の視点を重視し、最小限の言葉で反応する
 話を聞くうえで大事な技法は、こちらができるだけしゃべらずに、本人が話す時間を多くするということだ。
 大人が口を挟むと、子どもは伝えることをあきらめてしまう。
 できるだけ余分なことを言わずに、最小限の反応で、しかも、話しやすい雰囲気にする。
 そのためには、相槌やうなずき、顔の表情で反応したり、
「へぇ-」「そうなんだ」「すごい」「本当に」
 といった、意味のない言葉で応じるのが基本だ。さらに
「それでどうなったの?」「とうして」「どうやって」
 といったオープン・クエスチョンで話を掘り下げていく。
 こちらは、ほとんど何も言っていないのだが、本人はとてもよく話をしたと感じる。本人の視点で話を展開し、本音の気持ちも、そうしたやり取りの中から語られていく。
 ところが、押しつけになってしまいやすい人は、しゃべりすぎてしまう。自分がしゃべることが、子どもと話をすることだと勘違いしている人もいる。
 しゃべりすぎるということは、子どもではなく自分の視点になっているということだ。
 それでは子どもは受け止められたとは思わないし、意図を感じて反発するだけで、何ら好ましい変化は生じない。
 特に問題が起こったときは、教師や親はできるだけだまっていて、子どもがしゃべれるように方向づけをしないと、解決の糸口が見えてこない。
(魚住絹代:1964年生まれ、大阪府教育委員会スクールソーシャルワーカー。1982年法務教官となり、以後、福岡、東京、京都の少年院に12年間勤務。非行少女の立ち直りに携わる。2000年に退官後は京都医療少年院で音楽療法の講師となるかたわら、2002年から、大阪府の公立小・中学校に、スクールサポーター、家庭教育サポーターとして勤務。子ども、家庭、教師の相談支援をしている)

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話術を習得する近道とは、話し手の根本的に大切なこととは何か

 芸でも仕事でも、一人前のことができるようになるまでは「見習い」と呼ばれます。これは、「未熟なうちは、見て習いなさい」ということです。
 あまり「教えてくれ」と言うものじゃありません。簡単に教わったことは、それだけ早く忘れます。
 それに対して、教わってもいないのに、自分で一生懸命に見て身につけようとした技術は、いつまでも覚えているものです。話術もそうだと思います。
 ですから、職業上の話術を身につけたいのであれば、まずは上手いと思う人の現場に行って、そばで邪魔にならないように見せてもらうのがいちばんでしょう。
 表面的な言葉づかいだけでなく、場の「空気」を読みながらの対応、駆け引き、相手とあうんの呼吸のようなものを見て習う。
 それをできるだけ早く、実践の中で試してみる。それが職業上の話術を習得する、いちばんの近道だと思います。
 話は聞き手があきないようにしなければなりません。
 落語もそうでしょうけど、我々は一応の台本がある話でも、お客さまの反応を見ながら変えていきます。
「かたい話が続いて、お客さまがちよっと疲れてきたな」ということがある。
 そのときには息抜きになるような話をアドリブで入れます。
 どんなに良い話をしていても、聞く人が途中で飽きてしまったり、疲れてしまったりしたら、何にもなりません。しゃべっていないのと同じことになってしまいます。
 そういう場面をいかになくしていくかということが、大事なんです。
 あえて人まえでしゃべるのは、より分かりやすく、面白く伝えるためですよね。話を上手にできるようにするには、まず、そういう意識が必要だと思います。
 話し手の自信が話を生む原動力となります。
 本当によく勉強したことというのは、自然と人に話したくなるものです。教師であれば、先生としての自信が、話を生む原動力になります。
 生徒からどんな質問をされても答えられるように、あらゆる角度からそのことを勉強しておく。見識を広げておく。
 そうすることでまた、より興味を持ってもらうための工夫、もっとわかりやすく説明するための配慮もしやすくなると思います。
 よく勉強していて、自信があるからこそ、相手に応じて話し方や話の切り口を変えられる。
「今この話をしても分かりにくくなるだけだな」と思ったら、話したい知識でも引っ込めておく。そういうことが柔軟にできるようになるといいと思います。
 自分が変われば、相手もかわります。
 人間関係の基本は、自分が変われば、相手もかわるということです。
 わかりやすい例で言えば、自分が敵対的な態度をとれば、相手も敵対的な態度で返してきますし、自分が友好的な態度をとれば、相手も友好的な態度で返してくるものです。
 高座の上でお客さま方に話すのに、気を引き締めたり、少しゆるめたり、また引き締め直したりということはします。それによって、お客さまも集中して聞こうとしたり、肩の力を抜こうとしたりするんです。
 その駆け引きは、舞台に上がる前から、もう始まっています。舞台に上がるとき、緊張した面持ちで歩いていくのか、それとも「やあ、どうも」という感じで出ていくのか。最初の言葉をどんなテンションで語り出すかも重要です。
 厳粛な雰囲気で、話しだすまでたっぷり間を取って、重々しく語り出すのか、それとも軽く明るい声で、ニコニコしながら語り出すのか。それも話術の一部です。
 何に基づいてそういう変化をつけるかといったら、一つには、どんな話をどういう風に伝えたいのかというイメージの違いでしょう。
 もう一つは、場の「空気」です。場の「空気」が崩れていたり、堅くなっていたりすることがある。そのときには、なぜそうなったのかということも考慮に入れて、自分の出方を決めます。
 話のまくらでお客さまの雰囲気をつかむ。
 我々は「枕」の部分をしゃべりながら、その日その日のお客さまの雰囲気をつかんでいます。それから本題に入るんです。
 少ししゃべってみる、お客さま方の反応を見る。またそれに応じて変えていく・・・・・・。
 我々は、今日のお客さまはこうだなというのをつかみながら、お話の仕方を変えていきます。
 枕は軽い世間話などをして、お客さまに肩の力を抜いていただこうということもであります。
 あるいは、本題と少しずつ関係のある話をして、だんだんとお客さまを日常から講談の世界に引き込んでいく、そういうことにも「枕」を使います。
 その人の生きざまが話の中にでます。
 昔から「芸は人なり」なんてことをよく申します。芸には、その人が今、生きているすべてがでます。話というのもまたそうでしょうね。
 その人の人生経験、年齢なりの声や風貌、やしなってきた知識、仕事に向かう情熱、そのときの熱意、人に対する思いやり・・・・・・。
 ようするに、その人の生きざま全てが、話の中に出ます。これはなかなか大変なものです。だから、時間をかけて、人間の修業からしていきます。
 話す人間に魅力があるか。
 講談師は高座でしゃべって、お客さまに来ていただいて、お金をいただく商売ですから、厳しいところがあります。
 話す人間に魅力があるかということが、そのまんま結果に出てしまう。言ってみれば、人間そのものが商品なんです。
(一龍斎貞水:1939年東京都生まれ、 講談師、人間国宝。「講談は守るべきものと開拓すべきものがある」が座右の銘)

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子どもたちが教師の話や説明を聞きたくなるようにするには、どうすればよいか

 授業をするとき、授業の進め方、課題や解決の方法、答や学習の成果など、子どもたちに話をし、説明しなければなりません。
 教師の話や説明に、子どもたちが興味関心を持ち、聞きたくなるようにするには、どのようにすればよいのでしょうか。
1 本音で語れ
 子どもの心に、説明を強く印象づけたい場合、あっと驚く本音で話し始めることで、子どもの興味関心を高め、その後の説明を聞かせてみよう。
 この方法を多用すると、子どもが教師の話を楽しみに待つようになる。
 飾らない話しぶりに好感が持てるし、本音の真意が何であるのかが楽しみであるからだ。
「では、話します」と言うだけで、子どもたちが期待に満ちた顔で教師の話を聞くようになる。
 こうしたことを繰り返すことによって、子どもたちの聞く態度を育てることができる。
 教師の話をがまんして聞かせることだけでは、子どもたちの聞く態度は決してよくならないのだ。
2「たとえ」を使う
 あっと驚く「たとえ」を使うと、子どもたちの心に驚きや感動を与える。例えば、
「学級はすいかと同じだ。熟れてくるほど、中身の種が育ってくる」
「計算力とラーメンは同じだ。速くできても、まずかったでは意味がない」
 よく練っておかないと、こうしたたとえは、決まると格好がいいが、子どもたちに通じないと逆効果である。
 そして、普段から「〇〇と〇〇は似ていないかな?」と考えることが大事だ。
 こうした「たとえ」を使った説明はインパクトが強い。だから子どもたちの記憶にいつまでも残ることになる。
 インパクトのある「たとえ」は、子どもの内面に浸透して、子どもが自分を律する際のルーツとなるのである。
3 注意事項が複数の場合は、頭文字で話す
 注意事項が複数になってしまう場合は、その言葉の頭文字を取って話す。
 通常、子どもへの説明は、一時に一事を短く話すことが原則。しかし、複数の内容を説明しなければならないことが多い。
 そこで、頭文字で印象づけ、その後、詳しく説明する方法が効果的なのだ。例えば、
 特別教室への移動するときの注意事項を説明するときの頭文字は、「あくま」で。
 「あ」歩いて、「く」口を閉じて、「ま」間に合うように。
 頭文字は、合言葉になる。教師がいないときも、子どもたちが互いに声を掛け合える集団へと育つのだ。
4 当たり前と思われている事柄を問いかける
 子どもたちが「当たり前だよ」と考えているような事柄を説明するときは、問いかけた後に説明をするようにする。例えば
「なぜ、ハンカチやちり紙を持ってくる必要があるんだろう?」
 当たり前を問い直してみると、子どもたちは「あらためて聞かれると、わからないなあ」と自覚することができ、その後の説明に耳を傾けるようになる。
5 子どもたちのテンションが低いときは、活動を取り入れる
 テンションが低いことが多い月曜日など、説明を聞けるような状態にないときは、まず活動をさせてから説明をする。
 例えば、朝なら「おはようございます」と言わせるだけでもよい。座って行う活動が続いたのなら「立ちなさい」と言うのもよい。
 なにか活動を取り入れて、空気を変えてから、次の説明をするようにする。
 活動は二回繰り返すとよい。一度目の活動に必ず「ダメ出し」をして、レベルアップを要求する。こうしておいてから、説明する。
 教師の話を子どもたちが聞いていないとき、のっけから「静かにしなさい」と怒鳴って静かにさせると、教室の雰囲気は急激に冷えていく。
 そこで、活動をさせる。活動にダメだしをすることで集中力を高める。しかし、二回目以降は、改善された点をほめるようにする。それによって空気をあたためることができる。
6 教えない
 子どもたちの意欲を高めたいときの手法の一つが「教えない」こと。
 本来与えられるべき情報を、制限したり、与えなかったりすると、子どもは知りたいという意欲を高めるようになる。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。「北の教育文化フェスティバル」代表、「お笑い教師同盟」副代表、「実感道徳研究会」副代表)

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教師が子どもとつながり、信頼されるには、どのようすればよいか

 教師をやっている以上、子どもへの語りは実に重要だ。
 教師の失敗談、小さい頃の思い出話、怖い話、人生論などを、子どもに語ることは、子どもの心に宝を残すことになる。
 しかし、すべての教師が、語りが得意ということはない。
 語りたいことはあるのだが、どんな風に語ったらよいのか悩む教師が多い。
 もちろん、苦手だからと、語ることをできるだけ避ける、という手もある。
 しかし、メッセージのない教師は、子どもとつながることも、信頼もされないだろう。
「何を考えているのか分からない教師」は、子どもには理解しにくいのだ。
 もし、自分の話術に自信がなければ、絵本の読み聞かせをするとよい。
 そこで、教師が伝えたい内容と合致した絵本を選び、子どもたちに語る代わりに、読んで聞かせることにする。
 例えば、予定より早く授業が進み、時間が余ったとき、
教師「絵本を読みます」
教師「今日の絵本は、落語を題材にした『じゅげむ』です」
教師「じゅげむ、じゅげむ、五劫のすれ切れ、・・・・・」
何度も「じゅげむ、じゅげむ」が出てくるので、途中からは
教師「さん、ハイ」と言って、子どもたちと一緒に言うようにする。
 教師が絵本を読み終えた頃には、
子ども「先生、覚えたい」「五劫のすれ切れまでは言える」と、子どもたちは言う。
子ども「先生は言えるの?」という質問が出たので、
教師「言ってみようか。先生のは速いよ。それに、一回も息継ぎをしないからね」
と、宣言してから、すらすらと「じゅげむ」を暗唱してしまう。
子ども「先生、すごい!」「どうやって覚えたの?」と感嘆の声があがる。
 次の日から、私は「じゅげむ先生」と呼ばれるようになった。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。教育研究サークル「北の教育文化フェスティバル」を主幹し、柔軟な発想と多彩な企画力による活動が注目されている)

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子どもの意欲や行動を引き出すためには、どのように説明すればよいか

 ある事柄について、聞き手である子どもたちに、教師がわかりやすく話すことを説明と言います。
 わかりやすく説明するためには、
(1)結論を先に
(2)全体から細部へ
(3)具体的に
(4)キーワードを使う
 ことが重要です。
 教室での説明は、子どもたちが知らないことを知ったり、経験する場面で行われます。
 子どもたちが知らないことであるため、目的やなぜ必要なのか理解できず、それに取り組む意欲も湧いてきません。
 教師が教室における説明の意義と目的を十分に理解した上で、説明することが重要です。
 何かを知ろうとすると、そのための情報が与えられていることが重要です。
 そのため、教室における説明では、わかりやすく伝える以外に、次のような要素がより重要だと考えます。
(1)目的:何のために
(2)必然性:なぜ
(3)規準:どれくらい
(4)意欲喚起:子どもたちがやりたくなるように
 教室でこれらをきっちりと伝える説明をすることによって、子どもたちは学習の見通しと納得、安心感、「よし、やってみよう」という意欲を持つことができます。
 教室で説明するとき、指針を与え、意欲を喚起させ、行動を引き出すことがとても重要だと私は考えます。
「説明がうまくいく」→「子どもが行動を変える」→「子どもにとっても、教師にとっても説明の効果が見える」→「説明の素晴らしさを見直す」というサイクルの実現をめざします。
 そのための行動を引き出す説明のルールは
(1) 自己選択から自発性を引き出す
 指示されて行動する子どもが、指示されなくても、「よし、やってみよう」と行動する子へと子どもが変容するためには、自発性が育たなければなりません。
 そのためには、例えば「AかBか」自ら選択して行うことや、選択して行ったことが順調に進むという経験を積み上げることです。
(2) 実感から納得を引き出す
 子どもが、自ら行動を起こす動機として重要なのは納得です。
 人間は理由や理屈がわかっている方が行動しやすいものです。
(3) 安心感から意欲を引き出す
 人間が意欲的になるには、安心が必要です。
 子どもの意欲を引き出し、望ましい行動を引き出すためには、安心を与える教師からの説明、教室全体の温かい雰囲気にする教師の説明が必要です。
 教師からの、後押し、推奨、失敗の容認、行動への承認が約束されていれば、子どもは意気揚々と行動を起こすに違いありません。 
(4)興味関心から積極性を引き出す
「先生の話を聞いていたら意欲が湧いてきた」という言葉が引き出せたら、説明の効果大と言えるでしょう。
 話を聞ける子どもを育てるためには、やはり興味関心の持てる話から始めていくほかないでしょう。
 すぐれた教師は、楽しい話や話し方によって、子どものよい話の聞き方を引き出しながら、最終的に、いろいろな話が聞けるように育てていくものです。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。「北の教育文化フェスティバル」代表、「お笑い教師同盟」副代表、「実感道徳研究会」副代表)

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教師に一番大切なのは説得力である、どうすれば身につくか

 教師に一番大切なのは説得力である。説得力がなければ、どんな言葉も相手を動かさない。
 やる気を出させるにも、励ますにも、叱るにも説得力がなければ効果はない。
 自分でどんなにうまく話せたと思えても、内容が相手に伝わっていなければ、目的を果たしていない。話の効果を決めるのは聞く側なのだ。
 うまくいかなかったら、何がいけないのかを反省し、改善していく。プロは、自分のどこに問題があるのか考えるべきなのである。
 対人関係の真理は「人を見て法を説け」である。
 人には、活動的な人、おとなしい人、勝ち気な人、気弱な人、目立ちたい人、目立ちたくない人、傲慢な人、謙虚な人、人にはいろいろな性分がある。
 相手の性分に合わせなければ説得はできない。
 人を見る目の二つ目は「相手の状況」である。
 私は、莫大な数の家庭と接してきた。世の中にはほんとうにいろいろな家庭環境があり、想像もできない状況もあるものだということを実感してきた。
 相手の状況を見ることは説得力に絶対必要だ。
 説得力には話し手の魅力という問題が付きまとうことも知っておかなければならない。
 魅力ある人が語れば、その言葉に惹き付けられ、説得力を感じるというのは事実だ。
 人を育てる教師は、言葉に説得力を増そうとする以前に、自分に魅力を付けなければならない。
 そのためには「与える」精神を根底に養っておかなければならない。そのために、全人格的な工夫をするのだ。
 説得力は、話の技術だけの問題でなく、教師の生き方、人間性の問題であるということだ。
 まず「受けとめる」器の大きさが必要なのだ。
 受け止められない子どもがいたら、自分の器を大きくするチャンスである。自分が成長すれば、受け止められない子どもは減る。
 受け止めることが、相手を理解する第一歩だからだ。
 受け止め、その子の思考を探ってみる。すると、その心の奥にある不安感やそれを引き起こさせている状況や過去の歴史が見えてきたりする。
 そうして少しでも理解できれば、望ましい方向への対策も立てられる。
 説得力で大切なのは「相手に好かれること」である。
 人は好きな人の言うことならきく。相手が嫌いであれば、いくらいいことを言ってもきかない。
 まどろっこしい話し方は嫌われる。ささっさと結論から入るべきだ。
 話は「相手の頭の中に絵を描くことだ」と言われる。イメージを抱かせながら話すことだ。そのために有効なのが、例話や比喩だ。
 論だけの話は流れに乗りにくい。相手の心に応じ、論にぴったりした経験談や比喩などを挿入していくことが重要になる。
(平 光雄:1957年愛知県生まれ、愛知県で小学校教諭となり、学級担任は30年以上となる。問題を抱えた生徒たちを数多く立ち直らせるなど、プロ教師としての手腕が高く評価されている。話力総合研究所(東京本郷)に通い、永崎一則氏のもとで話力学を学ぶ)

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教師が子どもや保護者の信頼を得るには、自分なりの語りの技を身につけなければならない

 教師は話すことを商売としていると言ってよい職業ですから、もっとも重要なのは話し方の技能ということになるでしょう。
 授業における発問や指示は話し方の技能が前提となります。
 生徒指導において、子どもたちを指導したり説得したりするのも話し方の技能が前提になります。
 学級で連絡したり説明したりするのも話し方の技能が必要です。
 保護者会で学級の様子を報告したり、職員室の先生に相談したりするのも同様です。
 話し方の技能というと、わかりやすい話、明快な話、おもしろい話など、いわゆる話術のことと考えられています。
 しかし、あまりにもなめらかな話は、ときに嫌味に聞こえる場合があります。
 なめらかに話をする営業マンというのは、確かに一定の成果をあげます。
 しかし、トップに立つような営業マンは決して、ただ、なめらかに商品の宣伝ができる人ではなく、実感のこもった世間話のできる人であったり、たどたどしい口調ながらも、消費者に寄り添って自分の迷いや見解を誠実に語る人であったりすることが多いそうです。
 やはり、人間は感情をもっていますから、話のうまさよりも、共通の察し合う関係をいかにつくれるかにかかっているのだといえそうです。
 あまりにもウケをねらった話は誠実さを欠いた印象を与えることもあります。
 教師の話し方の技能にも同じことが言えます。ただ、なめらかで、うまく話すことが子どもたちや保護者に伝わる話し方ではない、ということは意識したほうが良いでしょう。
 少々たどたどしくても、その教師独自の語りこそ聴きたいと思っているのです。
 学級の最初の学級懇談会で保護者が、どんな先生か評価するのは人間性です。
 なめらかに話をする先生は有能な印象を与えるかもしれませんが、どこか冷たい、裏があるのではないかというイメージを与えがちです。
 保護者たちは、その先生がどれだけ誠実に一生懸命やってくれそうな先生かということを見ています。
 それは、教師がしゃべった話の内容より、その先生の表情や仕草、迷いやものの見方や考え方などの総合的な印象、つまりは、その先生の独自の語り方によって判断されているのです。
 例えば、保護者の一つ一つの質問に対して質問者の方を向いて話したとか、目線を合わせながらも、他の保護者への気づかいがあったとか、教師が自分の言いたいことだけ言って保護者の話を聞かない態度とか、といったものを見ているのです。
 保護者会で一人ひとりの保護者と対話を成立させられる教師は、間違いなく子ども相手でも同じことをしてくれるはずです。
 わが子をあずけるにたる、信頼を寄せられる教師か否かは、そうした印象によって判断されるわけです。
 教師はまず何より、子どもや保護者を前に対話を成立させられるような自分独自の語りを身につけなくてはならないのです。
(堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」代表、「教師力BRUSH-UPセミナー」代表。文学教育と言語技術教育との融合を旗印に長く国語科授業の研究を続けている)

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教師の言葉や話し方でクラスは変わる

1 子どもの言葉を聞き逃さないで、気づける教師になる
 毎日の生活の中で、子どもたちの投げかけてくる言葉やつぶやきから、たとえば友だちや家で何かあったなと気づけるようになりたいと私は思っています。
 私は、子どもたちの話やつぶやきを聞き逃さないようメモしています。
2 話や指示は短く話す
 ダラダラと話さず、結論をシンプルに伝えるようにします。
 指示は瞬間的にイメージできる言葉で端的に話します。
 子どもたちの空気を読み、瞬時に判断して、話します。
 子どもたちに良い話をするときは、先に「先生、今からほめたいんだけど」と先にほめることを宣告します。
 予告されれば、教室の空気がサッと柔らかくなり、子どもたちは気分よく話を聞けます。クラスがガチャガチャしているときや、何度も注意される場面が続いているときなどに特に効果的です。
3マンネリを防ぐ
 授業のマンネリ、教室での決まりきった対応は、子どもが予測できます。
 子どもたちに「やっぱり」と思わせていないでしょうか。「やっぱり」の積み重ねは教室の空気の弛緩を生みます。
「え? こんなお題で書くの」といった、「え?」を増やしていくことで、子どもたちの授業への意識が高まるのです。
4 話題つくり
 日頃から、出かけたとき、テレビを見ているときなど、何を見聞しても「これを子どもに話すならこう・・・・・」と考えます。
 こうすれば何でもネタ集めになります。趣味みたいなもので楽しくやっています。話し方の間なども考えてメモすることで、自分の経験値を一つあげることになるのです。  
5 子どもに「ありがとう」と言う
 生きていくうえで効果を実感する魔法の言葉に「ありがとう」があります。
 何度注意してもきかない。そんな状態で注意しても解決しません。そこで登場するのが「ありがとう」です。
 注意する代わりに、例えば、朝あいさつしてくれて「ありがとう」と言うのです。
「ありがとう」を言おうとすることが「その子の良さ」を探すことにつながるのです。
 ほんの些細なことでもいいから、何かその子の良いところはないか、という「子どもの見方」につながるのです。
(森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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