理科の学習の導入はどうすればよいか 村山哲哉
理科の学習の導入はどうすればよいか村山哲哉はつぎのように述べています。
理科の学習は何と言っても子どもが自然に親しむことです。
子どもが見たり聞いたり触れたりする活動が伴うということです。
ただし、単に慣れ親しんだりすることだけでなく、子どもが関心や意欲をもって対象とかかわることにより、自ら問題を見いだすことまでを含めています。
したがって、子どもが問題意識をもつことができるように意図的な活動を工夫することが大切です。
授業の導入にあたっては、子どもたちが十分に触れる時間と場を用意するなどの指導の工夫改善が肝要です。
例えば、「光の性質」の学習では、子どもたちは屋外で平面鏡を使う活動はあまりしていません。
そこで、校庭に出て、平面鏡を使い日光を直進させる活動を十分にさせます。
日陰に物を置いて光の的当て遊びをしたり、鏡を使って光のリレーをしたり、光を集めたりする活動やグループで強い光をつくったりする活動などを仕組むことにより、子どもたちは活動の目的を明確にして、鏡を使って日光という自然事象に自ずと働きかけることになるでしょう。
こうした活動から、光の直進性や光が重ねることができること、平面鏡の大きさによって反射量が異なることなどに気づき、問題意識をもつことができるようになるのです。
気づきや疑問を学習カードに書くなどして、問題を設定することができるようにしたいものです。
このように、理科学習の導入においては、理科の目標を踏まえて、子どもの実態を把握しながら、子どもが具体である自然事象と出会い、何かに触発され、自ずとその性質や規則性に気づくような事象、場、活動などを包含した状況を設定することが極めて重要になります。
(村山哲哉:1963年生まれ、東京都公立小学校教師、教育委員会指導主事 、東京都公立小学校副校長 を経て文部科学省教科調査官)