カテゴリー「教師の話しかた」の記事

教師が子どもとつながり、信頼されるには、どのようすればよいか

 教師をやっている以上、子どもへの語りは実に重要だ。
 教師の失敗談、小さい頃の思い出話、怖い話、人生論などを、子どもに語ることは、子どもの心に宝を残すことになる。
 しかし、すべての教師が、語りが得意ということはない。
 語りたいことはあるのだが、どんな風に語ったらよいのか悩む教師が多い。
 もちろん、苦手だからと、語ることをできるだけ避ける、という手もある。
 しかし、メッセージのない教師は、子どもとつながることも、信頼もされないだろう。
「何を考えているのか分からない教師」は、子どもには理解しにくいのだ。
 もし、自分の話術に自信がなければ、絵本の読み聞かせをするとよい。
 そこで、教師が伝えたい内容と合致した絵本を選び、子どもたちに語る代わりに、読んで聞かせることにする。
 例えば、予定より早く授業が進み、時間が余ったとき、
教師「絵本を読みます」
教師「今日の絵本は、落語を題材にした『じゅげむ』です」
教師「じゅげむ、じゅげむ、五劫のすれ切れ、・・・・・」
何度も「じゅげむ、じゅげむ」が出てくるので、途中からは
教師「さん、ハイ」と言って、子どもたちと一緒に言うようにする。
 教師が絵本を読み終えた頃には、
子ども「先生、覚えたい」「五劫のすれ切れまでは言える」と、子どもたちは言う。
子ども「先生は言えるの?」という質問が出たので、
教師「言ってみようか。先生のは速いよ。それに、一回も息継ぎをしないからね」
と、宣言してから、すらすらと「じゅげむ」を暗唱してしまう。
子ども「先生、すごい!」「どうやって覚えたの?」と感嘆の声があがる。
 次の日から、私は「じゅげむ先生」と呼ばれるようになった。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。教育研究サークル「北の教育文化フェスティバル」を主幹し、柔軟な発想と多彩な企画力による活動が注目されている)

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子どもの意欲や行動を引き出すためには、どのように説明すればよいか

 ある事柄について、聞き手である子どもたちに、教師がわかりやすく話すことを説明と言います。
 わかりやすく説明するためには、
(1)結論を先に
(2)全体から細部へ
(3)具体的に
(4)キーワードを使う
 ことが重要です。
 教室での説明は、子どもたちが知らないことを知ったり、経験する場面で行われます。
 子どもたちが知らないことであるため、目的やなぜ必要なのか理解できず、それに取り組む意欲も湧いてきません。
 教師が教室における説明の意義と目的を十分に理解した上で、説明することが重要です。
 何かを知ろうとすると、そのための情報が与えられていることが重要です。
 そのため、教室における説明では、わかりやすく伝える以外に、次のような要素がより重要だと考えます。
(1)目的:何のために
(2)必然性:なぜ
(3)規準:どれくらい
(4)意欲喚起:子どもたちがやりたくなるように
 教室でこれらをきっちりと伝える説明をすることによって、子どもたちは学習の見通しと納得、安心感、「よし、やってみよう」という意欲を持つことができます。
 教室で説明するとき、指針を与え、意欲を喚起させ、行動を引き出すことがとても重要だと私は考えます。
「説明がうまくいく」→「子どもが行動を変える」→「子どもにとっても、教師にとっても説明の効果が見える」→「説明の素晴らしさを見直す」というサイクルの実現をめざします。
 そのための行動を引き出す説明のルールは
(1) 自己選択から自発性を引き出す
 指示されて行動する子どもが、指示されなくても、「よし、やってみよう」と行動する子へと子どもが変容するためには、自発性が育たなければなりません。
 そのためには、例えば「AかBか」自ら選択して行うことや、選択して行ったことが順調に進むという経験を積み上げることです。
(2) 実感から納得を引き出す
 子どもが、自ら行動を起こす動機として重要なのは納得です。
 人間は理由や理屈がわかっている方が行動しやすいものです。
(3) 安心感から意欲を引き出す
 人間が意欲的になるには、安心が必要です。
 子どもの意欲を引き出し、望ましい行動を引き出すためには、安心を与える教師からの説明、教室全体の温かい雰囲気にする教師の説明が必要です。
 教師からの、後押し、推奨、失敗の容認、行動への承認が約束されていれば、子どもは意気揚々と行動を起こすに違いありません。 
(4)興味関心から積極性を引き出す
「先生の話を聞いていたら意欲が湧いてきた」という言葉が引き出せたら、説明の効果大と言えるでしょう。
 話を聞ける子どもを育てるためには、やはり興味関心の持てる話から始めていくほかないでしょう。
 すぐれた教師は、楽しい話や話し方によって、子どものよい話の聞き方を引き出しながら、最終的に、いろいろな話が聞けるように育てていくものです。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。「北の教育文化フェスティバル」代表、「お笑い教師同盟」副代表、「実感道徳研究会」副代表)

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教師に一番大切なのは説得力である、どうすれば身につくか

 教師に一番大切なのは説得力である。説得力がなければ、どんな言葉も相手を動かさない。
 やる気を出させるにも、励ますにも、叱るにも説得力がなければ効果はない。
 自分でどんなにうまく話せたと思えても、内容が相手に伝わっていなければ、目的を果たしていない。話の効果を決めるのは聞く側なのだ。
 うまくいかなかったら、何がいけないのかを反省し、改善していく。プロは、自分のどこに問題があるのか考えるべきなのである。
 対人関係の真理は「人を見て法を説け」である。
 人には、活動的な人、おとなしい人、勝ち気な人、気弱な人、目立ちたい人、目立ちたくない人、傲慢な人、謙虚な人、人にはいろいろな性分がある。
 相手の性分に合わせなければ説得はできない。
 人を見る目の二つ目は「相手の状況」である。
 私は、莫大な数の家庭と接してきた。世の中にはほんとうにいろいろな家庭環境があり、想像もできない状況もあるものだということを実感してきた。
 相手の状況を見ることは説得力に絶対必要だ。
 説得力には話し手の魅力という問題が付きまとうことも知っておかなければならない。
 魅力ある人が語れば、その言葉に惹き付けられ、説得力を感じるというのは事実だ。
 人を育てる教師は、言葉に説得力を増そうとする以前に、自分に魅力を付けなければならない。
 そのためには「与える」精神を根底に養っておかなければならない。そのために、全人格的な工夫をするのだ。
 説得力は、話の技術だけの問題でなく、教師の生き方、人間性の問題であるということだ。
 まず「受けとめる」器の大きさが必要なのだ。
 受け止められない子どもがいたら、自分の器を大きくするチャンスである。自分が成長すれば、受け止められない子どもは減る。
 受け止めることが、相手を理解する第一歩だからだ。
 受け止め、その子の思考を探ってみる。すると、その心の奥にある不安感やそれを引き起こさせている状況や過去の歴史が見えてきたりする。
 そうして少しでも理解できれば、望ましい方向への対策も立てられる。
 説得力で大切なのは「相手に好かれること」である。
 人は好きな人の言うことならきく。相手が嫌いであれば、いくらいいことを言ってもきかない。
 まどろっこしい話し方は嫌われる。ささっさと結論から入るべきだ。
 話は「相手の頭の中に絵を描くことだ」と言われる。イメージを抱かせながら話すことだ。そのために有効なのが、例話や比喩だ。
 論だけの話は流れに乗りにくい。相手の心に応じ、論にぴったりした経験談や比喩などを挿入していくことが重要になる。
(平 光雄:1957年愛知県生まれ、愛知県で小学校教諭となり、学級担任は30年以上となる。問題を抱えた生徒たちを数多く立ち直らせるなど、プロ教師としての手腕が高く評価されている。話力総合研究所(東京本郷)に通い、永崎一則氏のもとで話力学を学ぶ)

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教師が子どもや保護者の信頼を得るには、自分なりの語りの技を身につけなければならない

 教師は話すことを商売としていると言ってよい職業ですから、もっとも重要なのは話し方の技能ということになるでしょう。
 授業における発問や指示は話し方の技能が前提となります。
 生徒指導において、子どもたちを指導したり説得したりするのも話し方の技能が前提になります。
 学級で連絡したり説明したりするのも話し方の技能が必要です。
 保護者会で学級の様子を報告したり、職員室の先生に相談したりするのも同様です。
 話し方の技能というと、わかりやすい話、明快な話、おもしろい話など、いわゆる話術のことと考えられています。
 しかし、あまりにもなめらかな話は、ときに嫌味に聞こえる場合があります。
 なめらかに話をする営業マンというのは、確かに一定の成果をあげます。
 しかし、トップに立つような営業マンは決して、ただ、なめらかに商品の宣伝ができる人ではなく、実感のこもった世間話のできる人であったり、たどたどしい口調ながらも、消費者に寄り添って自分の迷いや見解を誠実に語る人であったりすることが多いそうです。
 やはり、人間は感情をもっていますから、話のうまさよりも、共通の察し合う関係をいかにつくれるかにかかっているのだといえそうです。
 あまりにもウケをねらった話は誠実さを欠いた印象を与えることもあります。
 教師の話し方の技能にも同じことが言えます。ただ、なめらかで、うまく話すことが子どもたちや保護者に伝わる話し方ではない、ということは意識したほうが良いでしょう。
 少々たどたどしくても、その教師独自の語りこそ聴きたいと思っているのです。
 学級の最初の学級懇談会で保護者が、どんな先生か評価するのは人間性です。
 なめらかに話をする先生は有能な印象を与えるかもしれませんが、どこか冷たい、裏があるのではないかというイメージを与えがちです。
 保護者たちは、その先生がどれだけ誠実に一生懸命やってくれそうな先生かということを見ています。
 それは、教師がしゃべった話の内容より、その先生の表情や仕草、迷いやものの見方や考え方などの総合的な印象、つまりは、その先生の独自の語り方によって判断されているのです。
 例えば、保護者の一つ一つの質問に対して質問者の方を向いて話したとか、目線を合わせながらも、他の保護者への気づかいがあったとか、教師が自分の言いたいことだけ言って保護者の話を聞かない態度とか、といったものを見ているのです。
 保護者会で一人ひとりの保護者と対話を成立させられる教師は、間違いなく子ども相手でも同じことをしてくれるはずです。
 わが子をあずけるにたる、信頼を寄せられる教師か否かは、そうした印象によって判断されるわけです。
 教師はまず何より、子どもや保護者を前に対話を成立させられるような自分独自の語りを身につけなくてはならないのです。
(堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」代表、「教師力BRUSH-UPセミナー」代表。文学教育と言語技術教育との融合を旗印に長く国語科授業の研究を続けている)

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教師の言葉や話し方でクラスは変わる

1 子どもの言葉を聞き逃さないで、気づける教師になる
 毎日の生活の中で、子どもたちの投げかけてくる言葉やつぶやきから、たとえば友だちや家で何かあったなと気づけるようになりたいと私は思っています。
 私は、子どもたちの話やつぶやきを聞き逃さないようメモしています。
2 話や指示は短く話す
 ダラダラと話さず、結論をシンプルに伝えるようにします。
 指示は瞬間的にイメージできる言葉で端的に話します。
 子どもたちの空気を読み、瞬時に判断して、話します。
 子どもたちに良い話をするときは、先に「先生、今からほめたいんだけど」と先にほめることを宣告します。
 予告されれば、教室の空気がサッと柔らかくなり、子どもたちは気分よく話を聞けます。クラスがガチャガチャしているときや、何度も注意される場面が続いているときなどに特に効果的です。
3マンネリを防ぐ
 授業のマンネリ、教室での決まりきった対応は、子どもが予測できます。
 子どもたちに「やっぱり」と思わせていないでしょうか。「やっぱり」の積み重ねは教室の空気の弛緩を生みます。
「え? こんなお題で書くの」といった、「え?」を増やしていくことで、子どもたちの授業への意識が高まるのです。
4 話題つくり
 日頃から、出かけたとき、テレビを見ているときなど、何を見聞しても「これを子どもに話すならこう・・・・・」と考えます。
 こうすれば何でもネタ集めになります。趣味みたいなもので楽しくやっています。話し方の間なども考えてメモすることで、自分の経験値を一つあげることになるのです。  
5 子どもに「ありがとう」と言う
 生きていくうえで効果を実感する魔法の言葉に「ありがとう」があります。
 何度注意してもきかない。そんな状態で注意しても解決しません。そこで登場するのが「ありがとう」です。
 注意する代わりに、例えば、朝あいさつしてくれて「ありがとう」と言うのです。
「ありがとう」を言おうとすることが「その子の良さ」を探すことにつながるのです。
 ほんの些細なことでもいいから、何かその子の良いところはないか、という「子どもの見方」につながるのです。
(森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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子どもたちの心をつかむため、教師の発声や表情はどうすればよいか

 教師の声は、明るくはっきり、大きな声が基本です。
 教師の熱意と頑張りを子どもたちや保護者に伝えるためのものです。
 教師は、子どもたちの心を揺さぶり、動かしていかなければならない。
 そのため、エネルギーを常に発散させねばならない。
 発声の練習には、顔の表情の練習も加えていきます。
「一生懸命に頑張っている」という表情です。
 教師が楽しんでいる表情です。
 苦しそうではダメです。 
 つまらなさそうでもダメです。
 あくまでも楽しんでいる表情です。
 教師が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめません。
 頑張っていることが、楽しいという姿勢です。
 メリハリが大切ですから、真顔の練習もします。
 そうした表情のメリハリだけで、子どもたちをコントロールすることができるようになります。
 先生の表情から、子どもたちは「あ、まずいな」「先生、楽しそうでよかった」と、読み取るからです。
 早口が悪いのは、聞き取れない、間がないからです。
 間がないと、聞き手の脳の中で、どんどん情報が上書きされてしまうわけです。
 感情を込めた読み方も勉強する必要があります。
 必要に応じて、身振り手振りもして、動き回って語ります。
 教師が子どもたちをしっかりと見て、自分が見られているということを子どもたちに意識させるのです。
「先生は私に伝えようとしている」
「ちゃんと伝わっているかを確認している」
と、一人ひとりの子どもたちに思わせる。
 声以外に最も大事なのは目の動きです。
「目は口ほどにものを言う」というのは本当です。
 教室では、教師はせかせかせず、まんべんなく、子どもたちを見ていくことが重要です。
 極力、子どもたちを均等に見てあげます。
 教師は、子どもたちを目だけで追ってはいけません。身体ごと、一人ひとりの子どもと正対する。肩から向かわなければダメです。
 教師は自分が思っているよりも、かなりゆっくりとしたスピードで、子どもたちを見ないと、伝わりません。
 教師が子どもたちを見ているつもりでも、見ていないことが多い。
 そのコツをつかめば、子どもたちが30人だろうが100人であっても、伝えることができるはずです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

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教師は言葉による指導が大部分、授業を録音して聴いて、言葉の修業をすると驚くほど力がつく

 自分の授業のイメージと、実際の授業にはズレがあります。
 その違いを認識することが、授業上達への第一歩です。
 毎日、1時間、授業を録音しましょう。
 録音したものを聴くと、
「やたらと話が長い」
「くどい」
「説明がわかりにくい」
「えーっを連発する」
「一本調子」
「同じトーン」
「あいまい」
「子どもをほめていない」
など、いろいろなことがわかります。
 聴いていくうちに、
「こんなはずではない」「これは、私ではない」と、ひどすぎ、いやになってきます。
 あまりにも、自分のイメージとかけ離れているのです。
 私は、3年間、毎日聴きました。いやになりましたね。
「なんて、へたくそなんだ!」
「だれだ、おまえは!」
「あっ、おれか」
 このような自問自答を続けました。
 今は笑えますけど、当時は笑えませんでした。
 録音したものを聴くことにより、いろいろなことを発見します。それが大切なのです。
 自分を客観視することができます。自己改革を迫られます。
「子どもが悪いのではない」
「悪いのは、自分だ」
 私は、毎日、気づいたことを直してきました。
 無駄な言葉を省いていきました。
 ストップウォッチを持って、時間を計ることもしました。指示の時間を計ったのです。
 やっているうちに、いろいろなことがわかってきます。
 授業を録音し、聴いてみましょう。
 教師の指導の表の部分は、言葉による指導が大部分です。
 ですから、言葉について修業しましょう。意識して実践すると、驚くほど力がつきます。
 本当に教師は話がへたですね。今までに、うまいと思った方は10人いません。ほとんどの教師が問題外です。
 テレビ番組は、いい教材になります。
 言葉は、自分の意識のあらわれです。ですから、心が変わらないと言葉は変わりません。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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子どもの心に届く言葉がけの極意とは

 私は書店で目に留まった本「『AさせたいならBと言え-心を動かす言葉の原理』岩田修著、明治図書、1988年」に衝撃をうけました。その内容を簡単にまとめると、
 指示は直接的なものより、間接的なものがいいということです。
「先生の方をむいてください」と指導するよりも,「おへそをこっちにむけてください」と指導した方が効果的である。子どもたち,特に低学年の子どもたちを教師側に向けさせる,有名な指導言だ。
「大きな口をあけて歌いましょう」と指導するよりも,「熱いジャガイモをほおばるように口をあけて,声を出しましょう」全校合唱を指導する時に,こう指導すると,子どもたちの歌い方がガラッと変わった。これもまた有名な指導言だ。
「○班静かにしてください!」と指導するよりも,「△班の聞き方が素晴らしい。みんなにまねしてほしいな」と指導した方が効果的であること。
 これらの様々なパターンの「魔法の言葉」を明確に方向付け、価値付けをした第一人者が岩下修だ。岩下は,この「魔法の言葉」を「AさせたいならBと言え」と原則化し,多くの教師の指導言を変えていった。
 子どもへの指示は直接的なものより,間接的なものの方がよいということだ。子どもたちの心を「自主的にさせる」指示の開発こそが必要なのである。
 たとえば「忘れ物をしないようにしなさい」「進んで発言しなさい」と、いいたいことを直接いってもダメな場合が、圧倒的に多い。このようにいっても、子どもの行動は変わりません。
 いいたいことを直接いってもダメなのはどうしてか、まとめてみましょう。
 ダメなのは、「中身がわからない、必然性・必要性がない、何かの障害がある」からです。
 ではどうすればよいか。
(1)「イメージを持たせる」ことです
 中身がわからないというのは、具体的にイメージできないということです。
 たとえば、コーダーの指導をするとき、「もっときれいな音でふきなさい」と指示します。
 これではどうしていいかがわかりません。きれいな音とはどういう音なのか、イメージできていないからです。
 見本を見せればいいのです。イメージができます。聴かせればいいのです。まずは、きれいな音とはこういう音だということを教えなければいけません。そうすれば、きれいな音というのがイメージできます。
(2)子どもたちにとって「身近なものに例えて」指示をする
 きれいな音のイメージができても、それだけではダメです。どうやったらきれいな音が出せるかがわからないからです。たとえば、次のように指示します。
「シャボン玉を割らないように、そっとそっと少しずつふくらますようにふいてみよう」
 音がきれいになります。シャボン玉をふくとき、一氣に強くふく人はいませんね。そんなことをしたら、すぐに割れてしまいます。「すーっ」というようにそっとふきます。このふき方が、リコーダーのふき方と似ているのです。
 子どもたちが経験したことがあるもの、つまり、子どもたちにとって身近なものに例えると、子どもは変化します。
 私は「AさせたいならBと言え-心を動かす言葉の原理」の本を何度も何度も読み返しました。
 その内、私の中でおぼろげながら見えていた、子どもたちの心に届く「言葉がけの原理・原則」らしきものが、確信に変わっていくのを感じたのでした。
 岩田修氏は、本の中で、理想とする教師の言葉がけの要素として、次のように述べています。
(1)その子の頭の中に入って、10秒,20秒と時間が経過しても、ゆれることなく同一の像として、そこにある物。
(2)クラス40人の子どもの、どの子の頭の中に入っても、同一の像として、そこにある物。
 この2つを「ゆれないモノ」と定義する。
 そして「AさせたいならBと言え」の言葉を作り出す(Bの言葉を探す)方略として
「ゆれないものの提示により、Bの言葉を作る」
 そして、その「ゆれないモノ」とは「物、人、場所、数、音、色」である。
 また、岩田修氏は、大変多くの事例をあげておられます。
 やがて、私は自分の日常生活の中で何気なく感じていたものまではっきりと「あ、今の言葉は『AさせたいならBと言え』だな」と気づくようになっていきました。
 優れた言葉がけというのは、世の中にはたくさんあふれているものです。
(西村健吾:1973年鳥取県生まれ、鳥取県公立小学校教師。教育サークル「豆腐のような教師になろう」代表)

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教えにくい難しい子どもが今は増えてきています、子どもが変わるハッピー・コミュニケーションとは

 コミュニケーションにつまずきがある子どもに個別指導するだけでは、指導の効果は上がりません。
 その子とかかわりあっている、まわりの子どもたちへの働きかけも必要になってきます。
 担任の先生から「どう対応したらいいのか」という質問を受けることがあります。私は次のような話をします。
 コミュニケーションのつまずきは、やりとりやかかわり合いの最中に起きるため、立ち止まって、整理して、子どもたちに返してあげることができません。
 そこで、エピソードとして集めておきます。
 集めたエピソードの中から「どんな場面でよくつまずいているのか」「どんな言葉かけにうまく対応できていないのか」といった事柄を見つけていくのです。
 つまずきの傾向と対策をいっしょに考えていくようにします。
 つまずきの原因を子ども側に求めがちですが、ちょっとした大人側の配慮で、その場面を乗り越えることができるのです。
 担任の先生にとっては、その子のためと思ってとった行動が、逆効果になったりすることもあります。
 例えば、元気づけようとかけた声の大きさに驚かれたり、スキンシップを図ろうとしたらかえって嫌がられたりすることもあります。
 今は、先生から見ると「教えにくい子ども」、保護者から見ると「育てにくい子ども」が、けっこういる時代です。
 そんな子どもたちに共感し、教師と保護者が手を組んで支援していくことができたら、どんなによいでしょう。
 私がこれまで担任の先生方と考えてきた傾向と対策のいくつかを紹介します。
1 口調を変えて、子どもたちに呼びかける
 相手の耳に届きやすい声、心地よく聞こえる声があります。
 ゆっくり、高いトーンの声は、相手の警戒心を解き「聞こうかな」という気持ちにさせます。
 子どもの反応が薄い、指示を出してもバラバラという場合は、教師の語気が強く、早口になっているためかもしれません。
 また、小学校高学年に通じる言葉づかいが低学年には難しい場合があります。
 例えば「集合、整列」より「ここに集まって、並んでください」のほうが低学年には通じます。
 それから「名前は歌うように呼ぶといい」とも言われます。「鈴木くーん」と抑揚をつけて呼ぶと、子どもの耳に入りやすいでしょう。
 口角を上げれば、一瞬で笑顔をつくれます。
 明るい声は、明るい表情から。このように口調を変え、笑顔をつくるトレーニングをするもの一考です。
2 子どもたちに指示を出しても、その通りにならない
 どうして言われた通りにしないんだろう、と思う場面が学校で繰り広げられています。
 子どもには、具体的に言わないと伝わらないのです。
 例えば「体育は校庭に集合!」と言っても、子どもたちは「朝礼台の前で整列して待つ」ことまで考えて行動していません。
 指示を出すなら具体的に「誰が、どこで、いつ、何をする」を、簡潔で明確な言葉にしていく。すると、期待した状況に近づきます。
3 人の話を最後まで、静かに聞いていられない
「話は長い」とかんじさせてしまう話し方があります。
「だけれど」「なので」のような接続助詞でつないでしまうと、話に切れ目がなくなり、肝心なことが伝わりにくくなります。
 文を短くして、接続詞で話をつなぐといいのです。要点を黒板に書くと、さらに伝わりやすくなります。
4 あいさつを無視する、慰めると反発をかう
 先生が校門に立ち「楽しい学校は朝のあいさつから」と、子どもたちに声をかけることが行われています。
 その時、気になるのは、あいさつを返してくれない子、目を合わさない子です。
「朝から機嫌が悪いなんて、家で何かあったかな」と心配になり、つい「元気ないぞ」と励ましたりすると、子どももますますかたくなにする場合があります。
 声をかけても返事がないときは、目が合っただけでもよしとする。
 目をそらす子には、いろいろな子どもに声をかけながら、一瞬でも目が合ったとき、ニコッとしてあげる。
「目をそらすのは、それだけこちらを意識している証拠だ」と思えばいいのです。
 低学年、中学年の子どもには、スキンシップもお勧めです。
 肩をポンとたたいて「おはよう!」、頭をなでて「今日も学校に来てえらいね」、子どもの目線までしゃがみながら、肩に手を置いて「どうしたの?」とか。
 ただ、これが高学年になると難しい。下手に肩をたたこうものなら「セクハラ」なんて言われかねません。
 また、泣いている女の子を慰めるつもりで男の先生が「何かあったの?」と声をかけたら、それっきり口をきいてくれなくなったという話も聞きます。
 高学年の子には、声をかけていいものかどうか、まわりの子どもたちに聞いたり、養護の先生に連絡する、友だちに声をかけてもらうといいようです。
 そういうちょっと難しい子どもが、今は増えてきています。
 気づかって「ここが難しいの?」と声をかけると、それっきり何もしなくなったりする子がいます。
「先生は教室を回っているから、困ったときは声をかけてね」
と、授業スタイルを巡回型にし、歩き回りながら、それぞれの様子を見て声をかける必要性やタイミングを計るのも一案です。
 そうしていると、やがて子どものほうから声をかけてくるようになります。
5 言葉づかいが乱暴で、いじめにつながりそう
 子どもは流行語や短絡的な表現、「死ね、バカ、うざい」など攻撃的な言葉を使いたがります。
 そういう言葉はひとことですむし、武器になるからです。
 放っておくと、言葉の暴力はどんどんエスカレートしていきます。
「このクラスでは、こういう言葉は使わないし、私のクラスでは許しません」
という宣言を先生がしてくれると、子どもたちは意識するようになります。
 また、保護者会でも、このような言葉は家庭や学校でも使わせないようにお願いします。
「口にしたら、そのとき、すぐに注意しましょう」と、大人たちが毅然とした態度をとらなければ、なかなか改まりません。
(
阿部厚仁:東京都公立小学校教師、特別支援教育コーディネーター
)

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子どもが集中して教師の話をきくように、伝える力を磨くには、どのようにすればよいのでしょうか

 わかりやすい授業は、教師が端的なことばで子どもたちに伝えることから始まります。
 授業を録音し聞いていると、余計なことばが多く、わかりにくいことに気づきます。
「えーっと」「あのー」「前にも言いましたが」と、いちいち前置きが入ることもあり、余計なことばが多々あります。話に集中できない子どももいます。
 授業は短く、端的なことばで、発問・指示・説明をしていきます。端的なことばだからこそ、子どもにもわかりやすい授業になります。
 教師は人前で話す機会が多くあります。そのような時に、短く端的に話す練習をしてみるとよいでしょう。
 例えば、全校朝会で「今週のめあて」を話すことになったとしましょう。
 このとき、30秒ぐらいで端的に話す練習をしてみます。
 最初は、話す内容を紙に書き出してみるとよいでしょう。
 いらないことばも見えてきます。余計なことばは1文字2文字でも削っていきます。すると、わかりやすい話にすることができます。
 端的に伝える力は、一朝一夕では身につきません。意識して練習・実践をしてきた人だけに磨かれる能力です。
 教師は人に見られる職業ですから、姿勢や態度も望ましいものにしていく必要があります。次の3つが自然とできるように意識して練習しましょう。
(1)
声をはっきり出す
 教室の一番遠くの子どもにも、聞きやすい、ちょうどよい大きさで話す必要があります。
 話の最後の方が聞きとりにくいときは、語尾までしっかりと発声すれば、聞き取りやすくなります。
(2)
笑顔で子どもに視線を送る
 自然なやわらかい、微笑んでいる表情をつくるようにします。
 口を少しだけ「い」の形にすると、自然な笑顔がつくれます。
 教師はキョロキョロとせず、子どもにしばらく視線を置き、子どもたちの表情を確認してから、別の方へ視線を動かします。
(3)
腰骨を立てて、自然に立つ
 下肝に力を入れ「りん」とした姿で、腰骨を立て、背骨をまっすぐにして立ちます。
 できているかどうかは、教室の一番後ろの端にカメラを置き、自分の授業を録画するとよくわかります。
 確認するとき、自分が子どもになったつもりで見るとよいでしょう。
 できていないところを1つ、また一つと減らしていくと、1年後には劇的によくなります。
 学校には、すばらしい教師がいるはずです。その教師をよく観察し手本にすることをおすすめします。
 例えば「手の位置」「視線」「どんな表情」か、一つひとつ細かな動作に注目してください。
 また、授業をする前に、鏡の前で練習するのもおすすめです。
 教師は、子どもたちに長い話をすることもあります。
「語り」の技術がある人とない人では、子どもの集中力が違ってきます。
「語り」では説明をダラダラとすることはしません。「エピソード」を語るようにします。 
 エピソードを話すときのコツは「聞き手の頭に映像が浮かぶように話す」ことです。
 つまり「描写しながら語る」「周りの様子がわかるように話す」ことです。
 エピソードを伴った語りで、具体的な状況をイメージさせながら、大切なことを理解させていくことが重要なのです。
 描写の語りは、練習するとうまくなります。子どもを相手に時々、描写を意識して話をするようにしてみるとよいでしょう。
 語りの上手な教師が話すと、長い話になっても、子どもたちは食い入るように耳を傾けます。
(
大前暁政:1977年生まれ、岡山市立小学校教師を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」入賞)

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