カテゴリー「教師との関係」の記事

周囲の教師から「なんとかしてあげたい」と愛される教師になるにはどうすればよいか   山田洋一

 職員室はみんなでチームとなって仕事をする場です。
 ちょっとした気遣いを同僚教師のためにふだんから、さりげなくすることがとても大事なのです。
 悩んでいても、実際に助けてもらえる教師とそうでない教師がいます。
 周囲の教師から助けられて本来の力を出しきれる人もいれば、本当は力があるのに人間関係につまずいて、力を出し切れない人もいます。 
 周囲の教師から見て「なんとかしてあげたい」と感じさせる、愛される教師になりたいものです。
 そのためには、愛されることを望む前に、まずは自分が誠実に努力して相手を大切にすることによって愛される資格のある自分になるというのが最も重要な職員室のルールです。どうすればよいのでしょうか。
 同僚から自分がどのように見えるのかを意識することが大切です。
 あなたの机回りにあるゴミ箱があふれていることから、あなたのイメージがつくられるのは残念です。
 退勤前には必ずゴミを処理してから帰るというようにルール化しておくと良いでしょう。
 その際に隣の教師のゴミもついでに処理してあげるようにしましょう。
 挨拶は相手に心を開き、人間関係を円滑にしようとする行為が挨拶です。
 まず、自分から明るく笑顔で挨拶しましょう。
 子どもから明るく、笑顔で挨拶されると、気持ちがいいものです。
 自分からみんなに元気を送る、そんな気持ちで挨拶します。
 挨拶が返ってきたら、笑顔で「今日も一日よろしくお願いします」など、ひと言をつけ加えてみましょう。
 電話は相手を待たせないよう「3コール以内」に電話に出ましょう。
 進んで電話を取る人は積極性があると評価され信頼が集まります。
 電話対応の最低限のポイントは「名乗る、先方の名前を確認する、用件を確実に聞く」の3つです。
 相手にものを渡すときには、目を合わして微笑み、ひと言「よろしくお願いします」と両手で渡すようにしましょう。これで相手への敬意が伝えられます。
 人から愛されるには、こちらから相手を愛して、大切にすることが大事です。習慣になると教室の子どもたちも変わります。数名の子どもたちが真似をして両手で教師にものを渡すようになります。
 話し手を見て話を聞くことは、意識しなければ案外できないことです。
 誰かが話し始めたら、そちらに注意を向けるようにふだんから気を配りましょう。
 話に合わせてうなずいたり、軽くほほ笑んだりすると、話し手はグッと話しやすくなります。
 笑顔を忘れず、よい聴き手になることを心がけましょう。
 問題が起きたら、まずは学年団の教師に相談します。
 自分が知らない情報や今後起きそうな事態や対処法まで教えてもらうことができます。
 このときに気をつけたいのが、アドバイスを「それは考えました」「これまでにもやっています」と、すぐに否定しないということです。話し合いをストップさせてしまうことになりかねません。
 いざというときに相談しやすいように、日ごろから些細なことでも聞いてもらうことも、お互いの心の距離を縮めます。
 悩みをオープンにすることで、アドバイスをもらいやすい関係を築くことができます。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。教育研究サークル「北の教育文化フェスティバル」代表)

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学校の職場や同僚、子どもたちとの関わり方に悩む教師はどうすればよいか   土井一博

 学校の職場や同僚、子どもたちとの関わり方に悩む教師はどうすればよいか土井一博はつぎのように述べています。
 学校の同僚や子どもたちとの関係づくりがじょうずな教師を観察すると、授業中や休み時間に、意識して自分からアクションを起こし、周囲の人間と積極的に関わろうとしています。
 その関わり方は、
1 印象
 例「顔色が悪いけど、具合がよくないのか」
2 伝聞
 例「先生の授業のことを誉めてたよ」
3 依頼
 例「悪いけど私の手伝いをしてくれないか?」
4 賞賛
 例「最近、漢字学習、頑張っているなぁ」
 などです。
 このように日頃から話しかけていると、いざというときに、自分の思いが伝わるようになるからです。
 実は人とかかわる力というのは、相手のことを思いやる、共感する力のことです。
 自分に共感してもらうところから始まるのです。
 相手にものごとを依頼するとき、留意することがあります。
1 思い込みと願望を混同しない
 相手に対して「やるのが当然だ」ではなく「やってくれればいいなあ」というレベルで接触するようにします。
 もし、相手とうまく関われなかった場合でも「しょうがない」と思うことができ、病的なレベルまで落ち込むことはありません。
2 お互いに利益を受け取れる関係(ウインウインの関係)をつくっておく
 ふだんから同僚や職場に貢献するようにして、
「自分も誰かの役に立っている」
「職場に貢献している」
 という実感があると、気がねなく周りの同僚にも依頼することができます。
 その実感がないと、相手に負担をかけたくないと気にしすぎて、自分が困ったときに助けてほしいと言いだせないのです。
(土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、関東各地でスクールカウンセラーやアドバイザーを歴任し、順天堂大学客員教授。専門は教職員のメンタルヘルス予防、現職教育、教師教育)

 

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学校の職場で教師が心得ておくべきことは何でしょうか

 教師たちを見わたせばすぐに、すべてのことについて教師の意見が一致するということは不可能だと気づくでしょう。
 それは期待すべきことでもありません。学校の日常は矛盾や葛藤だらけで、決まった答えなどはありません。
 よい職場環境というのは、教師が協働し、なおかつ個人のよさが維持されたときに初めて築くことができます。
 あなたは、チームにおける多様性こそがよいアイデアをつくるのだ、という認識を持っていますか?。それはよい出発点となります。
 例えば、一人の教師がアイデアマンで、別の教師が子どものグループ学習を支えることに長けているというチームは、とても強いのです。
 職場では、さまざまなタイプの教師がいるチームで働くことになるという心づもりをしておく必要があります。
 多様性こそが強みであると実感できるようになるまでが大変だと思います。
 多様性に可能性を見いだし、挑戦しようとする気になれば、自分自身の姿勢を見つめ直せねばなりません。
 子どもたちは、一貫性のある成熟した大人であることを教師に期待します。つまり、子どもはよい大人のモデルを必要としているのです。
 教師の多くは、教師が子どもの時には学校にうまく順応していた人たちです。
 教師になってからもルールが大好きで、マニュアルをつくってしまうわけです。
 多くは批判的な質問をしませんし、新しく違うことを考える教師には理解を示してくません。
 学校のカリキュラムや計画を簡単には変えられないと思っているのです。
 しかし、今日の学校では教師に柔軟さが要求されています。
 予想もしなかった子どもや大人の反応や事態に対処し、乗り越えていかなければならないのです。
 この過程で、誤解や矛盾が生じるのは避けられないことです。
 もしあなたが、学校では人間的な間違いが多々生じるもので、まさに、それがゆえに活力が生まれるのだと感じることができれば、教師としてよい出発点に立っていると言えます。
 新任教師のあなたはスタートラインに立ちました。出発の準備もできました。楽しみと不安の両方があるでしょう。それでいいのです。
 教師という職業はエキサイティングで挑戦しがいのある職業です。
 どのような道を進むのかが、いつも未知数なのです。でも、よいサポートがあればたくさんのことができます。
 そして、成功するために一番大切なのは、十分な訓練と心の準備です。
 これからの人生には二つの状況があると考えてください。
 一つは、あなたから力を吸い取っていく事態、そしてもう一つは、あなたにエネギーを与えてくれるという事態です。
 あなたが向かい風のなかにいるときは、楽しくない人や足を引っ張る人といっしょにいるのではなく、あなたが前に進んでいけるようサポートしてくれる人を見つけましょう。
 幸いにも、教師という仕事はさまざまなことを自分で決められます。
 あなたに、仕事への意欲と喜びを生み出してくれるような教材や活動を見つけてください。
 マーティン先生は、古いオルガンが教室にあったので、毎日、子どもたちにオルガンを弾いて、子どもたちは声を張り上げて歌っていました。
 教師と子どもが、歌と音楽の喜びを共有していたのです。学校での一日を歌で始めることが、彼らによいサイクルをもたらしました。
 オルガンと音楽がマーティン先生にとって、一番強さが得られる源泉だったのです。そこから得たエネルギーをもとに、彼は子どものための実践に力を注ぐことができたのです。
さあ、あなたにとっての力の源泉は何ですか?
 新しい考えを学校に持ち込みたいと思ったら、新任教師であるあなた自身が周りの教師にどのようにみられているか、ということについて考えをめぐらせる必要が出てきます。
 残念な例を紹介します。
 新任教師であるフィンは学校に革命を起こし、おばさん先生たちに決して指図されまいと意気込んでいました。
 まるで自宅の居間にいるように職員室のソファにどっかりと座り込み、新聞を広げて読み始めます。彼が顔を上げるのは、直接話しかけられたときだけです。
 一週間たったある日「隣の学校の協働のほうがここよりも成功している」と、彼は声高に主張しました。ところが、どの教師たちも彼の主張にコメントしなかったのです。
 彼のこれまでの態度が原因だということはわかりますよね。あなたが同僚にどのようにおもわれているかの大部分は、あなた自身の行動によって決まるのです。
 あなたは、常に仕事の終わりの時間を気にしたり、やらなければならないことだけをやろうとしていませんか?
 もし、少しでもそれ以上のことをやる意欲を見せることができれば、あなたはすぐにさまざまな実りの多い活動に参加できるようになりますよ。
 それらは、あなたにさらなる意欲と喜びを与えてくれるでしょう。
 では、フィンはどうしたらよかったのでしょうか。
 もし、彼が職員室での日常に興味を持ち、もう少し謙虚さを示していたならば、彼はもっと好意的に受け入れられていたでしょう。
 経験を積み重ねてきた人を尊重することが、目的を達成する秘訣です。
 また、きちんと規則をわきまえていることも重要となります。
 もし、フィンがクラスを遠足に連れて行くときのルールを知らなかったら、彼だけでなく学校全体が問題を抱えることになります。
 そう、フィンには、まだまだ学ぶことがたくさんあります。子どもが全員無事に帰ってこられたら、その幸運に感謝しなければなりませんね。
 教師という仕事には成熟さが求められます。あなたに与えられている責任を認識してください。
 もちろん、それは経験によってわかってくる面もあります。
 もし、生徒にどこまで許してよいのかがわからなくなったときは、自分の子どもだったらどうなのかということを考えてみてください。これは、とてもよい行動方針となります。
(アストリ・ハウクランド・アンドレセン:1952年生まれ ノルウェーの小学校副校長)

 

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教師たちが同僚教師対して抱く感情とは

 私たち教師が、同僚教師に抱く感情の中で、人間関係のうえで一番問題となるのは、結局嫉妬の情念だと思うのです。
 われわれ教師は、この人間の情念世界における普遍的法則を忘れないようにしたほうがよいと思います。
 嫉妬に悩まされる教師は、その人の生き方や考え方が、まったく自己中心的だからである。
「自分の学級さえよければよい」とか、さらには「自分さえよければよい」という考えが、支配的なところから起こる現象だともいえましょう。
 すべて、卓越したものに対して、虚心にその卓越性を認めえないのは、自分の心性が卑小なことの何よりの証拠である。
 結局は、その学校の教師たちすべてが、教育そのものを根本として考えるようになる外ないでしょう。
 もし、同じ職場の中で、お互いに心の通うような同性の同志を見出すことができるとしたら、それはこの世の中における一つの大きな恵みであり、祝福だといってよいかと思います。
 一つの学校に、考えを同じくする教師が3人でき、それら3人がお互いに心を合わせて、何とかして、自分たちの学校に1つの動きを起こそうと努力したら、それは必ずや成功するといってよいでしょう。
 また、学校づくりに当たって校長として一番やり易くて、ありがたいのは、若手教師の中堅級でしっかりした3,4人が、心を合わせて積極的に音頭を取り出してくれることであります。
 その際、とくに大事なことは、自分はつねに「縁の下の力もち」的な役割に甘んずるという覚悟だといえましょう。
 要するに、華やかな役割はなるべく他人にゆずって、一向に目立たない仕事の方に廻るということであります。
 人生における開眼とは、われわれの生命が根本的によみがえるということです。
 それはどういう事かというと、これまで物事をすべて自己本位の立場から考えてきたのに対して、物事をできるだけ相手の立場に立って考えるとか、第三者の立場に立って見直すようになることだと言えましょう。
(森 信三:1896年-1992年、愛知県生まれ、哲学者・教育者。全国を教育行脚した。神戸大学教育学部教授、神戸海星女子学院大学教授。1975年「実践人の家」建設)

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職員室での同僚教師との豊かな人間関係は、心の支えになり、子どもの指導に生きる

 私がまだ20歳代だったころ「職場は仕事をするところ。同僚とおしゃべりをしたり、お茶を飲んでくつろいだりするのは、無駄なことだ」と考えていました。
 だから、放課後は自分の教室でテストのマル付けや環境整備をして過ごしました。
 職員室に帰っても、学級通信を書いたり事務仕事をしたりするなど、無駄な時間を過ごしたという記憶がほとんどありません。
 若い頃に勤務していた学校は、子どもたちが落ち着いていて保護者も学校に理解があったので、それで通用していたのだと思います。
 ところが、その後、転勤して勤めた学校は、子どもや保護者が様々な問題を抱かえている学校でした。
 子どもの指導は思うようにいかないので、自信を失うことも多々ありました。放課後になれば、保護者からのクレームが続きました。
 ある日、私がクレームで来校した保護者と夜遅くまで話し合いをして職員室に帰ってくると、同じ学年の先生方が残って私を待ってくれていたのです。
 先生方は、心配そうに「あの保護者は昔からこうなんだから・・・・・」「子どもは近所で、こんな様子らしいよ」などと、声をかけてくれました。
 私はその瞬間、張りつめていた気持ちがやわかぎ、心配して待っていてくれた同僚たちのあたたかさが心にしみました。
 それまで職場の同僚の先生との人間関係をないがしろにしていた自分の至らなさに涙が止まりませんでした。
 何か問題があった時、同僚の先生のサポートがどれだけ心強く、頼りになるかを思い知らされた一件でした。
 日頃の同僚の先生とのなにげない会話の中にも、子どもや保護者、地域を知る貴重な情報があることに気づくことができたのです。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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教師が新たな自分に出会う喜びを得るには、どのようにすればよいか

 教育がむずかしくなったと言われます。「子どもが変わった」「親が変わった」「学級崩壊」と思い当たることは、いくつもあります。
 確かに状況の深刻さは予想以上であると、私も危機感を強めています。しかし、私はこんなときだからこそ教育はやりがいのある仕事だと思いたいのです。
 私は悪戦苦闘という言葉が好きです。子どもは教師にとって、思うようにならない存在です。生きて動いています。泣いたり笑ったり、喜んだり悩んだりしています。日々その連続です。
 そんな中で子どもを人間として自立させていく営みは、まさに悪戦苦闘の日々です。「どんなことが子どもにとってよいのか」と問い続ける教師の姿です。
 それは教師自身が自らの在り方を問い直し「自分を変えようとする営み」を抜きにして語れません。
 そうした実践の中で私たちは、あるときフッと、またあるときは徐々に「教師としての新たな自分にめざめていく」のではないでしょうか。
 それが「教師としてのやりがい」につながっていったときは、教師冥利に尽きます。
 私も校長として三校の小学校に勤務してきました。まさに悪戦苦闘であり、試行錯誤の連続でありました。具体的に取り組んできたことは
(1)
教職員と、学校経営や授業実践、学級経営などを雑談的に語り合っている。
(2)
教室訪問を気軽に行き合ったりして、教師同士が互いにひらかれた実践活動を心がけることのできる職場づくりをする。
(3)
職員室だより「あじさい」を発行し、職員の真摯な実践活動に私自身が学んだことを掲載し、互いに「学び合う教師」として精進する。 
ということです。
 
「明るく元気に実践し、学び合う教師」は、私の憧れです。私はこれまで、そんな教師たちとたくさん出会ってきました。
 厳しさの中で挑戦し、困難から逃げることなく、楽しむかのごとく実践する多くの教師との出会いでした。
 子どもを主人公にした学校づくりに汗を流し、実践してきた何人もの教師の姿を思い浮かべることができます。
 また、自らを変えようと、ひたむきに実践して、教師としての新たな自分に出会い、めざめていった教師もいます。
 学校は零細企業だと私は思います。事務職員を含めた教師一人ひとりが、その学校の子どもたちを育てる当事者なのだという意識こそ大切です。いまこそ、学び合う教師たちでなくてはならいと私は思います。
 教師は、まず同じ学校現場にいる仲間の教師に学びたいものです。仲間と学び合ってこそ、その学校を活性化させ、教師の資質を磨き、めざめさせていくのだと確信するからです。
 しかし、それはキリキリと胃が痛む思いで、実践することではありません。むしろ、明るく元気に「まっ、いいか」と肩の力を抜き、取り組む中で「新たな自分に出会った喜び」「熱中して燃える、やりがい」を得ることができるのだと思うのです。
 私が校長として教師を見ていると苦しく、つらい思いを持った教師が多かった。そんな中で「学び合う教師集団」としての本領が発揮されていたと思う。
 
「信頼される教師になるために」「教師として情熱を燃やすことのできる自分になるために」と、先生方の努力はひたむきであったなと思います。
 そして、徐々に、またはある日突然「新たな自分」に出会い、みずみずしい感性、しなやかな姿勢、ひらかれた大きな度量を感じ取っていく教師たちであったな、と思うのです。
 学校は一枚岩の実践を大切にします。しかし、それ以上に大切なことは、一人ひとりの教師の願い、持ち味が、学校の連帯の中で生かされているかどうかだと、私は思います。 
 学校は校長のリーダーシップによって変わると言われます。
 そのリーダーシップも校長がぐいぐい引っ張っていくような経営ではなく、教職員の知恵や願い、夢やロマンを引き出し、それを学校づくり(子どもを育てる営み)に生かし実現していくものでありたいと私は念じています。
(
前田勝洋:1942年生まれ、元愛知県公立小学校校長。学び合う教師を常に意識して小中学校を学校行脚)

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人間関係がうまくいく気遣いとは何か

 気遣いは誰にでも簡単に身につけられます。相手にとってうれしい気遣いというのは、案外「ちょっとしたさりげないこと」なのです。
 大切なのは、相手の気持ちを想像し、相手の心情に寄り添うことです。相手をよく観察し、何を求めているのかを考えることです。
 私は、セミナーなどで多くの人とお会いします。「またお話がしたいな」と思う人に共通するのは「私に興味を持ってくれる」ということです。人間というのは、自分を特別扱いしてくれる人、自分を大切に思ってくれる人のことを自然と求めるものなのです。
 「あなたに興味を持っています」と、相手に伝えるには質問することがとても重要です。相手との会話の中で、相手が聞いてほしそうな内容、話をしたそうなことを見つけて、質問することがポイントです。イエスかノー、もしくはひと言で答えられるような質問ではなく、相手が、感情や経過などを自由に話せるような質問のほうがよいでしょう。「私のことを知ろうとしてくれている」と相手は受け取ってくれます。もちろん、相手の反応があまりよくない場合には、深追いしないことが大切です。
 気をつけたいのが「相手の話は最後まで聞く」ということです。つい話を横取りして、いつの間にか自分の話ばかりしているということがあります。
 話を聞くときは、相手の気持ちを受け止めること。つまり「共感」です。そのまま言葉で返してあげる。相手は自分の気持ちを受け止めてもらえたと感じ、信頼して何でも話をしてくれるようになるでしょう。
 最後に気をつけたいのが「別れぎわ」です。第一印象が大切だとよく言われますが、同じくらい、別れぎわの印象も重要です。つまらなさそうな顔や、そそくさと次の動作に移る人を見かけます。「話を早く切り上げたかったのかな」と、思われても仕方ありません。別れぎわこそ笑顔が大切です。忙しくて時間に追われていても、大切にしたい気遣いです。
 最初はうまくいかなくても、そのうち自然と気遣いができるようになり、気がつくと、より人間関係が豊かになっているはずです。
(
三上ナナエ:旅客機の客室乗務員チーフパーサーを経て、セミナープロマナー講師として独立。年間80社以上の企業研修を行う)

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教師がお互いに支え合うチームワークが崩れてきている

 学級が荒れてきたり、保護者対応に困っていても、職員室は殺伐とした雰囲気で、相談したり、弱音を吐ける相手がいません。頼みの綱であるはずの職員室の雰囲気は、冷えきってしまっています。
 こうして孤軍奮闘した教師が、うつになって休職したり、敗北感を抱かえながら教職をあとにする。そんな教師がたくさんいます。
 いっぽうで、「うつの先生が大変なのもわかりますが、残された私たちも仕事が増えて大変なのです」とおっしゃる教師がいます。
 うつになった教師も、残された教師も大変なのです。
 私はこういう先生を責める気持ちはありません。仲間がうつになっても思いやる余裕がないのは、本人の責任ではなく、学校のシステムに余裕がなさすぎるせいです。 
 最近、学校の教師のチームワークが崩れてきました。
 「親分肌の校長が減ってきた」と多くの教師が嘆いています。昔の校長は学校行事の前には、「みんな、自分の信念で好きにやってくれ。責任は私がとる」などと言ってくれ、教師もやる気が起きました。
 しかし、最近では、「みなさん、ご自分の思いでやられるのは結構ですが、責任はどうぞご自分でとってくださいね」といった校長が増えています。
 こうした校長や教師に対する評価システムの導入などで、教師のチームワークが崩れてきたのです。教師同士でお互いに支え合えれば、たいていのことはどうにかなるものです。
 教師のチームワークが崩れてきたことに、私は大変な危機感を覚えています。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)
(
教師の悩みとメンタルヘルス 諸富祥彦著 図書文化 2009年)

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職員室で同僚に人気があるのはどのような教師か

 職員室で同僚に人気のある教師は、どのような教師かを調べたことがあります。
 人気のある教師とは、評判のいい人であり、同僚から信頼の視線の向く教師でもあります。
 それは、親切で優しい教師、とまとめることができそうです。親切で優しい人柄は、同僚から信頼されるだけでなく、子どもからも信頼されるでしょう。これは、教師の特性の一つになるだろうなとも、思われてなりません。
 嫌な仕事も進んで引き受ける教師、責任感の強い教師、相手のことを考えて気配りのできる教師も、同僚からの信頼は高いです。
 でも、こうした教師の声を聞きながらも、気がかりなことがあります。それは、嫌な仕事を進んで引き受けてくれる教師が高く評価されるなら、嫌な仕事は他人に押しつける教師もいるのかなと思えるからです。こうした点は、職場でどうなっていますか。
 また、相手のことを考えて気配りのできる教師が、評判がいいのは当然でしょう。これからの学校は、いろいろな特性をもつ教師が力を合わせて仕事を進めることが必要とされています。そうなると、同僚と協力できる教師がぜひ必要とされるでしょう。我を張るだけでなく、折り合いをつけることのできる教師が必要なのです。他人の意見や立場をわかり合える教師が。
 同僚に対して厳しい姿勢で接しようとすると、今はあまり評判がよくないようです。残念なことだと思います。時には、厳しく注意し合い、後はさっぱりとした関係はつくれないものでしょうか。こうしたことがないと、許し合い、もたれ合い、慰め合いばかり進んで、仕事に遂行に甘さが出てしまいます。教育界が微温湯的だといわれがちなのは、こうしたことも原因するかと思うのです。
 自分に甘く、他人に厳しく接する人は、どんな職業でも嫌われます。特に教師は、子どもと接し、保護者とかかわり、同僚と仕事を進めるのです。いずれの場でも、他人に要求することは、自らにもきちんと課する自律心が求められるのではありませんか。自分で気をつけるしかありません。特に校長や教頭など管理職と呼ばれる人ほど、気をつけたいことであるようです。
(飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長を経て、千葉県浦安市立浦安小学校校長。千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)


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教師仲間と語り合うことで支え合い、教師としての自覚と喜びを

 現在、学校現場で教職に従事することは、かなり厳しい時代になってきました。日々の教育実践に取り組む喜びや手応え、やりがいを感じられなくなり、退職していく教師も少なくありません。ストレスの増大ややりがい感の低下は、教師の心の健康度を低下させ、それが教育実践にマイナスの影響を与えます。
 実践における迷い、子どもや保護者の対応における悩みなどは、多くの教師たちが必ずもっているものです。それを教師仲間と語り合うことで、悩んでいるのは自分だけではないんだという気持ちになり、ふさぎ込んでいた心が浄化されます。
 人間は、周りから認めてもらいたいという思いがあります。日々、取り組んだ後には、必ず同僚同士で互いの努力を、言葉にして認め合うことが必要です。
 多忙なとき、ストレスが多いときこそ行うようにします。教師仲間の支え合いが、教師としての自覚と喜びを、喚起してくれるのだと思います。
 目の前の問題に対しても、これまでと同じやり方を繰り返すのではなく、自分なりに新たな方法で取り組んでみようという意欲がでてくるものです。自ら、やりがい感が実感できる取り組みを意識的に行うことが切に求められるのです。
やりがいのある取り組みを意識的に行うためには、
(1)
 目の前の問題を冷静に把握し
(2)
多面的に原因を整理して、その影響の大きさに順位をつけ
(3)
それに対応する方法を複数の中から最善な対処法を探し
(4)
与えられた条件の中で、丁寧に対応を展開し
(5)
その結果を検討して、次のよりよい対応に繋げていく
というようにしてみてはいかがでしょうか。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)



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